雨の日にはJAZZを聴きながら

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Simon Spillett 『 introducing Simon Spillett 』

2007年03月24日 22時49分34秒 | JAZZ
昨年暮れから今年初めにかけて,買う新譜がことごとくはずれてしまい,意気消沈していたのですが,最近になりやっと運気が上向いてきました。この全く無名の Simon Spillett (サイモン・スピレット)のデビュー盤もかなりイケる作品で大当たりでした。

サイモン・スピレットは1974年,イングランドのバッキンガムシャー州に生まれ,10代後半にはディック・モリシーやスパイク・ロビンソンらに弟子入りし,地方のクラブに参加。その後イギリスの伝説的サックス奏者でありクラリネット奏者もであるヴィック・アッシュに2年半師事したようです。プロとしてのデビューは1996年で,当時21歳だった彼は既に自分のバンドを持ち,一方でデュオから大編成のバンドまで手がけ,ロンドンのロニー・スコットをはじめ,数多くのクラブで活躍していたようです。

本作は,彼がロニースコットで演奏していた時のバック・メンバーと一緒に制作したワン・ホーン作品です。スタイル的には完全にBebopやHard Bopです。全くBebop 言語から逸脱することがないのですが,兎に角,Bebopの常套句をこれでもかというくらい超高速で連発していき,もうその饒舌さには唖然とします。古い言語ではありますが,ここまで極めればこれはこれで立派です。音数の多さ,迫力はエリック・アレクサンダー並みです。もちろんエリアレの方がずっとフレーズは新しいですけどね。

“ a fiery saxophonist in the mold of the late Tubby Hayes ”と称されるように,タビー・ヘイズ直系の吹き手で,半世紀の時空を超えて現代に蘇ったタビー・ヘイズ,と言ったところでしょうか。1曲だけですが,タビー・ヘイズの《 Off The Wagon 》も取り上げているあたりも彼への敬意が感じられます。ジョニー・グリフィンやスタン・ゲッツあたりが好みの方には,絶対気に入ってもらえる作品だと思いますよ。

Simon Spillett 『 introducing Simon Spillett 』 2006 Woodville WVCD116
Simon Spillett (ts)
John Critchinson (p)
Andrew Cleyndert (b)
Martin Drew (ds)

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