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新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

トランプは複雑な連立方程式は解けないということ

2025年03月24日 12時13分01秒 | トランプ外交

最近大阪万博のCMがテレビでもラジオでもやたら流れているのだが、くるんだが、それを嘲笑うかのような世論調査の結果がでていた。
 
現在の国内での不評の代表が「石破内閣支持率で過 去最低27%」そして「大阪・関西万博に「行きたいと思う」が24.6%」らしい。
 



 
さらに、哀れに思ってしまうのが吉村洋文の必至なアピールか。
 
万博で55年ぶり出現の「人間洗濯機」公開…吉村洋文大阪府知事が入浴1号『めちゃめちゃ気持ちいい!』
  

 
さて、総額にすると商品券と会食費用の合計は1725000円ほどになるらしいが、国会では石破茂は「私費」と強弁していたが、歴代の首相も同じことをやっていたことが明白になり、首相公邸での会食会はやはり「官房機密費」を使っていたのだろう。
 
『つかみ金』で仲間に小遣い? 今後の焦点は官房機密費の全容解明だ

安倍元首相は息を吐くように嘘をついたが、石破首相も怪しいものだ。「ポケットマネー」「政治活動ではない」「過去の事例は知らない」など、国民は誰も信じちゃいない。政策活動費と官房機密費で、金権政治文化を謳歌してきた自民党。そこにメスをいれなきゃ嘘だ。
  ◇  ◇  ◇
 石破首相の商品券配布問題の発覚から1週間余り。本人の説明は聞くに堪えない詭弁だらけ。安倍元首相は息を吐くように嘘をついたが、石破も相当に怪しいものだ。
 石破事務所の秘書が、議員会館内の自民の衆院1期生の事務所を訪れ、茶封筒に入った10万円分の商品券を配り回ったのは今月3日の日中のこと。当日は夕方から石破が1期生15人を公邸に招いて会食。林官房長官と2人の官房副長官も同席した。商品券はその「土産代わり」で、石破は「家族へのねぎらいなどの観点からポケットマネーで用意した」と繰り返す。
 政治資金規正法は〈何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄付をしてはならない〉(21条の2)と規定。政治家個人への金銭等の寄付を禁じている。所管の総務省は、商品券も金銭等に含まれると説明する。
 焦点となるのは公邸での会食が政治活動にあたるか否か。石破は単なる会食で「政治活動は一切行っていない」と強弁するが、すでに複数のメディアが会食中の様子を生々しく報じている。
 石破は政治の師と仰ぐ田中角栄元首相の「歩いた分、握った手の数しか票は出ない」との言葉を引き、新人議員らに「選挙を好きになって」と助言。部会の大事さを説き、政策力を磨くようアドバイスを送った。終わり際には酔いが回った新人議員の一部から「私たちは石破チルドレンです」「全員、石破派だ」との声が上がったという。
 石破は人望のなさから、党内基盤が極めて弱い。外形的には「仲間づくり」のため、新人議員に飲ませ食わせ、10万円もの「小遣い」を握らせたようにしか見えない。
■あの舛添都知事ですら「オレよりケチ」の評
 石破は一切、私的な関係にはない新人議員をわざわざ公邸に集め、政治的な“訓示”をたれたわけで、一堂に会した15人も首相の誘いを無碍にもできず、わざわざ日程を調整したはず。それも政界を生き抜く助言や、今後の付き合いなど政治的な見返りを期待してのこと。どう考えても立派な「政治活動」の一環で、法的なやましさを感じたからこそ、受け取った15人全員が商品券を返却したのではないのか。
 それでも、石破は「『選挙で頑張ろうね』ということ。それも政治活動だと言われてしまうと、もう天気の話かプロ野球の話しかできなくなっちゃう」と珍妙な屁理屈をこねくり回し続ける。まるで詭弁の王様。国民は誰も信じちゃいない。
 石破と同じ鳥取・島根選出の自民党参院議員がかばうように「歴代の首相の慣例」と口にして即「撤回」させられたが、岸田前首相も在任中に10万円分の商品券を配布していたことが判明。21日は、自民党の大岡敏孝・衆院内閣委員長が2012年の初当選後、当時の安倍首相から「10万円ぐらい」の金券を受け取っていたと明かした。首相公邸で開かれた1期生との会食後に渡されたという。
 同僚議員との会食の際、土産代わりに高額の商品券を渡す「作法」が、歴代自民党政権下で引き継がれてきたのか。そんな「悪しき伝統」への疑念は強まるばかりだが、石破は「慣行だったのか知る立場にない」と口をつぐむ。
 そもそも、1人10万円もの土産代が国民の感覚から大きくズレている。当日の食事代は1人1万5000円。商品券代と合わせ、総額は180万円近い。これだけの金額をポンと気前よく、石破が自腹を切ったと言い張るのも大いに疑問だ。
 なぜなら石破は政界きってのドケチで「他人にメシを食わせない人」として知られる。セコすぎる政治資金問題が炸裂し、都知事の座を追われた舛添要一氏をして「オレよりケチだよ、アイツの方が」と言わしめたほど。
 石破自身、国会で「(自分は)『ケチだ』と定評になっていて、忸怩たる思いはあった」と胸の内を打ち明けていた。
■共産党が過去に暴いた機密費資料に「商品券」


