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新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

ロシアには通用しないトランプの脅しとディール

2025年04月07日 11時57分17秒 | トランプ外交

天候の不順のおかげで桜(ソメイイヨシノ)の満開の時期がずれたようで、今朝のテレビニュースは例年のような各地の「お花見」風景を垂れ流していた。
 
そんな4月も1週間が過ぎたので恒例の「在野のアナリスト」氏の報告から。
 
4月1週の動き
 

フジテレビの第三者委報告書
フジテレビの業務上の延長で性加害が起きたと認定され、ほかにもフジテレビ幹部によるセクハラ・パワハラ、取引先からもそうした行為が常態化、と認定され、これで幕引きと思っていたフジテレビはむしろ窮地に陥った感もあります。他のメディアで指摘されていることを掘り返すことはしませんが、重大な点は安倍元首相をはじめとする保守、と呼ばれる層は女性を蔑視する傾向があり、それを見事に踏襲する点です。以前から統一教会とのつながりが指摘されてきたフジテレビの態度としてさもありなん、と思わせます。
この報告書がでて、早くもCM復帰の動きがありますが、こんな状態でそれをするのは自殺行為です。むしろ企業風土として、人権意識が低いとみなされ、悪質な企業だという宣伝行為しか生みません。広告費の安売りがある、としても広告宣伝とはプラス面を生むことが大切です。炎上商法でもあるまいし、この段階で再開するのは、むしろその企業、団体も統一教会や日本会議とのつながりが疑われ、説明責任が付きまといます。
この問題と重なるのが、ジャニーズ事務所の問題です。人権意識が低い組織、それが情報を封殺し、自身の悪質性を外へ漏洩しないようにしていた。それがバレた途端、劣化した企業全体が浮かび上がってきます。そしてこんな企業に、報道を任せておけるのか? 国民の大切な電波という資産をつかわせてよいのか? という議論にもなるでしょう。逆に、そうした議論にならないのが変です。メディア同士はなんだかんだ言って、未だに業界全体を守ろうとしており、これはメディア全体の問題として浮かび上がる、のです。
少なくとも、フジテレビが改善計画をだし、その進捗を見ない限り、広告再開などすべきではない。日本企業が世界に通用しない、劣った人権意識の低い国だと、わざわざ広告する必要はないのでしょう。それは政治が、男女平等の弊害となってきた歴史とも重なり、日本をネガティブ視する要因ともなります。人権意識の低い企業は存在する価値がない、それこそ今回の問題で日本が教訓としなければいけないことです。
 
トランプ関税に伴う、石破政権の動き
石破首相が「私が話をすることで…」などと語るのを聞いて、愕然としますが、トランプ政権ではトップ会談以外で何かが動く…ことはまずあり得ません。閣僚はあくまで助言のみで、決定はすべてトランプ氏がしています。カウンターパートとなったその閣僚が日本のために、粉骨砕身してトランプ氏を説得してくれるのか? それは望み薄でしょう。これは閣僚級で話し合っても無意味、と理解しなければいけませ。でも会談をすれば解決するか? そんなことはなく、ディールと言っているのですから、日本はそれなりのメリットをちらつかせない限り、交渉にはならないのです。また補助金とか、資金繰りの支援とか、そんなことをすれば「障壁だ!」と騒ぎだすでしょう。結局、今の石破政権の態度では解決は程遠い、といえます。
では対抗手段は? 簡単にいえば、農畜産物に関しては、米国基準を適用しますといえばいい。そうすると、ポストハーベストなどは米国では禁止なので、それをつかった時点で日本は米国産の輸入を排除できます。これは女性ホルモンを投与した牛肉も同じ。米国では禁止なのですから、輸入できなくなります。ただ農畜産物は、諸刃の剣です。日本は米国産に頼る面が大きく、それが減少すると食料品の高騰につながります。
もう一つは、米SNSなどのサービスを停止する。例えばXやFacebookなど、詐欺広告を掲載しつづけるなど、安全性に疑問があります。こうしたことを理由に、国内の利用を停止する。日本は対米で貿易黒字ですが、デジタル面は赤字です。貿易で関税をかけるなら、デジタル赤字を減らすよう動けばいい。ひいてはAlphabet、Apple、Amazonなども国内のサービスに順次切り替えていくよう、推し進めていく。トランプ政権に阿った大手Tech企業らは、こうした日本の動きに焦り、トランプ政権に圧力をかけてくれるでしょう。
以前から指摘するように、食糧安全保障もそうですが、情報安全保障も大切なのです。情報を相手に握られていては、それこそ損ばかりすることになる。仮に外国の企業でも、サーバーの管理は国内でさせる、外国にもちださせない、こうした契約を結べば、デジタル赤字は自然と減少していくでしょうし、情報安全保障も高まっていきます。自由貿易が終焉するのなら、自由情報化社会へも楔を打たないといけないのです。
石破政権は、目の前のことばかりに目がいって、長期で日本をどういう姿にしていくのか? 米国を離れて自立するか? といったビジョンが全く見えないのです。まさに「国難」とかいって野党を巻き込もうとする、国内政争にばかり目がいき、大局が見えていない。日本が交渉する材料をもたない限り、トランプ氏と交渉するテーブルにさえつけない、と知るべきです。自立自存をうたっていたはずの石破政権で、この体たらくですから、媚米主義が蔓延する自民党が政権与党にいる限り、この難局に対するのは無理でしょう。
  
