こたなたよりこんなこと

「登場人物」と「人物設定」は「フィクション」です。人物・企業・団体は実在のものとは関係ありません。

あなたの眼、大丈夫?

2012年05月22日 | 天文・科学

 「金環日食」から1日が経ちましたね。昨日の夕刊やニュースでは「日食」のことがかなり取り上げられていましたね。

 で、「日食」が終わった後に必ず出てくるのか「眼の異常を訴える人」なんですよね。昨日は特に「薄曇」と「日食グラス」を使わなくても見れるような状態がありましたからね、その時に「裸眼で長時間見てしまった」とか、「日食グラス」をかけていても「長時間見ていた」などで「眼がチカチカする」とか「眼が痛い」とかの症状が出てしまうのです。なんでも「22日11時現在」で「18都道府県」で「74名」が「眼の異常」を訴え眼科に診療に訪れたようですね。そのうち16人が12歳以下なそうでして、特に大人よりも、「子供」の方が眼の異常が出る場合が多いのですよ。

 それで、この「日食の終わった後に眼に異常」が出るのはれっきとした「症状」でして「日食網膜症」といいます。太古の昔のギリシャから、太陽の観測によって眼を傷める症例はあり、今から400年前、世界で始めて「望遠鏡」による「天体観測」をした「ガリレオ・ガリレイ」も「望遠鏡」で「太陽」を見て「視力を著しく低下させた」との話もあるくらい。そして1722年に学会にて正式に「日食盲」とされ、19世紀に今の「日食網膜症」」または「日光網膜症」と呼ばれるようになりました。

 では、この「日食網膜症」はどのような「原因」でなるのでしょうか?昔は「眼球内」の「メラニン色素」などの「眼球色素」に光が吸収されたときに発する「熱」によって生じる「熱凝固」が原因とされていましたが、現在では「光化学作用」が原因とされており、「眼内」の「視色素」の「フラビン」、「リポフスチン」などが「光」を「吸収」した際に「活性酸素」や「ラジカル」が発生する現象で、それにより「網膜視細胞」がダメージをうけてしまうのです。この「光化学作用」は「波長の短い光」つまり「可視光線」では「青色光」で発生しやすいのです。「青いLEDライト」を見ると眼がチカチカしたりしませんか?太陽の光も一見は「白」ですが、実際は7色が混じって「白」に見えるのです。「プリズム」に「日光」を「通す」と「虹」ができますよね?アレは「プリズム」によって「太陽の光」が「7色に分解」されたからなのです。ちなみに「可視光」を分解した「虹」は「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」となって一番外は「紫」でそれよりも「波長が短い」のが「紫の外の光」という意味の「紫外線」つまり「UV」、「ウルトラバイオレット」なのです。その「光化学反応」で重要なのは、すぐに症状が現れず、時間が経過してから症状が発祥する事があるのです。なので、昨日日食を観測した時点では何も症状が無くても、夜や今日になっていきなり「眼に違和感」を感じたりする事があるのです。しかも「光化学反応」の効果は「蓄積」されるので、「観察中」に異常を感じ、しばらく休んで症状が回復したと思って観測を再開すると、新しい障害は、以前の障害に「プラス」されてしまうのです。

 症状としては「網膜」に「形態的異常」が無い「軽度」な物から高度な障害にいたる物まであり、典型的な「日食網膜症」は「中心窩」という「網膜の中心」に小さな「黄色斑」ができますが、通常は「1~2週間」ほどで「消滅」します。それでも1~2週間ですから通常の怪我と比べると「長い」ですね。最近では「OTC」と呼ばれる「網膜の断面」を観察できる機器が普及し、大抵の「眼科医」で設置されています。これによっての「網膜障害」の様子が報告さてれいるのです。「視細胞層」と呼ばれる「網膜外層部分」の配列の乱れから欠損にいたる障害も報告されているようです。さらに酷くなると「網脈絡膜萎縮」といって「網膜」が「死んでしまう」症状や、「黄斑円孔」といって「網膜」に「穴」が開いてしまう事もあり、こうなってしまうと完全に「視力障害」を起こし、「完全な回復の見込みは無い」状態となってしまいます。

 では「日食網膜症」になってしまったら?残念ながら「有効な治療法」は「ありません」。「ステロイド」の全身または局所投与が「消炎目的」で使用されることがありますが、「消炎」であり「直す」事にはなりません。ただ「ビタミンC」を「受傷前」に摂取しておくと「光障害」をある程度「抑制」できると「動物実験」による報告がありますが、「受傷後」に効果があるかは不明です。また「眼に強い光を与えない」ようにして「安静」にする事は勧められますが、どれだけの期間安静にさせるのかは不明なのです。

 ともあれ「中心暗点」や「視力低下」以外の不定愁訴の自覚症状は「自然回復」しますのでそれほど神経質にならなくても大丈夫でしょう。それに「視力低下」も時間はかかりますが徐々に回復しますし、「視力低下」が残る場合でも「0.5」程度でおさまりますし。ただし、「網膜変性」や「黄斑円孔」の場合は、予後が悪く、高度の視力低下が残る場合もあるようです。

 ともかく、「眼に異常」を感じたら「眼科」を受診しましょうね。

 それでは、本日の登場人物は、この方です。「養護教員」で「ビーグル」の「Chiefille」である「プリシア」さん。「養護教員」をしている「プリシア」さんを尋ねてきたのはなんと「理科」の担当教師である友人。なんでも太陽の観測をしていて眼を痛めたようで…。まぁ私も、少々右目が痛いですが、見え方がおかしいとか「眼球」が痛いわけでは無いので、ただの眼精疲労でしょうね。

 

2012_05_22

コメント
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