 

 ドケチ伝説を裏付けるように、石破の資金管理団体「石破茂政経懇話会」の政治資金収支報告書を調べると、公表中の23年までの3年分のうち、飲食代を含む「会合費」の計上額は21年に約74万円、22年に約248万円、23年は約155万円。1回あたり最大の支出は、22年4月15日の33万430円だった。
 庶民感覚ではこれでも破格だが、高級店での会食に慣れ切った「自民党議員の常識」ではケチの部類に入るのだろう。たった1回の会食で、自身の資金管理団体の1年分の「会合費」を超える支出を私費で賄うとは、ドケチ首相の言い分はにわかに信じがたい。
「ポケットマネー」は本当なのか。石破は明確に否定するものの、領収書不要で使途も永遠に明らかにされない内閣官房報償費(機密費)の使用を疑う方が自然だろう。実は、機密費のベールに包まれてきた使い道の一端が、過去にあぶり出されたことがある。
 時は02年4月12日。共産党の志位委員長(当時)が会見し、機密費の実態を示す内閣官房の内部文書を入手したとして公表した(「しんぶん赤旗」日曜版最新号でも詳報)。文書は、故・加藤紘一氏が宮沢喜一内閣で官房長官を務めていた1991年11月~92年12月に作成された会計記録の一部だ。コクヨのB5判「金銭出納帳」に手書きで記された月ごとの金銭の出納簿と、それを「内閣」と印刷された用箋に「国会対策費」「パーティー」「香典」など項目ごとにリスト化したもので、支出先には主に自民党国会議員の実名がビッシリ。
 記録された支出総額は1億4386万円。うち国会対策費の名目が計3574万円と最も多く、中には〈商品券〉として312万2575円(92年2月27日)なる記載がシッカリと出てくる。
 また、自民党の〈総務会メンバー39人(背広)〉として1170万円(91年12月17日)のほか、議員外遊の際の餞別や政治資金パーティー券の購入、ゴルフプレー代、お花代、高級背広仕立券、靴券など、およそ「国家機密」とは無縁のデタラメな使途のオンパレード。実に47足分、計470万円の靴券を1人でせしめた猛者までいた。
■洗いざらいブチまけるのが唯一のレガシーづくり
「機密費は長年、本来の趣旨を逸脱した使い道が横行し、自民党議員の懐を潤すために使われてきたのが実態ではないか」と指摘するのは、過去に機密費の開示訴訟(一部勝訴)の原告となった神戸学院大教授の上脇博之氏だ。こう続ける。
「事件化した派閥パーティーの裏金だけでなく、党本部ではようやく廃止される『政策活動費』という合法的な使途不明金、そして内閣では機密費と、歴代自民党政権は何層にも及ぶ領収書不要の『つかみ金』で、金権政治文化を謳歌してきたと言えます。とりわけ、年間12億円に上る機密費の原資はすべて税金です。共産党が公開した使途は年間の機密費の1割程度にすぎず、宮沢内閣からの30年以上にわたり、隠蔽されてきた税金の不適切な使途の総額は、壮大な規模に達しかねません」
 デタラメな機密費流用を歴代自民党政権が継承してきたとすれば、ドケチ首相の金銭感覚がマヒするのも当然である。
「特に野党転落後に返り咲いた安倍政権の発足以降は『モリカケ桜』など政治の私物化は目に余り、二度と権力を手放すまいと、機密費の選挙などへの流用が加速した疑いすらある。仮に商品券配布に機密費を流用したとしても、あくまで氷山の一角。機密費の全容解明はもちろん、せめて10年後、20年後と一定期間が過ぎてから使途を公表しなければ、政権の私的流用に歯止めはかかりません」(上脇博之氏=前出)
 政治評論家の本澤二郎氏は「もう後がないなら、いっそ石破首相は機密費の実態に自らメスを入れ、洗いざらいブチまけたらどうか。後世にレガシーを残すなら、その道しかない」と言った。それができなければ、石破は衆院多数の野党に潔く政権の座を明け渡すべきだ。