トランプ関税について
日本は安倍元首相の遺産をつかって交渉しろ、という人もいますが、これも愚かな意見です。指摘する人がいませんが、今のトランプ氏はビッグ安倍、といえるほど、その手法が似ます。敵を攻撃し、それによって自身の正当性をアピールし、敵が降参するから自分たちが勝ち、とする。彼にとってはそれが強さなのです。
経済政策では金融緩和とバラマキ、それしかありません。恐らく安倍氏は、トランプ氏が一期目に就任する前、会ったときにこうした手法を伝授した。だからトランプ氏は安倍氏を寵愛した。政治家としての道を示してくれた、と感じたから手放しで喜んだのです。ただ安倍氏はあくまで日本国内を相手にする小者だった。それが世界を相手にする、トランプ氏になるとスケールアップして世界中を襲ったのが、今回です。
すでに指摘もありますが、今回は一律関税と、相互関税の二階建てです。そのことで各国も対応をあきらめた。恐らく、強硬派と穏健派の間をとったのでしょうが、そのことで各国が対応する意味を失いました。交渉し、相互は消えても一律はのこる。どうせ米国は景気後退を迎え、消費は減退する。そんな中で需要をとっていくのは意味がない。中国が報復にでたのもそういうことです。前回の、中国だけにかけた関税で味をしめ、世界に手を広げたことで各国は手を結んで、米国の要求に屈しなくなった。それが今回の初動です。
あまり指摘されないこととしては、恐らく世界中が関税の低い国を経由して、貿易をしはじめる。もしくはそう詐術するケースが増える。米国はその一々について目を光らせないといけません。それなのに政府が効率化し、人手が不足するのでより手続きが猥雑となり、米国でモノ不足が起きます。関税でインフレ、という人は多いですが、米国のモノ不足インフレはより深刻でしょう。消費減退とのスピード勝負ですが、モノ不足インフレが加速すると、FRBの金融政策すらしばる。関税だけならインフレ率はそれを差し引けば、利下げの根拠にできますが、そうできないのですから。デミニミスルールによる800$以下の輸入品にも関税、といいだしたので猶更です。

トランプ関税による日本への影響
未だに、日本では賃上げで消費が堅調、という人がいます。しかし世界経済が怪しくなれば、賃下げとは言いませんが、固定給を減らせない分は補助などの費用を削減し、また一時金も目減りします。コロナ禍でも起きましたが、一時金の目減りでローンの返済に滞る人もでてくるでしょう。それに、日本人は空気を読む力に長けている。世界経済が軟調な中で、消費を増やすような米国人とはちがう民族性をもつのです。
それにインバウンド消費も減退します。外国人旅行者は高消費であり、それに支えられていた内需がやられます。人口を1%以上押し上げ、高消費で内需を支えていた層が消えれば、それは景気に大打撃です。それに逆資産効果も指摘できる。NISA損がメディアで踊り、将来不安も増えます。これは世界規模で起こりますが、株価の下落等で年金基金などの運用媒体が、多額の損失を計上してシステムが破綻するでしょう。そうなると自己防衛をしよう、との意識が働き、消費が減る。いわゆるスパイラル的に悪材料が重なっていきます。
他でだした損失を補うため、資産売却もすすむ。不動産に波及したら最悪です。世界中の金融システムすら崩壊しかねない。またそれを意識すると、金融不安が直撃するでしょう。それはサブプライムローン問題と同じ。むしろもっと悪いかもしれません。仮に日本への関税を下げてもらえても、これは関係なく起こります。
つまりこれは最悪の想定ではなく、こういう状況になるとごく当たり前に起きること。だから各国も米国との交渉を諦め、報復に移るのです。そして世界はもうその準備をすすめてきた。日本だけが安穏と、そうならないと考えてきた。米国依存のまま、経済も安全保障も阿ってきたから、独自の立ち位置を見いだせないし、あたふたするどころか、未だに交渉しろ、などという意見がでてきます。米国抜きで一本立ちできるようにならないと、日本は米国の51番目の州になった方がシンプルによい、という話にもなってしまうでしょう。むしろトランプ氏がカナダにそう主張しますが、日本から米国の州になりたい、と言い出す。これが最悪の想定です。

