Sun.28.Aug in 大槻能楽堂
大蔵流狂言『萩大名』『月見座頭』新作狂言『死神』
リクエスト狂言ということで、今回は冒頭に千之丞さんの解説つき。
中世まで完成したものを古典、それ以後を新作というそうで、『死神』は西洋の寓話?を落語にしたものを、20年ほど前に狂言に作り変えたということ。新作が繰り返し演じられるのは珍しく、他の1回で終わってしまう新作に対し、古典における狂言の形式にこだわらなかったことが、これまで50回以上公演されている理由ではないかとおっしゃっていました。
さて、なぜ中世までを古典と言うかといえば、戦後になるまで新作が作られなかったためなんだとか。江戸時代、能や狂言は大名などのお抱えであったため、所望された演目以外は演じることができず、自然定まったものだけが残っていった、というわけです。
ちなみに、庶民は見ることができないので、特別にお呼ばれした時には"お"をつけて『お能』『お狂言』と呼んだそうです。だから今でも、歌舞伎に"お"はつきません。
私は門外漢なので、あえて見たことのない演目を選んで観に行きます。ですから他の役者さんとの違いは分からないのですが、この日は皆、当たり役なんだそうです。死神――確かに奇妙といえば奇妙。
『萩狂言』
大名 茂山千作 ・ 太郎冠者 茂山茂 ・ 庭の亭主 茂山千三郎
遠国の大名が太郎冠者の案内で萩が見ごろの庭を見にいく。庭の亭主は必ず歌を所望するというので、太郎冠者が萩を読み込んだ和歌を教えるが、風流とは程遠い大名にはさっぱり覚えられない。
ニッと笑う千作さんのお茶目さが魅力。80半ばとは思えないハリのあるお声や演技に、昨年見たときよりお元気なのではないかと思った。舞台を降りるととても小さな人だが、あの大きさはさすが役者というべき。この人がいるから、一門の舞台には、いつも楽しさがにじみ出ているのだろうな。
『月見座頭』
座頭 茂山千之丞 ・ 上京の男 茂山正邦
十五夜、月の代わりに虫の音を楽しもうと、1人の座頭が野辺に出かけた。そこへ月見に来た男と意気投合し酒宴となる。謡い、舞って良い気分で別れるが、男は途中でからかってやろうと立ち戻ると、別人を装って喧嘩をふっかけ、座頭を引き倒してしまう。
目を閉じ、杖を頼りに歩く千之丞さんの静かな演技に惹かれた。情緒豊かな表現力。謡いの一ヶ所でプッと吹いてしまったが、誰も笑わないので笑うところではなかったのだろうか。
『死神』
男 茂山千五郎 ・ 死神 茂山あきら ・ 召使 丸山やすし 茂山茂 茂山童司 ・ 奥方 松本薫
借金に追われた男が、自殺を考えているところへ死神が現れる。なぜか男を気に入り、死ぬ病人と助かる病人の見分け方を教える。足元に死神がいるときは助かるので呪文を唱え追い払えというのだ。かくて名医と呼ばれるようになった男だったが、足元にいる死神がいなくなり、再び金に困り始める。重病の長者をなんとか助けてくれと依頼され、出かけていくがやはり枕元。金に目が眩んだ男は一計を案じ――
千五郎さんは「おるよな、こんなおっちゃん」な調子のいい男。あきらさんの飄々とした死神。どちらもいい奴なのか悪い奴なのか。
大蔵流狂言『萩大名』『月見座頭』新作狂言『死神』
リクエスト狂言ということで、今回は冒頭に千之丞さんの解説つき。
中世まで完成したものを古典、それ以後を新作というそうで、『死神』は西洋の寓話?を落語にしたものを、20年ほど前に狂言に作り変えたということ。新作が繰り返し演じられるのは珍しく、他の1回で終わってしまう新作に対し、古典における狂言の形式にこだわらなかったことが、これまで50回以上公演されている理由ではないかとおっしゃっていました。
さて、なぜ中世までを古典と言うかといえば、戦後になるまで新作が作られなかったためなんだとか。江戸時代、能や狂言は大名などのお抱えであったため、所望された演目以外は演じることができず、自然定まったものだけが残っていった、というわけです。
ちなみに、庶民は見ることができないので、特別にお呼ばれした時には"お"をつけて『お能』『お狂言』と呼んだそうです。だから今でも、歌舞伎に"お"はつきません。
私は門外漢なので、あえて見たことのない演目を選んで観に行きます。ですから他の役者さんとの違いは分からないのですが、この日は皆、当たり役なんだそうです。死神――確かに奇妙といえば奇妙。
『萩狂言』
大名 茂山千作 ・ 太郎冠者 茂山茂 ・ 庭の亭主 茂山千三郎
遠国の大名が太郎冠者の案内で萩が見ごろの庭を見にいく。庭の亭主は必ず歌を所望するというので、太郎冠者が萩を読み込んだ和歌を教えるが、風流とは程遠い大名にはさっぱり覚えられない。
ニッと笑う千作さんのお茶目さが魅力。80半ばとは思えないハリのあるお声や演技に、昨年見たときよりお元気なのではないかと思った。舞台を降りるととても小さな人だが、あの大きさはさすが役者というべき。この人がいるから、一門の舞台には、いつも楽しさがにじみ出ているのだろうな。
『月見座頭』
座頭 茂山千之丞 ・ 上京の男 茂山正邦
十五夜、月の代わりに虫の音を楽しもうと、1人の座頭が野辺に出かけた。そこへ月見に来た男と意気投合し酒宴となる。謡い、舞って良い気分で別れるが、男は途中でからかってやろうと立ち戻ると、別人を装って喧嘩をふっかけ、座頭を引き倒してしまう。
目を閉じ、杖を頼りに歩く千之丞さんの静かな演技に惹かれた。情緒豊かな表現力。謡いの一ヶ所でプッと吹いてしまったが、誰も笑わないので笑うところではなかったのだろうか。
『死神』
男 茂山千五郎 ・ 死神 茂山あきら ・ 召使 丸山やすし 茂山茂 茂山童司 ・ 奥方 松本薫
借金に追われた男が、自殺を考えているところへ死神が現れる。なぜか男を気に入り、死ぬ病人と助かる病人の見分け方を教える。足元に死神がいるときは助かるので呪文を唱え追い払えというのだ。かくて名医と呼ばれるようになった男だったが、足元にいる死神がいなくなり、再び金に困り始める。重病の長者をなんとか助けてくれと依頼され、出かけていくがやはり枕元。金に目が眩んだ男は一計を案じ――
千五郎さんは「おるよな、こんなおっちゃん」な調子のいい男。あきらさんの飄々とした死神。どちらもいい奴なのか悪い奴なのか。
ご本人は不在で奥様がいらっしゃいました。拍子抜けするほどフツーの家でしたが。
それにしても、はっしーさんいろんなことしてますねー
何かあった時はよろしくです。