 


 
 

 

 
ところで大言壮語がお得意の不動産屋上がりのトランプが平和主義者を装って戦争の調停人としてデビューしたはいいが苦境に陥っているらしい。
 
進むも地獄、戻るも地獄。独裁者プーチンに足元を見られたトランプ「形だけの停戦」が自らの首を絞める
 
開戦から3年以上が経過した3月19日、ようやく「部分停戦」の合意を見たウクライナ戦争。しかしながら世界の分断が鮮明になるばかりの状況であることは否めないようです
元国連紛争調停官の島田さんが、手柄を急ぎ停戦という形だけを追い求めるトランプ大統領が、国際社会にもたらす負の影響を解説。さらにアメリカが、自らを「進むも地獄、退くも地獄」という状況に追い込んでしまった原因を考察しています。
■漂う不穏な空気。停戦を急ぐトランプ外交とロシアの国際表舞台へのカムバックが意味するもの
「前向きな感触を得ている。きっと大きな進展が生まれるだろう」
そのような非常に前向きな言動で、ロシア・ウクライナ間の停戦協議を推し進めているトランプ大統領。
3月18日に行われた米ロ首脳電話会談では、以前、米・ウクライナ間で合意した「30日間の停戦に向けた提案」はプーチン大統領には受け入れられず、代わりに【エネルギー関連施設への攻撃停止】が提案され、19日はゼレンスキー大統領も受け入れる意向を示し、部分的な停戦が発効しました。
ただ米ロ間の解釈は異なっており、ロシア側が【30日間のエネルギー関連施設への攻撃停止】と発表したのに対し、アメリカ政府は期限を示さず、対象もエネルギー関連施設と民間インフラと発表し、合意内容の解釈・認識にずれが発生しています。
アメリカの後ろ盾を得たいウクライナは米ロ間の提案を受け入れる意向を示しましたが、アメリカ政府側の解釈に基づいた合意となっており、この認識のずれがいつロシア・ウクライナ間の停戦の崩壊につながるか、はらはらする状況です。
一応、部分的な停戦が成立したのは前向きの姿勢だと評価できますが、合意後、トランプ大統領が【ウクライナ国内の原発はアメリカが管理する。そうすることで安全が守られる】と発言したことで、ロシア側が不快感を示す事態になっているのみならず、ウクライナ側も本件に対してはスルーしており、不穏な空気が漂っているように感じています。
部分的な停戦については、欧州各国もトルコも、そして中国も歓迎の意を示し、NATOとその仲間たち(ただしアメリカを除く)の計30か国はウクライナの戦後復興における協力に合意していますが、その内容に停戦監視のための欧州軍の駐留が含まれていることで、ロシアから激しい反発と反対の意が述べられており、ロシアと欧州各国との関係の悪化、および緊張の高まりが明らかにみられ、今後、ロシア・ウクライナ間の戦争がどのような帰結を迎えたとしても、欧州とロシアの新たな緊張と戦いが懸念される事態になっています。
日本は戦後復興における協力を惜しまない旨、明確に述べていますが、あえて現在の停戦協議についてはコメントせず、「話し合いがうまくいき、ロシア・ウクライナ両国民に一刻も早く安寧の日々が戻ることを願う」と言うにとどめ、現在進行形、特にアメリカががっつりと取り組む停戦努力に立場を表明しない姿勢を取っています。個人的には賢明な選択だと考えます。
■中国とトルコがウクライナの部分停戦に示す複雑な心境
今回の部分停戦に複雑な心境を示しているのが中国とトルコです。
まず中国については、停戦の実施に対しては歓迎の意を表しているものの、これでロシア・ウクライナ戦争が沈静化し、その結果、アメリカの戦力と軍事資源がアジア太平洋に振り向けられること、つまり中国との対峙に回される事態を恐れており、外交ルートを通じて、ロシアに対して懸念を表明しているようです。
