櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

ひとは無限の対話を内包している。

2012-12-17 | レッスン・WSノート
ひとは無限の対話を内包している。

数日続けて、さまざまな稽古をつけながら、そう感じた。

風をはらんで舞うとき、火となって力放つとき、水となって流れ、土となって空気を支えるとき、ひとは内にはらんだ色とりどりの情感であらゆる存在に語りかけてゆくのだろう。

そんなことに想像めぐらせながら、レッスンを組み立てたり教えたりということが自分はやはり好きなんだなと、改めて感じた。
僕の場合、作品創作とレッスン活動は、不可分に直結している。そう確かめられる一週間だった。

たまたま重なっているのが、新作ソロの構想、新クラスの準備、そして海外や地方での公演反省。その他、根を詰める一人仕事から稽古場に出ると、気持ちが明るく変化するのがわかる。
ダンス学校での卒制指導も加えると、ずいぶん多様なカラダに関わっている。

踊りたい。そんな声をいかに受け止めるか。そして、個々のカラダや心に、いかに向き合い、それぞれの良さを、いかに引き出してゆくか。というのがレッスンの仕事だ。

ひとりひとり、カラダの動きと呼吸を丹念に。
そこをじっくり見つめていくのは忍耐もあるが、ふと訪れる変化と気づきの瞬間が、他にない喜びを静かに呼び込む。

ひとりひとりのエネルギーが影響し合って、ある種の熱気が出てくるのが、美しい。
ダンスを踊る何人もの身体を見つめながら、ああ、ずっと関わりたいなと思うこの季節。

僕が開いているクラスには、大きく分けて三つの稽古方法がある。

ひとつは手本を見ながらの基本稽古(土曜日)、次は振付を少しづつ覚えて踊る作品稽古(水曜、金曜)、そして、自由な踊りを導く即興稽古(隔週火曜)だ。
まもなく募集開始する新設クラスは土曜pmに入門~初歩。

好みの稽古スタイルから入るのが楽しみやすい。どんな稽古でも、最初はリラックスして慣れてゆくのが大事だと思う。
淡々と続ける。
無心に動く。
そこから全てが始まる。繰り返し、重なった体験は絶対にウソをつかない。カラダが確実に結果を出してくる。

ウチは大人のためのレッスンが主だから、必然的に社会生活や家庭生活とダンスの相互作用を考えて進めることになる。
忙しい時間を割いて稽古に来るのだから、やはり個々にとって貴重な時間だと感じられるレッスンにしたい。

心身の健康にきちんと作用するレッスンになっているかどうか。

人前で動くことを重ねる。それを大事にしている、と話してくれた人がいた。

こんな人もいた。
忙しい時ほど、自分の呼吸や体に集中する時間がコンディションを整えてくれるのだという。

いづれも、なるほど、である。稽古の役目。ということを思った。

人前で動くことを重ねる。
シンプルかつ正確だと思う。
まさに、それが稽古だ。

生活に風を入れる。
それも稽古の役目。踊りは、心身の呼吸なのだから。

稽古はリラックスと集中の交わる非日常空間だ。
心と体のリズムだけ、という純粋な場でもある。

練習はひとりでも出来るが、稽古はひとりではむつかしいのだという。
人前に出て時間をきっちり区切ることで、余計な雑感を断ち切ることが出来やすくなる。
度胸がついてくれば、少しづつ自由になるし解放的な身体に変わり始める。自信、リラックス、集中、しなやかなカラダとしなやかな思考。踊りに特有のそれらが、社会生活のさまざまなシーンにおける柔軟性や落ち着きに結びつくのを実感するというのだ。
うれしく聞きながら、非常に強い興味が湧いた。
今更ながら、ダンスは生活と自分自身にメリハリを与えるものなのだと、改めて思う。

ダンスの特徴は、からだひとつで出来るということだ。
そして、どこまでも囚われを外してゆくことだ。
ダンスは本能的で、素直で、単純であり、それゆえに、限りなく広がり深まる。
ダンスは可能性の世界だ。

のびのびと心身を解放する初歩レベルから、身体の奥深さや潜在意識を目覚めさせて人間としての可能性やクリエイティビティを開発してゆく事も出来れば、芸術芸能としての表現を得て魂が震えるような体験に触れてゆくことへも繋がってゆく。

インドネシアでは大部分の人が仕事帰りや休日に踊りを学ぶ。
ヨーロッパでは、毎週のように劇場に座り、食事のようにワークアウトを楽しんでいる。
インドでは毎朝のヨガがあり、スペインでもハワイでも、知恵の継承として自分が生まれた土地の踊りを引き継いでゆく。
踊りは意味に囚われないぶん、文字に置き換えるのが難しい。
肉体に染み込んだ風景や時間が、ダイレクトに新しい肉体に引き受けられてゆく。

日本も本当は世界に有数の舞踊文化をもつ土地だ。
そんなことを、いつも思い想うのだ。

現代のダンス、それが今どのようにあるかよりも、まず一人でも多くの人が踊りを踊る喜びを、と思う。

_________________
★INFO★
新クラスOPEN=開始メンバー募集。入門レベルから段階を追って楽しむ月謝制レギュラー。2013年1月26日(土曜)からスタート予定。クラスは毎週土曜日13:15~14:45(2/2を除く)詳しいカリキュラムなど、近日このブログにてお知らせいたします。参加申込や問合せは、080-3507-3860まで。


次回公演=櫻井郁也ダンスソロ新作=2013年3月29(金)~30(土曜)に開催決定。東京planB。詳細決まり次第、当ブログにてお知らせいたします。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 冷気と星 | トップ | 鎌倉での公演写真です »
最新の画像もっと見る

レッスン・WSノート」カテゴリの最新記事