中期未来予測
新年度入りし、ちょっと5年ぐらい先の未来を予想します。それが『米中戦争』。しかも台湾有事ではなく、米国が中国にしかける戦争、米国発の戦争という意味です。NBCとのインタビューで、トランプ氏は「3期目も大統領をする方法はある」と語りました。トランプ氏の脳は独裁者、法律を捻じ曲げてでも自身の権力を維持したい。いわゆる長期政権を望んでいます。しかし中間選挙で負けると、そうした流れにもなりにくい。すでに一部の選挙で敗北し、お尻に火がついており、そんな中でも大統領にしがみつきたいはずです。ではどうするか? 有事にして、選挙をしない…という状況を自らつくりだしたい時がきます。
戦争相手としてはイランが適当ですが、戦力差が大き過ぎて、すぐ終結してしまうかもしれない。むしろ戦争は終結しても、ゲリラやテロにより駐留米軍の犠牲が増えれば、それもトランプ氏にとってマイナスです。中国なら戦力的に申し分ない一方で、米国にとって有利な一面がある。それが海軍力です。中国は未だに空母の数も少なく、海軍力に見劣りするし、南シナ海や東シナ海では他国とのトラブルを抱えています。
米国は、中国が領海だと言い張る地域に「公海」だとして米艦艇を派遣する。中国海軍を脅かし、追い払う名目なのですから、他国も歓迎するでしょう。しかし中国はプライドもあり、反発するだろうし、小競り合いに発展する。そのとき米軍は反撃し、戦争状態だと宣言するのです。中国に乗り込む戦争ではなく、南シナ海、東シナ海の安全保障としてする戦争、中国の海上封鎖のための戦争。巨大な海軍力をもつ米軍だからできますが、そうして有事と言い張り、自身の大統領職を長引かせ、その間に状況の好転をはかるのです。
恐らくそうなるときは、経済はもうガタガタで、回復のみこみもないときでしょう。それでもトランプ氏が大統領にしがみつく策として、という話です。つまりこの予想が当たると、トランプ政権は残り三年半ではなく、どこまで続くか分からない、となります。大統領令を乱発する今のやり方は、ある意味でそうした未来を予想させ、独裁者が自身をどう身を処していくのか? という大きな問題を世界に提示するのかもしれません。
 
韓国の尹大統領の罷免
最高裁の憲法裁判で、違憲と認定されて大統領が罷免されました。ただ驚くのは、戒厳令を発動した状況は憲法の規定するものとは異なり、違反するという件です。要するに、憲法解釈の後出しジャンケンが可能で、それにより最高権力者が罷免されてしまう。例えば、日本では政教分離の原則が憲法では謳われますが、統一教会や創価学会をみるまでもなく、形骸化されています。政治の世界ではそれを解釈論でごまかしますが、もし最高裁が「それは違憲です」といったら総理が罷免される、ということになってしまいます。
政教分離は少し例えとしてうまくないかもしれませんが、これは憲法に準ずると思っていても、最高裁の判断で否定されれば罷免できる。悪い意味で、新興国のころの制度をのこす韓国ですが、戒厳令もこうした最高裁による権力抑制も、一つ間違えるととんでもないことを引き起こす。最高裁がこれを乱発すると、権力者は最高裁のいうなりになり、最高裁の方を見て政治をするようになるでしょう。権力の濫用と、そのブレーキはかくも難しく、これは米国にも当てはまりますが、韓国では今はまだ大丈夫ですが、未来は…。


