建交労長崎県本部

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じん肺キャラバン長崎行動行われる!

2012年10月02日 13時36分52秒 | 活動報告
 2012年(第23回)なくせじん肺全国キャラバン長崎実行委員会は、7月27日に第1回実行委員会を開催し、第23回キャラバンの方針や役員体制などを確認しました。そして、9月初めから支援団体訪問や街頭宣伝行動などにとりくみ10月1日には集中して要請行動や出陣式、じん肺アスベスト学習会などを行ないました。
長崎県知事要請

 10月1日午前10時から長崎県庁2階会議室で、9団体16名(え任者・中里研哉事務局次長)が参加しました。
 双方の出席者を紹介後、要請に沿って懇談を進めました。その中で、長崎実行委員会独自要請の「山口県で産婦人科病院に勤務していた看護士が、ゴム手袋をタルクパウダーで混ぜ合わせる作業が原因で中皮腫に罹患した問題について、県立病院ではそのような事実はないか」という問いに県側は「事実はない」と明確に回答しました。
 さらに、昨年のキャラバン要請時に判明した、東日本大震災支援に関わった県職員やボランティアが使用した簡易マスクは、「石綿などの有害物質に対応できるものではない。どのような改善が行われたか」については「どのようなマスクをつけるかは、ボランティアに参加した人の自己責任」との発言があり、参加者から無責任な発言だとの声が上がりました。担当者は「なるべく安全な地域で作業させている」と回答。さらに「津波の場合、流されてどこに石綿建材が散らばっているかわからない。安全の基準はどのように決めているのか」という質問に対し、「現地の人間とも話し合っている」と曖昧な回答に終始しました。
 独自要請の「知事の賛同署名を是非」という要請には「知事として国に対して要請する立場にない」と回答。「知事は国の法律をつくる権限はない。だから国に法律をつくるよう求める署名なのだ」「福岡高裁から開門を命じられた諫早干拓問題で、知事が積極的に開門反対の活動をしているのは矛盾ではないか」と参加者より指摘があがりました。
 実行委員会は、「来年も今回追求した内容をより深く掘り下げて要請する」と結びました。

長崎市長要請
 長崎市要請には実行委員会から村里正昭事務局長ら10団体16名が参加。長崎市側は保健所長ら5名が応対しました。
 長崎実行委員会独自要請「じん肺患者が間質性肺炎や間質性肺線維症で死亡する例が急増している。市立病院でも疫学調査を行って」について市側は「一院所では難しい。広い範囲で国の制度として要求してはどうか」との回答がありました。「間質性肺炎などの解剖を遺族が希望した場合市立病院でも協力を」という要請には「年間20例くらいの解剖事例がある。希望があれば応じられる」と回答しました。
 また、県や労働局が1時間の対応時間をとっているのに、市が30分と短い時間になっていることについて市の担当者から「どの要請でも30分で対応している手前、じん肺キャラバンだけ特別にというのも難しい。回答をまず文書でお返しして懇談の時間を増やすということで対応できれば」との発言がありました。これまで、文書回答も拒否していた中で、このような回答を引き出せたことは、大きな前進だと要請参加者による終了後のディスカッションで語られました。

長崎出陣式に50名が参加
 お昼には、中町公園でじん肺キャラバン長崎出陣式を行いました。出陣式には、キャラバン行動参加者や自治労連の仲間達など15団体から50名が参加しました。
 長崎民医連の河野真一さんの司会ではじめられ、長崎地区労の加世田和志書記長が連帯あいさつを行いました。加世田書記長は「じん肺キャラバン行動は、ローカルセンターの枠を超えて連帯して取り組んできた。長いたたかいを続けてきた仲間のみなさんに敬意を表します」と述べました。引き続き、神岡鉱山じん肺原告団のメッセージ、キャラバン実行委員会の山下登司夫代表からのメッセージが読み上げられました。
 村里事務局長が「第23回キャラバンの報告」を行ないました。最後に加世田書記長の音頭で団結ガンバロウを行ないました。

