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橋下市長への懸念

2012年01月20日 20時30分09秒 | 政治って?
最近、橋下大阪市長の話題で色々と賑わっているようなので、一言言っとくかな、と(笑)。

橋下市長の個人的資質とか全然知らないし、特に彼について研究したわけでもないし、報道ベースとか時折目にするマスコミでの振る舞いくらいしか知らないという程度ですので、個人的直感みたいなものと思って頂ければ。

好きか嫌いかと言われたら、何となく好きな部類ではないだろうか。それはどうしてかと言えば、「立身出世物語」系の人物だからなのかもしれない。旧来型の政治家にありがちな「汚さ」のようなものも表面的には感じ取れないから、ということも理由の一つなのかもしれない。
まあよく分からないが、直感では嫌いなヤツではなさそうだ、ということである。

それと、政治家としての彼を最も評価した点は、以前にも少し触れた(http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/32d1b787c3e0f3820b1b548fd827dcc5)が、戦う政治家を体現しているから、というものだ。マスコミによって生み出された、或いは幻影を作り出された「選挙の風や勢い」とか「政治家の任免や辞令」といったものを打ち破ったことに、最大の価値があったと考えている。彼が本気で戦う人間でなかったなら、卑劣な大衆煽動に押し潰されてしまったかもしれないが、彼は怯むことなく、逃げることもなく、真正面から受けて立って、なおかつ乗り越えたのである。
同時に、情報戦を仕掛けたマスコミが大した情報拡散手段を持たない橋下という個人に粉砕された、という点において、マスコミ自身の地位低下というか地盤沈下を見ることになったのである。かねてから言われてきたように、マスコミは既に信頼を失った、ということではないかな、と。この点において、橋下市長の勝利は当方にとって意義深いものとなった、ということである。

橋下氏の掲げる政治的な信条だとか政策といったものについては、当方が賛成できるものは必ずしも多くはない。それは別として、橋下氏個人の勝利については、良かったなと考えているということである。


今度は、橋下市長の言い分について、少し述べたい。
心情的には、共感できる部分はある。首長がどんなに「改革したい、こういう政策を進めたい」と言っても、地方議会が全て止めてしまえば何もできない、ということはあるからだ。日本の政治が進まないことに苛立ちと無力さを感じるのも、多分同じだろうと思うのだ。

だから、ある程度「独裁的」にであっても進めないと、何も決まらないし進まないじゃないか、と言いたくなる気持ちも分かるな、と。そういう腹の立つシステムではあっても、民主主義というルールなのだから、仕方がないのだ。暴走とか独裁といった危険を防ぐように出来ているのだから、進まないということも受け入れざるを得ないのである。

大阪市と大阪府の関係が、二重支配になって無駄が多いとして、これを効率化・スリム化しようというのは、同意できる。国と地方の関係においても、これと似たようなことがよくあるから、である。地方から政治を変えたい、と願う気持ちも分かる。国の政治を見ていると、そう思うのも当然だから。

一方で、夕張とか阿久根のようなこともあることは忘れるべきではないだろう。首長が本当に有能で賢く間違いがないのであれば、独裁的なシステムに依存してもいいかもしれない。しかし、現実にはそう簡単にはいかない。どんなに物事が進むのが遅いのだとしても、民主的手続きを放棄するわけにはいかないのである。独断を許すシステムは、多くの間違いや悲劇をも生み出すことになるだろう、ということなのだ。
それから、橋下さんは「オレが責任を取る、だから、こうやらせてくれ」と言うだろうけれど、実際に「どう責任を取るのか」考えたことはあるのかな?
首長の強権を認めるシステムを導入したとして、その首長が誤った政策を選択した結果、多大な損失を住民に与えた場合、その首長がどう責任を取るのだろうか、という話である。例えばオリンパス経営陣が責任を負うとしても、与えた数百億円とか数千億円とかの損失を弁償できるわけもなく、責任の取りようなどないというのが現実なのではないか(その損失は全株主に及ぶだけ)。それと同じようなものなのだ。石原都知事だって、新銀行東京の巨額損失をどう挽回できると言うのか。千億円級の損は、個人で弁償のしようもないのだ。
結局のところ、失敗は全ての住民に降りかかってくる、ということになってしまうだけなのである。選挙で選んだ責任、ということになるわけだ。