 
さてトランプ関税に伴う、石破政権の動きをみると、なんとか政局に持ち込みたいという連中がじっとしていられないようである。
 
トランプ関税への無策に『本気の姿勢を見せろ!』高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情
 
想定を超える「トランプ関税」の公表に、石破政権が大慌てしている。同盟国の日本は関税率を低く抑えてもらえると思っていたそうだが、フタをあけたら24%とEUの20%よりも高水準。石破首相は「極めて残念で不本意」と言い、適用除外を求める考えを示したが、この間、手をこまねいていたのが実態だ。

 こうした石破首相の無策に批判の声を上げたのが、「ポスト石破」に色気アリとみられている高市早苗前経済安保相(64)である。3日に自民党本部で開かれた「保守団結の会」に出席。交渉役の武藤容治経産相の訪米が1度だけだったことを念頭に「(武藤は)なんで日本におるんやと。政府は本気の姿勢を見せるべきだった」とチクリ。さらに、「陣頭指揮をとっているのが誰か、よく見えてこない。問題点があり、とても残念だ」と批判を展開した。ここぞとばかりに石破政権をディスってみせたのだ。
 保守団結の会には、高市氏をはじめ「右寄り」の自民議員が所属しており、古屋圭司元国家公安委員長、西田昌司参院議員ら約20人が出席したこの日の会合では、石破首相の退陣論も噴出。複数議員から「党の顔を変えるべき」「石破では参院選は勝てない」といった声が上がったという。さながら、“高市総理”誕生に向けた決起集会の様相である。
■安倍元首相を意識
「高市さんが意識しているのは、安倍元首相の存在でしょう。トランプ氏は2日の演説で日本への関税上乗せを説明した際、過去の安倍さんとのやりとりを紹介。第1次政権時のトランプ氏が『日米の貿易は公平じゃない。シンゾー、我々は行動しなければ』と、米国の貿易赤字解消に関する持論を伝えると、安倍さんが『分かっている』と応じたエピソードです。真偽は不明ですが、トランプ氏が安倍さんを評価していることは世界中に伝わった。『安倍後継』を自任する高市さんは、自分ならトランプ氏と渡り合えるとアピールしたのでしょう」(自民関係者)
■「石破降ろし」に動くのだろうか。
「裏金事件でボロボロのいま、総理総裁を受けるなんて火中の栗を拾うようなもの。そこは高市さん本人も分かっていて、今すぐに動くことはないでしょう。ノロシを上げるタイミングは参院選後。惨敗すれば、石破さんの退陣論は拡大必至。その時に向けて、存在感や求心力が低下しないよう、計算して発言しているフシがあります」(官邸事情通)
 石破首相が無策なのは確かだ。しかし、高市氏が首相だからといって“サナエ、日本は関税ゼロだ”とトランプが態度を変えるだろうか……。




 
少なくとも日本にはトランプと対等に戦える政治家は見当たらない。
 
しかしそんなトランプを手玉に取っているのが、あの狡猾なプーチンであろう。
 
 
米テレビ局のインタビューで、プーチン大統領に対して「むかついた」と語ったトランプ大統領。遅々として進まない停戦交渉に対する焦りが見て取れる発言ですが、ロシアサイドが停戦に対する姿勢を変える可能性は極めて低いようです。『最後の調停官 島田久仁彦がロシアが取り続けている「国際社会を手玉に取る策略」を詳しく解説していた。  
 