長崎労働局要請
 実行委員会から11団体16人が参加。局側は田沼久志監督課長はじめ9人が応対しました。
 全国統一要請書と長崎独自の要請書にもとづいて局の回答をうけ、意見交換をおこないました。要請項目が多いので、局は1時間半の応対時間を設けました。また、要請項目以外の質問にも丁寧に回答しました。
全国要請では、法令改正が必要な事項については、本省に伝えるという回答でした。管理区分申請時のCT提出については「診断書にCTの記載があれば求めているが、あくまで任意」と回答しました。
 要請項目外で、じん肺管理区分2のじん肺罹患を否定された下関判決について「レントゲンの写り等で判断が難しい事例も確かにある。裁判長がどのような経緯で判決を出したか、また該当している労働局がどのような証拠を提出しているかわからないので返答が難しい」との局の回答に「原告は行政の決定があり療養中である。でないと裁判は起こしていない。そこは局として、決定についてはじん肺だと断言してほしい」と実行委員メンバーから発言がありました。「逆にいえば局の決定が裁判で覆った例もある。裁判所としては局の決定を重要視していないのでは」との意見も局側から出されました。
 アスベスト廃棄物の処理については具体的な数字が提示され、届け出があった分については、法令どおり適切な処理が行われているとの認識も示されましたが、届けがない部分すべてを把握するのは困難であるとの回答でした。

長崎県医師会要請
 長崎県医師会には中里事務局次長を責任者に6人が参加しました。会側からは木下郁夫常任理事と釣船崇仁常任理事が対応しました。
 「間質性肺炎などの病名で死亡した場合の病理解剖にご協力を」の要請に「協力したい。施設のある病院ではできるので、個別で検討したい」「遺族が同意してくれれば問題なくやれるのではないか」と協力を表明しました。「看護師の中皮腫発症の件で、県下の状況がわかれば教えて欲しい」という要請に「古い事例なので難しい。実態は、把握していない。調査をしたいと思っている」と述べました。県医師会は、キャラバン要請を続けることで、会員へのじん肺・アスベスト問題を啓蒙し続けています。ホームページにも必ず、労働局からの通達などを掲載しています。

じん肺アスベスト学習会
 夕方6時半から長崎市立図書館メモリアルホールで、九州建設アスベスト訴訟弁護団の国嶋洋伸弁護士を講師に、じん肺・アスベスト学習会をおこない50名が参加しました。会では、横山巖代表委員(弁護士)が、講師紹介を兼ねた開会あいさつを行いました。横山氏は「国嶋弁護士は大学卒業後、一般企業で働き30歳を過ぎてから弁護士をめざし司法試験に合格し、原発訴訟や有明訴訟などにも取り組んでいる若手弁護士」と紹介しました。
 引き続き、県労連の馬場隆副議長の連帯あいさつ、中里研哉事務局次長のキャラバン要請行動報告、第23回人間らしく働くための九州セミナーの大塚正一事務局長の連体あいさつがありました。
 講演に入り國嶋弁護士(写真)は「首都圏訴訟、北海道訴訟、京都、大阪などとともに11年10月5日に九州建設アスベスト訴訟を福岡地裁に提訴」「なぜ建設アスベストかは、輸入アスベストの70~80%が建材に使用されたからだ」と話しはじめました。
 さらに「輸入のピークは70年代と90年代でこの時期に大量の建設資材が製造されている」「石綿関連疾患のピークはこれからである」と述べ、訴訟の意義は「国と企業の法的責任を明らかにすること」「無責任な国と企業の姿勢を改めさせること」「アスベスト被害の完全救済・補償制度の充実」「今後の被害の防止施策の確立にある」とし、被害者を切り捨てる超異常な泉南アスベスト高裁判決は「悪魔に魂を売り渡した判決」と厳しく批判。國嶋弁護士は「労働者は労働力を売り、賃金を得るが、心身の健康や命は売り渡していない」「人の命より産業社会の発展を優先するような社会は間違っている」「勝つまで闘いは続くのでご協力ください」と熱く、わかりやすく、講演を行いました。
 引き続き、西日本石炭じん肺長崎請求団藤原由紀子事務局次長が、日鉄鉱業との30年以上に渡るたたかいについて報告をしました。藤原さんは「日鉄にあやまらせるまでご支援をお願いします」と訴えました。
最後は、トンネルじん肺根絶第4陣の松田哲朗東京地裁原告代表が、9月7日の第1回弁論で行なった陳述書を読み上げ、基金制定に協力を訴えました。
 集会は、村里正昭事務局長の閉会あいさつで終了しました。


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