ただちょっとパワーバランスがロシア側に振れた状況を、中国との関係の見直しのチャンスと感じているプーチン大統領は、習近平国家主席に対してのらりくらりとした態度ではぐらかし、現在、米中を天秤にかけて、国際社会における影響力の回復に努め、願わくはいろいろな案件のキャスティング・ボート(casting vote)を握る立ち位置への復帰を狙っているようです。
中国政府、特に習近平国家主席はこのような事態に対して、どのようなカードを切るのか?これから1か月ほどの進展に注目です。
トルコについては、トランプ前政権時にロシアからS400ミサイルを購入・配備したことでトランプ大統領およびアメリカとの関係が悪化していましたが、今回のロシア・ウクライナ間の部分的な停戦合意をフルに歓迎する旨表明し、ロシア・ウクライナ間の停戦の仲介および停戦の監視に協力すると伝えることで、アメリカとの関係修復を図っています。
その背後には、中東情勢の安定化に対しても何らかの関与を深めたいエルドアン大統領の意図が見え隠れしていますが、まるでカメレオンのように全方位外交を続けるトルコの姿勢をアメリカ、ロシア、欧州などがどのように見て、対処するのかは未知数と言えます。
ロシア側が設定した“30日間”の停戦期間が過ぎる頃にどのような事態が待っているのか、大注目です(それまで水面下での調停に参加することになっています)。
■仲介者にはあってはならない姿勢に出たアメリカ政府
では、トランプ大統領が“解決”を試みる中東情勢、特にガザを巡る停戦はどうでしょうか?
こちらについては、トランプ政権誕生前夜に停戦合意が発効し、3月1日を期限に“人質の相互交換”を行う第1段階が実施されてきましたが、イスラエル側とハマス側の“人質交換の順位・プライオリティ”に対する解釈の乖離により、人質の解放および遺体の返却のプロセスが停止した状況になっていました。
その背景には、第1段階完遂を前に、ハマス側としては恒久的な停戦を協議するプロセスを指す第2段階の基礎作りを確定したいという思惑があり、そのために取引材料として人質と遺体の返却を一旦停止するという動きに出たことがありますが、第2段階の実施にとても後ろ向きの姿勢を明確にするイスラエル政府は、ハマス側からの提案と要請を拒み、「人質全員の帰還が達成するまで、第2段階についての協議は行わない」と伝達し、アメリカのウィトコフ特使を通じて第1段階の60日延長を要求しました。
これに難色を示したハマスの態度を“敵対行為”と一方的に見なし、3月18日・19日にガザ全域に対して大規模な空爆を行い、19日には地上部隊のガザ地区への再侵入が決行され、停戦合意が実質的に崩壊することに繋がりました。
この空爆および一連のイスラエルの軍事行動に対して、アメリカ政府は全面的な理解と支持を表明し、「こうなったのは一方的にハマスの責任」と仲介者にはあってはならない姿勢にでましたが、ラマダン中の攻撃、特に真夜中の最後の食事を楽しんでいるところに無差別攻撃を加えることは、非人道的行為の極みであると国際社会は非難を強めています。
特に19日の空爆でUNOPS(UN Project Services)の職員が殺され、多数が負傷したことは、UNを決して攻撃対象にしてはならないという国際法に対する明白な違反行為であるため、欧州各国もロシアも中国も挙ってイスラエル非難を強める事態になり、対イスラエル非難決議を阻止するためにアメリカが拒否権発動を行うという異常な事態が繰り広げられたことは大きなショックです(完全なダブルスタンダードの例です)。
■鮮明になりつつある国際社会の完全なる分断と緊張の高まり
また、アラブ連盟首脳会議で合意された“ガザ地区の戦後統治に関するアラブ提案”を提供したアラブ各国も挙ってイスラエル非難を強め、イスラエルによる明らかな蛮行と相次ぐ国際法違反を咎めない(咎めることができていない)アメリカ政府への非難も鮮明にし、ここに国際社会の完全なる分断と緊張の高まりが鮮明になる事態に発展しています。