国際社会を掌の上で踊らせる独裁者プーチン。トランプを手玉に取り欧州と駆け引きしつつ中国をもしっかりと繋ぎとめる狡猾さ
 
■プーチンは動かない。停戦を焦るトランプにボールを預け返事待ちを決め込む独裁者の夢
イスラエルが中東地域において事を構えることになった場合、トルコはアラブ諸国と共に反イスラエルになり、イランを巻き込み…となると思われますが、恐らく直接的に戦争に加わることはないと思われます。ただしクルド人問題が絡む場合は別の話ですが。
それよりは、今、ロシアとウクライナ双方とのパイプがあり、プーチン大統領ともゼレンスキー大統領ともそれなりに話が出来るという特殊な立場を活かして、アメリカに恩を売ることに優先順位を置くかと思います。
もちろん、イスラエルを助けるのであれば、トランプ大統領に大きな貸しを作ることはできるでしょうが、エルドアン大統領には本人の政治信条上、それはしないと考えますので、イスラエルフロントではアメリカと事を構えずにやり過ごし、ロシア・ウクライナ戦争の停戦に向けての側方支援を、対米カードに用いるのではないかと見ています。
ただトルコの特別な立場を仮に有用に活かしたとしても、トランプ大統領が公言通りに、ロシア・ウクライナ間の停戦を成し遂げることは限りなく難しいと思われます。
その理由は【ロシア・プーチン大統領は現在、ロシアが戦争を有利に進めており、国内の経済状況・景気もさほど悪くないとの認識があるため、停戦を急ぐモチベーションがない】ことがあります。
それゆえにプーチン大統領としては【停戦を欲しているのはトランプ大統領であり、どうしても停戦を成し遂げたいなら、私の条件を呑まないといけない】という交渉を仕掛け、ボールをトランプ大統領側に投げて、あとはただ返答を待つという心理テクニックを用いて、心理的に有利な立場を維持できています。
トランプ大統領は停戦交渉が遅々として進まないことにさすがに苛立ちを感じ、プーチン大統領に対して関税カードをチラつかせてトランプ案を受け入れるように迫ってみるものの、ロシアとしては、前述の通り、特に困っていないだけでなく、アメリカがアメリカ国内の原子力発電の稼働を続けるにあたって必要となるウランをロシアからの輸入に頼っていて、それを切られると国内94の原子炉が停止するという現実があるため、プーチン大統領としては「関税措置を発動したいならやればいいだろう。困るのはアメリカなのだから」とでも考えてさほど脅威を感じないということもあります。
すでに経済制裁を発動されて3年以上が経つ中、制裁逃れのルートは出来上がり、中国のみならず、ブラジルや南ア、インドといったBRICS諸国との連携も強まっていますので、今更アメリカが関税を発動しても、さほど効かないということもあります。
つまり、トランプ政権としては対ロでは手詰まりと言え、無理難題と思われるウィッシュリストをアメリカに突き付け、あとはアメリカが一方的に条件を下げ、ロシアの条件を受け入れるのをのんびり待てばいいという状況が成立することになります。
■本格的には停戦に動くことがないロシアの本音
トランプ大統領の苛立ちの理由に、ウクライナが資源協定に消極的で、近日中に合意に至る見込みがないことが挙げられますが(まあ、ウクライナとしては、喉から手が出るほど欲しい安全保障の確約が与えられないのに、一方的に妥協する必要はないと考えて当然です)、資源国であるロシアは、レアアースのみならず、原油や天然ガスといった資源に関するディールをアメリカに提供する可能性をチラつかせて、ロシアが望む制裁の解除やSWIFTへの接続再開、ノルドストリームの再開などを、トランプ大統領に、まるでロシアのエージェントであるかのように欧州に働きかけさせる状況を作り出そうとしています。
ただし、例え合意などなくとも、ロシアとしてはまだ困っておらず、制裁の解除の可否についてはどちらでもいいというのが本音でしょうから、ロシアは本格的に停戦には動かないものと考えます。
欧州ではフランスのマクロン大統領が音頭を取り、ロシアがレッドラインに設定する“ウクライナへの欧州軍の派遣と駐留”を、英仏を核として進めようとしており、ウクライナのシビハ外相もフランス・モンペリエでの会合に参加し、規模や必要とする装備、人員、そして駐留場所について協議しているようですが、欧州内でもイタリアは反対していますし、スペインやポルトガルといった南欧諸国のみならず、欧州の核と考えられるドイツも、政権が変わっても欧州軍構想には乗り気ではないため、恐らくまた“動けない欧州の気前の良い空約束”となりかねないと考えます。
そしてすでに戦後のロシアとの適切な距離感の確保に関心が移っている欧州諸国としては、直接的な脅威に晒され、対人地雷禁止条約からの脱退を行ったか、その方向を決めたバルト三国やポーランド、フィンランド(そして恐らくスウェーデン)という例外を除き、露骨なウクライナへの肩入れは、国内の厭戦機運とも相まって、言っているほどのレベルでは行わないというのが、私の個人的な感触です。
