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振り返るサハリンの旅⑤ サッカー親善試合日本vsロシア前編

2005-08-17 16:52:30 | サハリン紀行
7月29日

キャンプ場での2日目が始まる。
上の写真は男子部屋。当然のことながら、誰一人整理整頓なんてしない。

昨日風呂に入らなかったのが影響してなんだか体が気持ち悪い。
でもまあキャンプ場だからいいかと思って服装もジャージみたいなのにする。ついでに髪とかも適当に。
人間一つ崩れるとあっけないな。

朝食に向かう。

食堂での道すがら、事務局長に会った。

「おはようございます」
「おはよう。あ、今日サッカーの試合やるから。審判もわざわざ正式な審判を呼んであるから絶対勝ってね。日本からは代表として選りすぐりの精鋭を連れて来ました、と向こうには伝えてあるから」




・・・・・・・・・この人はきっとまだ寝ぼけているんだろう。


確かにこのキャンプ中にサッカーの親善試合を行うって事は聞いていた。当然サッカー大好きな私も出ようと思って、中村俊輔のレプリカユニフォームを持ってきていたくらいだ。

でもこちらは小中学生がメインのチーム構成、しかも男子の人数は全部で13人とホントにギリギリしかいない。
サッカー部所属の高校生が一人いるくらいで、あとは素人に毛が生えたくらいの一しかいなかった。


・・・・・・それが正式な審判を呼んだ??


なに?遊びじゃないの??
「日本からは精鋭を連れてきました」って勝手な事言ってんじゃねー!!!
こんな精鋭いないって。
むこうはたぶんユース代表くらいが来てると思ってるよ。



・・・まあでも、向こうも空気を読んで、こちらが小中学生メインのしょぼチームだと分かれば同じくらいの年齢層の人たちを試合に出してくるだろう。うん。

そんな風に自分に言い聞かせながら食堂前に着くと、なにやら本日の行動予定みたいなものが貼ってあった。


17:30~ サッカー親善試合


確かに書いてある。
だが良く見ると紙の端っこにこんなことが書いてあった。




「ロシアの選手達は本気です」






・・・・・・・・・・・・・・





井上さん(事務局長)挑発しすぎ!!!!


眩暈を抑えながら、とりあえず朝食をとろうと中へ。


・・・なんかミルク臭いな。今気分が優れないんだからスッキリしたものとか飲みたいんだけどなぁ・・・




朝食は名物「ミルク粥」でした。

なにもこのタイミングで来なくてもと思ったが、ロシアの朝食としては一般的であるらしいので仕方ない。

まあ昨日の夕食もいけたし、なんとかなるさ。



まず一口。

うん?普通なんじゃないの?

そして二、三口・・・・ああこれくらいなら大丈夫・・・・




・・・・・・・いや無理。



なんだこのお口一杯に広がる不快な香りは!!

なんかちょっと涙出てきた・・・



しかし私は大学生リーダー。
ここは子供達の手本となるべく完食せねば!!

心頭滅却すれば火もまた涼し系の心づもりでいけば食べられる!よし!

いく・・・いや無理無理。


だって今もう危うく吐くところだったもん。
ここで吐いたりなんかしたら大顰蹙な上にもらいゲロの嵐で後片付けとかみんなに迷惑かけちゃうもんね。

それをするくらいなら残した方が子供達の安全を守る上ではいい。


冷静な判断だ。

・・・・明日がんばろう。




そんなわけで栄養を十分に摂れぬまま食事が終わる。


今日はサッカーの試合以外にもいろいろなイベントがある。

日露友好150周年ということで出し物をしあうことになっている他、あの日本からわざわざ持ってきたモニュメントに色をつけて完成させることにもなっている。完成よりもなによりも、あの重たくてかさばる資材とここでおさらばできるのが一番嬉しい。