トランプ政権が誕生し、イスラエルをある程度制御するものと期待されていたため、べったりのイスラエル寄りの立場を公然と示すアメリカ政府の姿勢には、多くの国から失望と怒りが明確に示され、中東地域に訪れると期待されたデリケートかつつかの間の平穏は、早くも混乱と新たな戦いの種火という形で激化し始めています。
今週末、エジプトとカタールが仲介者としてイスラエルとハマスに自制を促し、停戦合意の維持を働きかけていますが、肝心のアメリカが協力を拒み、イスラエルと共にハマス非難を繰り返す事態に、実は両国ともお手上げ状態のようです。
エジプトについては、アラブ連盟の本部をカイロに置き、アラブ社会との協力を推し進めようとしている矢先に(アラブ諸国からは距離を置かれてきた経緯あり)、アメリカに顔に泥を塗られた形になり、大きな政治的危機を経験しています。
ご存じの通り、年間70億ドルがアメリカからエジプトに供与され、軍事的な協力も図っているエジプトですが、その姿勢をアラブ諸国は非難しており、アラブの仲間でいるのであれば、アメリカから距離を置くべきとの意見に晒されています。
一方、アメリカからの恒常的な支援なしには成りゆかない事情もあり、アラブと袂を分かっても、アメリカを惹きつけておくべきという国内勢力との板挟みにあっています。
さらには、ガザ地区と隣接するため、ガザからのパレスチナ人の受け入れは、すでに国内で安全保障上の懸念となっているイスラム同胞団の勢力拡大に直接的につながることが懸念されていることから、ここで国際社会、特にアラブ世界に対して面目躍如をしたいエジプト政府と、イスラム同胞団の拡大がエジプト全体に及ぼす脅威とのバランスに苦しめられ、ガザ問題の仲介においても、正直煮え切らない態度が目立ち、エジプトは停戦合意の遂行に対してあまり役には立っていないと感じています。
そのような混乱が高まるアラブ世界において、プレゼンスを一気に高めているのが中国とロシアで、ロシアに至っては、完全に国際社会へのカムバックの大事な要素になってきています。
「調停者・仲介者としてのアメリカは適格性にかける半面、ロシアおよび中国はサイドを取ることなく、真に地域の復興と発展のために尽力してくれる」というのが、どうも最近の中ロ評のようです。
ここでは皮肉にもロシアがウクライナで何をしているかに対しては目をつぶっている様子が覗えますが、いろいろな状況に鑑みると、アラブ諸国が国際社会においての独立と独自性を維持するために、実利主義に立って、欧米と中ロの間でうまく立ち振る舞う様子が顕著になってきています。
■アメリカがまったく頼りにならない」という事実
そのアラブの変遷を支えているのが、サウジアラビア王国およびアラブ首長国連邦とイランの関係修復の動きで、サウジアラビア王国の外交筋によると「アメリカと完全に関係を断つことは賢明ではないが、アメリカがまったく頼りにならないことも事実で、アラブ社会の安定のために、イランとの軋轢は解消して、地域として団結することが賢明だと考えている」とのことで、ここでもまた大きな勢力図の変化が見られます。
もしガザにおける停戦合意がイスラエルにより破られ、アメリカがそれを後押しし、ハマスが武力抵抗を再開するような事態になれば、一気にデリケートな“和平への希望”は崩れ去り、結果としてレバノン、シリアを巻き込んだ地域紛争が勃発し、それが飛び火してアラブ諸国のどこかに至った場合、イスラエルはまたアラブ全体を敵に回した終わりなき戦いに突入することになります。