結局のところ、プーチン大統領は掌の上でトランプ大統領はもちろん、国際社会全体を躍らせ、可能な限りロシアに有利な状況を作り出すことに成功し始めているように見えます。
ウクライナの奇襲を受けたロシアのクルスク州の住民という例外を除き、ロシア国民は現時点ではウクライナ戦争の影響をあまり感じていないという統計もありますし、思考のベースに「どうせ誰もロシアのことは理解できない」という思いがロシア国民の中で共通しているということに鑑みると、プーチン大統領が何か小さなことでもアメリカや国際社会から分捕ってきたら、それは大きな成果に変わるというマジックも働くことが濃厚です。
ウクライナフロントでの戦況を優位に進めつつ、停戦というニンジンをぶら下げて交渉を遅延させて時間を稼ぎ、その間に態勢・体制を立て直すという作戦が着々と進んでいます。ここでいう態勢・体制とは軍事的なものに限らず、ロシアの国際社会におけるプレゼンスと影響力の回復と拡大も意味します。
その意味では中東、アフリカ地域での影響力の回復が見られますし、縁を切ったはずのワグネルもスーダン内戦において暗躍し、ロシアのプレゼンスの拡大に一役買っています。
■プーチン大統領が国際社会に対して仕掛けるゲーム
ウクライナ戦争の解決を可能な限り先延ばしする背後で、スーダンでの内戦を長引かせ、イランとアメリカの緊張を煽り、トランプ大統領には“イランの核開発阻止に向けて協力できるかもしれない”と持ち掛けてイランを見捨てるように見せつつ、しっかりと中国と共にイランを支えるという状況を作って、ロシアに有利な状況を作り出していますし、世界がイスラエルの蛮行に怒る中、その影で一度は失ったシリアでのプレゼンスを、旧アサド派を支援することで取り戻し、東アフリカ側にも影響力を及ぼすことで、地中海を挟む形でロシアは軍事的なプレゼンスも回復し、拡大しようとしています。
“停戦”に前向きという姿勢を武器に、相手の弱みに付け込んでじらし続け、自らの要求をのませるのは、旧ソ連時代から特有の交渉術と言われていますが、まさに今、プーチン大統領は欧米諸国および国際社会に対してこのゲームを仕掛け、自らが夢見るプーチン版大ロシア帝国の再興を目論んでいます。
ただその背後でウクライナの一般市民が犠牲になり、ウクライナとの前線で戦うロシア兵の命が犠牲になり、スーダンでは内戦を長引かせることで数百万人にのぼる死者を出している悲劇を増長し続けています。
同じくイスラエルのネタニヤフ首相も、自分の保身と政治的な基盤の死守のために、ガザにおけるハマスとの終わらない戦争、ヒズボラとの戦いとレバノンへの戦線拡大、イスラエル人に根差す生存への渇望という根本的な心理と恐怖感に訴えかけて戦争を継続し、自らに非難の矢が飛んでこないように交錯し続けています。
そしてかつてはアメリカの仲介の下、対イラク戦争を戦うためにイランに武器供与を行い“同盟関係”にあったイラン革命政府を、イスラエルの生存に対する最大の脅威としてイメージ付けを行って、激しくイランを威嚇しつつ、アメリカの反イラン感情を利用してそれに乗っかって、イランとの緊張を作り出し、その緊張の緩和のためにはイランとの交戦もやむを得ないという危機を作り出して、ネタニヤフ首相の権力の維持・拡大という私欲に利用しているように見えます。
そのためにハマスが捕えたイスラエル人の人質は駒として使われ、ハマス掃討という大目的を掲げつつ、イスラエルとイスラエル人が自らの生存への脅威とずっと位置付けてきた「パレスチナ人を今こそ排除すべき」という極右の論調を利用して容赦なく無差別攻撃が続けられ、結果、罪なき一般市民が尊い命を無残に奪われるという、大矛盾が引き起こされています。
これまで紛争調停官として、紛争の現場で(多くの場合、最前線で)酷い状況を見てきましたが、国家安全保障という御旗の下、次々と一般市民の命が奪われていく現状に直面して、どうしようもない無力感を感じるとともに、それでも調停努力を続けないといけないという使命感を抱いて、何とも言えない精神状態に陥っているように感じます。
「今週は何も起こらなかったので、国際情勢の裏側についてお話しするネタがないんですよね」
そう言える時がそう遠くないうちに訪れることを切に祈りつつ、今週のコラムを終えたいと思います。

 
ひとたび始まった戦争を終わらせるには、双方の当事国に「これ以上犠牲者を増やしたくない 」という意思がなければ終結はしない。

ましてやロシアからすれば戦死者は増えているが自国の領土を奪われているわけではなく自国民からの戦争の終結への動きも少ないことから、プーチンは目いっぱいの「戦果」が明確になるまではトランプの停戦調停には合意しないのだろう、とオジサンは思う。
 
   

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