裏を返せば、首長個人がどれほど「オレが責任を取るから、やらせろ」と言っても、易々とは認めらない、と慎重にならざるを得ないのが現実なのだ。損失を受ける立場の住民側にとっては、そういう意見が出るのは当然なのである。損を引き受ける立場に立てば立つほど、慎重であるのは当たり前ということだ。失敗しても素知らぬ顔をできる人間ならば、いくらでも「いいよいいよ」と安請け合いできるだろう。損しても、自分には被害がないからだ(官僚あたりが、自分の懐の痛まない「ヒト(他人)の金」、すなわち見知らぬ連中から集めてきた税金を無駄にしようと浪費しようと天下り組織に流し込もうと、何とも感じないようなものだ)。

橋下さんは、そんなことを言ってたら何も決められない、と言うかもしれないが、回避できる失敗は回避した方がよいわけだから、よく考えてやろうとするのは仕方がないのだ。民主主義の手続き上、そういうことになっているのだしね。
橋下市長が重大な失敗をした場合、たとえ「オレが死んで責任を取る」と切腹してお詫びをしてもらったとしても、住民が受けた巨額損失は償われないわけだから。
せいぜい「歴史に汚名を残す」くらいしかないのでは。責任を取るというのは、どんな悪評も汚名も自分が負うということで、歴史に刻まれるということだけではないのかな、と。


橋下さんのカジノ構想とか、全く賛同できない。前から言ってる(http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4c07da95d7002ad161e4d6eb0e1d680b、http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/67311697ef0481a2d596989d7f2afbef)けど、教育改革とか理想を言う人間なのであれば、大々的にカジノを誘致して賭場を開きたい、なんてことは論外なのではないかと思うわけである。義務教育に関する改革というのは、中身をよく知らないので何とも言えないが、4人組(山口、内田、香山、中島)に喰ってかかることの意味がよく分からない。4人から批判されたので、こなくそと思って何かの反駁があるのだろうが、公人の言うレベルのものとも思えない。テレビで山口教授との論争があったようなのだが、見てないので知らない。弁護士という職業的な有利さもあったのか、テレビ向きのキャラクターが利したのか分からないが、一方的展開で圧勝だったらしい(笑)。まあ、弁護士ってのが、ああ言えばこう言う、の仕事(揶揄しているわけではないですよ)ですから、勝つのも不思議ではないですわな。

一つ言えることは、「言い切り力」みたいなものがある。テレビ向きは、この「言い切り力」の高い人間が有利。たとえ出鱈目だろうと、半分出まかせであろうと、その場の雰囲気でしかないので、多くの人たちはその真偽が判定できないから。こうした、何でも断定的に結論を自信満々で言い切る力のある人というのは、怪しげな新興宗教の教祖とか、詐欺的商法の健康商品売りつけセールスマンとか、学術的裏付けのない代替療法や特殊治療法の伝道・施術者とか、ウソ八百の経済学理論バカ(ノビーwww)とか、そういう連中だろうというのが個人的経験則である。

事実を正確に伝えようとする誠実な人ほど、慎重な物言いにならざるを得ないのではないのかな、というのが当方の感じ方である。橋下市長には、話す力も説得力も備わっているのだから、優れた政治家であろうと思う。その能力を良い方向に使ってもらいたい、とは思う。発信力があること、変に染まってないこと、これが橋下さんの強みであると思うので、無駄に政治生命を潰さないように気を付けて欲しい。


4人組などを焚きつけることで注目を集める戦術ということなのかもしれないが、発信力も罵倒力もバトル能力も低い草食動物系学者さんたちをいくら痛めつけても、橋下市長の個人的評価や見識水準を引き下げることはあっても、逆はないだろう。弱い者いじめの類と見分けがつかない、ということである。

橋下さんは、そのまんま東を知らない仲ではないだろう?
彼がどのように沈んでいったか、というのを、学ぶべきだ。東国原は知事時代に「(自分を)自民党総裁に据えて選挙を戦う気があるなら、(出馬を)受けてもいい」ということを求めるまでになっていたのだ、ということである。大衆の関心も人気も移ろいやすいものだ。現時点で、そのまんま東に自民党総裁になって欲しいなどと願う人など誰もいないだろう。けれど、絶頂期にあると、自分の言い分が何でも通るような気になってしまうのだ。それは、目の前に落とし穴がポッカリと大きな口を開けて待っている、ということの警告である。

橋下さんが息の長い政治家としてやってゆくつもりなら、高みを目指すべく戦略を考えた方がいい。真に強い手札は、早々とオープンにしない方がよい、ということである。橋下さんには、政治家としての能力があるからこそ、こんな所で潰れないでもらいたいということだ。橋下さんが知事になったばかりの頃、市町村長たちから協力を得られず厳しい言葉を浴びた時、涙して訴えた気持ちを忘れないで欲しい。全てを自分の考え通りに行うことのリスクについて、よく考えた方がよいと思うのである。




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