それもこれまでとの大きな違いは、恐らくアラブ社会とペルシャ社会(つまりイラン)がjoint forcesとしてイスラエルに襲い掛かるという悪夢が、強ち妄想とは言えない事態になっていることです。
事態を収拾できるか否かは、この全面的な衝突にアメリカは直接的にコミットするのかどうかという点にかかっています。
アメリカが中東に直接的にコミットした場合(そうなりそうな気がしてなりませんが)、アメリカは確実に中東に引き戻され、イスラエルと共に、アラブとペルシャを敵に回すことになります。そしてペルシャとアラブの背後にはロシアと中国が控えていることで、広域の中東地域における世界戦争が勃発することになりかねません。
もしコミットしなかった場合、それは恐らくアメリカとイスラエルの“特別な同盟関係”の終わりを意味し、トランプ大統領と政権はアメリカ国内のユダヤ人支持層からの支持を失うことに繋がるということになります。
ゆえにアメリカにとっては【進むも地獄、退くも地獄】の状態に自らを追い込んでいることになります。
どうしてこのような事態に陥ってしまったのでしょうか?
それはロシア・ウクライナ間の停戦でも、ガザの停戦でも同じことが原因と言えます。
それは手柄を急ぎすぎ、停戦というかたちだけを追い求め、停戦合意の中身をろくに熟慮しないまま、見切り発車でプロセスを始めたため、プーチン大統領にも、ネタニエフ首相にも足元を見られ、それぞれのいいようにトランプ大統領の強引な姿勢を利用されるという事態です。
場当たり的な発言と行動により、紛争当事者たちを右往左往させ、企てをもつ者たちに勢力拡大と復活の機会を与えただけでなく、トランプ大統領を隠れ蓑に、さらなる悪行を重ねさせるという悪の環境を作り上げてしまったことで、今後、止めるはずだった戦いは過熱し、もう制御不能な状態に発展してしまうのではないかと恐れています。
すでにその兆候はガザで見られ、トランプ大統領が「これ以上の犠牲は見たくない」と言っているにも関わらず、イスラエルはガザへの無差別攻撃を再開して、さらなる犠牲を生むという悪循環に陥っています。
■中東での緊張高まりの背後で勢力拡大に成功したプーチン
その背景には、盲目的にイスラエルを支持し、ネタニエフ氏の言うことを鵜呑みにしているトランプ大統領の姿がありますが、ネタニエフ首相が直面する内政上の時限爆弾の存在も、過激な行動にでる後押しをしています。
それはイスラエル国会において今月末までに来年度予算を可決しないと、憲法規定により、議会を解散しなくてはならず、それはすなわち総選挙が行われることになります。
しかし、今、総選挙を行った場合、確実にネタニエフ首相率いるリクードは敗北し、敗北した暁には、ネタニエフ首相に対する数々の訴追が行われることになるため、ネタニエフ首相としてはいかにして議会を解散させないかという手段を考える必要があります。
現時点では予算可決に必要な過半数には届かないことが確実視されていて、絶体絶命と言われていますが、予てより「ガザに対する再攻撃の実施」を連立への再加入の条件に据えてきた極右政党ユダヤの力(ベングビール党首)を取り込んで過半数を得て、予算を可決させて解散を回避するために、アメリカからも自制を求められていたにもかかわらず、ガザへの本格的な攻撃再開に踏み切ったという、人道主義のかけらもない、政治的な理由で、罪なき一般市民の生命を奪うという蛮行に出たと考えられます。
そのような非人道的行為を目の当たりにしても、その後押しをしてしまったのがトランプ大統領であり、アメリカ政府であることは否めない事実であることから、アメリカとしてはイスラエルを支持し続けるしかありませんが、これはトランプ大統領自ら自分の首を絞めることに繋がりつつあります。