まずそのモニュメント製作が始まった。


しかし私はほんの少し色を塗っただけで製作を放棄せざるを得なかった。


なぜならロシアの子供達に次々とサインをねだられたからだ。
サインといっても主に「腕にマジックで漢字を書いて~」、というものだった。
タトゥーみたいな感覚だろうか。
一時間くらいひたすら漢字を書いてた。スターになったみたいで実に気分がよかった。

とにかく漢字が大人気だった。それも画数が多ければ多いほど喜ばれた。

最初は自分の名前を書いていたが、調子に乗ってきたので「撃滅」とか「秒殺」とかアグレッシブなことばっかり書いてやった。むろん超喜ばれた。


しかし向こうのテレビカメラが私の方に来た時はさすがに変なことは書けなかったので、背中に大きくレタリングで「誇」と書いてあげた。

取材の人に「誇」という字の意味を説明するのが難しかったが。




その後出し物の発表会。

続々と終結するロシアの人たち。




日本側の司会を私が務めることになった。

メイン司会のロシア人の人がわざわざ私を紹介してくれたのだが、これが非常に困った。

外人特有のあの高すぎるテンションで、「さあみなさん、日本からの司会者を紹介します。ヒカルです!」


WAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA・・・・・・!!!!!


500人のロシア人の大歓声を浴びる。
なんか指笛とか鳴らす奴もいるし。


・・・・・・・すみません。あの、自分ただ普通にしか司会やれませんから・・・


歓声を受けていたたまれなくなったのは初めてだった。


本当に無難に無難に司会をこなし、ついに私が参加する出し物の番がきた。




ヨサコイである。

鉢巻にはっぴ、そして鳴子を持ち、そのいでたちだけでロシア人の関心を引く。

演技開始・・・


今までで一番うまく踊れた気がする。練習の成果があったようだ。

あっという間に終わった。



するとロシア側からアンコールが・・・!!

向こうの心に響いたのだと、すごく嬉しくなった。






そしていよいよ試合の時間がやってきた。
グラウンドに続々と集まってくる観客・・・

しかしそのころには、我々はもう極めて冷静であった。
朝は散々ビビッたが、空き時間にロシアの子供達と軽いゲームをしたところそれほど差はない、というかむしろこちらが勝っていたからだ。

ロシアも本気でくると言っている以上、試合前にアップをしておきたいだろう。グラウンドが一個しかないため練習はここでしか出来ない。要するに先ほどやった相手が試合に出てくるのに違いない。
ちなみにこんな子たち。


これならば問題ない。

我々は非常にリラックスしたムードで、「ロシア意外に大したことないよね(笑)」なんて話していた。



案の定、グラウンドに集まってきたロシア人はさっきサッカーしてた子達。
こちらもアップのためミニゲームを日露混合で始めた。

・・・・・ん?

気が付いたら他の子達とは動きがまるで違う子がいつのまにか入っていた。
しかも見たことのない緑色のユニフォームの上下でキメている。


しばらくするとその緑ユニの子達が1人、また1人と増えていく・・・

そしてそれに応じて徐々にグラウンドを後にする今まで一緒にやってたロシアの子供達・・・



これは・・・・!?






最終的に緑ユニフォームは15人になった。
明らかに大人と思われる奴まで混じっている。

そしてピッチの半分を全体でランニングし始めた。





・・・・・・・・・・・本物のクラブチーム来ちゃったよ。





慌ててシステムを練り直す。
大学生は全てDFにまわし、守備重視のフォーメーションに変更。

もう誰の目にも余裕はなかった。






試合開始が近付くにつれ、どんどん増える観客。

どんどん追い詰められていくうちら。



・・・・・・・そしてさらなる非常事態が我ら日本代表を襲う!!


後編へ続く・・・

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2 コメント

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Unknown (DOリッキャー)
2005-10-17 10:49:23
事務局長にはめられたんじゃないか?そんなに本格的な試合をやるのだったら最初から行く前に言っておくべきだろう。
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Unknown (ひかる@管理人)
2005-10-17 11:00:44
まあまあ、なにが起こるか分からないのも旅の醍醐味ですよ☆
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