こたなたよりこんなこと

「登場人物」と「人物設定」は「フィクション」です。人物・企業・団体は実在のものとは関係ありません。

「モノ」から「標本」へする技。

2018年09月06日 | 博物館・科学館

 一昨日「国立科学博物館 上野本館」にて「昆虫」展を見に行きましたが、私自身あまり昆虫って好きじゃないんですよ…。「昆虫」展自体はそれでも楽しめましたが、本来の目的の一つは「企画展 標本づくりの技 職人たちが支える科博」が見たかったんですよ。

 「博物館」と言えば「標本」ですが、「収集」されただけの「モノ」を研究、収蔵、展示などの「目的に合わせて標本化」させることによって「モノ」から「標本」としての価値が生まれるのです。では、その「標本」。どのようにできるか知っていますか?そんな「標本」へする過程を紹介しているのがこの「企画展 標本づくりの技 職人たちが支える科博」なのです。

 まず「標本」と一言でいってもその種類は多く、大きな種類としても「植物標本」「動物標本」「鉱物標本」なんかがありますね。「植物」で言えば簡単にできるのは「押し葉」ですね。学術的名称は「腊用標本」といいまして、学術性や利便性、収納性に優れているいるので一番多用されている方法の一つです。コレもただ、押し葉を貼り付ければいいワケでは無く、植生を再現した姿で製作無ければならないのですよ。また、植物の種類によりますが「お湯で煮る」事によって「元の姿」に戻す「即席めん」のような事もできるんですよ。

 そして、動物標本」と言えば「剥製」です。剥製は「なめし」た皮を「なかご」と呼ばれる「型」に被せて作るのですが、この「なかご」を正確に再現しないと、品種分類学的に誤った形は許されません。なので、今まではその「なかご」の製作は「職人」さんの知識と経験が頼りでした。が、最近は「剥製」にする対象の複数枚の「写真」から3Dモデルを製作する「フォトグラメトリー」を用い、完成した3Dモデルを「3Dプリンター」で出力して「正確ななかご」を製作するようになったそうです。また、展示用では無く、学術調査用として「仮標本」や部位だけの標本もあったりします。

 また、「動物標本」で剥製と並んでよく見るのが「骨格標本」。こちらは特性上あまり製作過程は見せていませんが、簡単な紹介動画があります。ちなみにこの「動画」は「筑波事件植物園」から入れる「自然史標本棟見学スペース」でも通年を通して見る事ができます。

 そして「鉱物」の一つでもある「化石標本」。こちらの製作過程は特に力を入れている感じでしたね。今回は「例」として「シカマイア」という「巨大二枚貝」を岩の塊から掘り出す行程を動画を使って紹介しています。この「シカマイア」は長さ1mほどの大きさで硬い岩石に埋もれていたのを最新機材を用い、約1年半もかけて半世紀を経て取り出すことに成功したのです。

 発掘した「化石」は岩石なので、脆かったり、重さがあるため、全身復元模型を作るには大変。そこで「レプリカ」を作ることが多く、「展示」されている「化石」の多くは「レプリカ」なんですよね。この「レプリカ」の作り方は「シリコン」で型を作り、そこへ「キャスト」を流し込んで製作する。まるで「ガレージキット」や「キャストモデル」を作るのと同じ方法なんですよ。

 博物館で見かける「標本」はこうした方法で作られていると知るとまた、標本を見え方も少しは変わってくるのではないでしょうか?

 それでは、本日の登場人物は「博物館」の話でしたのでこの方。「ベルギー国立博物館 天体室」の「学芸員」で「ブリュッセル・グリフォン」の「Chefille」の「コレット・アバック」さんです。「天体室」と「標本」とは関係無い部署にいる「コレット」さん。そんな「標本づくり」の技に関心なのです。ちなみに背景が「企画展 標本づくりの技 職人たちが支える科博」の展示場入り口なのです。

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