NATO加盟国である欧州諸国はすでにアメリカとの距離を取り始め、かつマクロン大統領が音頭を取って欧州安全保障体制の強化を掲げて、アメリカ離れを提唱していますが、これは同時に世界中のアメリカの同盟国に対しても「アメリカとの距離感の見直しを強いる」事態を生み出しつつあります(その後押しをしているのが、愚かな関税ですが)。
Grand Visionもなく、詳細かつ明確な戦略・計画もないまま、行き当たりばったりで停戦という結果だけを追い求める姿は、戦争を止め、世界を安定させるどころか、世界を大いに恐怖に陥れ、さらなる不安定要因を作り出し、そしてアメリカと自由世界が警戒し、忌み嫌う中ロによる国家資本主義体制の勢力圏を拡げるだけの結果に繋がりつつあるという分析も多く示される事態になってきています(私自身は、今後の世界の勢力図については、ちょっと違った見方をしていますが)。
3年前に突如ウクライナに侵攻し、ロシアの国際社会での立ち位置を危うくしたプーチン大統領は、欧米社会による経済制裁網の穴を上手に用い、中印およびグローバルサウスの国々の力を得て、不思議なことに経済発展を成し遂げただけでなく、アメリカ政府の(バイデン・トランプ政権の)まずい国際対応の隙をついて、中東での緊張の高まりの背後で勢力を拡大し、仲間を増大してきました。
その結果、再びロシアは国際舞台におけるパワーハウスの座に復帰し、ウクライナに対して戦況で優位な状況を作り出しつつ、中東情勢にも介入し、さらには今、紛争が拡大し始めているルワンダとコンゴ民主主義共和国(DRC)の案件にも関与して、軍事的なプレゼンスのみならず、DRCに眠るレアアース(コバルト)の権益を獲得しつつ、ルワンダの最先端ドローン技術とICTのノウハウも吸収するという復活の基盤を着々と築いています。
■姿勢次第で同盟国からの信頼を失う危険性が高まるアメリカ
ロシアとウクライナは今後少なくとも30日間はエネルギー関連施設に対する攻撃を相互に控えることになりますが、ロシアによるクルスク州の全面的な奪還と、ウクライナ東南部4州の完全掌握のための激しい軍事作戦は継続され、どんどんウクライナの力を削いでいくことになります。
その様子を見て、アメリカは本当にどこまでウクライナを助けてくれるのか?それとも口先だけの介入でウクライナを実際には助けず、結果として見殺しにすることになるのか?
その姿勢次第では、アメリカは全世界に展開する同盟国からの信頼を失い、自国がもつ圧倒的なプレゼンスを縮小するような事態になる危険性が高まります。
その兆しをハッキリと見るまでに、そう時間はかからないものと考えます。これから1か月、長くても日本のゴールデンウイーク明けには、どのような国際情勢が今後、表出してくるのかが見えてくるものと考えています。
明確な方針が見えないトランプ大統領のアメリカと、国際舞台に復帰してきた百戦錬磨のプーチン大統領の工作、そしてスランプから抜け出すためにあがいている習近平国家主席の中国、そして沈みゆく欧州の悲運…。
これらが複雑に絡み合った世界は、一体どのような世界になるのでしょうか?
私たちはVUCAどころではない混沌とした世界でどのように生き残るのか?妄想や恐れではなく、そう遠くないうちに、まじめに考え、迅速に動く必要性に駆られることになるのではないかと懸念しています。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。

 
そもそも国内のユダヤ主義の支持者向けにイスラエルを軍事支援しながらのダブルスタンダードで「露ウ戦争」の終結に本気でやろうとしたことが、「脅しとディール」ですべてが解決してきたと思い込んでいるトランプの誤謬があきらかになったということだろう、とオジサンは思う。  
 

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