こたなたよりこんなこと

「登場人物」と「人物設定」は「フィクション」です。人物・企業・団体は実在のものとは関係ありません。

宝石としては知られていますが、実は結構謎なんですよ。

2011年04月05日 | 博物館・科学館

 絵本等で、まぁ最近は無いかもしれませんが「珊瑚」が登場するのを見ますよね?あの「薄紅」だったり綺麗な「紅色」だったりする「木」のような形の「珊瑚」ですが、皆さんはどんな事を知っています?初めの方でも書きましたが、「宝石」である事は多く知れていますよね?では「生物」って事は知っています?それと、「サンゴ礁」の「サンゴ」と「宝石」の「珊瑚」が同じ「さんご」なのに何処が違うのか?それを知る人は殆どいないと思います。私も、どうして同じ「さんご」なのに違うんだろう?と思っていました。でも、現在「国立科学博物館」にて開催されている「宝石サンゴ展」を見ればそんな疑問が解消でき、なおかつ「サンゴ」の歴史を知る事が出来ますよ。という事で、今回はその「宝石サンゴ展」のお話です。ちなみに、今回も「国立科学博物館 地球館1F」にてお送りしています。

 実は「サンゴの研究」が始まったのは20世紀初頭と、意外と研究の歴史は浅いのですが、宝飾品としては、それはもう「紀元前」から利用されていました。良く古代宝飾品にも「紅色」の綺麗な宝石が見られますが、それが「珊瑚」だったりし、それはもう「アステカ文明」からも見る事が出来ます。では一般的な「サンゴ礁」の「サンゴ」と「宝石」の「珊瑚」では何処が違うのでしょうか?そうそう、ここから先は「生物」としての「さんご」を「サンゴ」、「宝飾品」としての「さんご」は「珊瑚」と今回の「宝石サンゴ展」と同じ表記をしますね。

 まず、「サンゴ」はイメージ的に熱帯の海に見られ、カラフルな熱帯魚と同じ場所にいて綺麗な「サンゴ礁」を形成している。というのがあるのではないでしょうか?それとそれらは「熱帯魚」を扱うショップでも千円単位で売られていたりしますね。その「サンゴ」を触った事があると思いますが、その時「珊瑚」とは全く違った印象、ざらざらしていてモロイ感じがしたのではないでしょうか?一般的に「サンゴ礁」のサンゴは「六放亜鋼イシサンゴ目」や「ヒドロサンゴ」と呼ばれ骨格成分は「珊瑚」と同じ「炭酸カルシウム」を主成分とした「石灰質」なのですがこれらは「あられ石」と呼ばれる鉱石と同じで、基本的には「分子構造」がバラバラなので「モロイ」のです。一方「珊瑚」は主に「花虫綱八方サンゴ亜綱ヤギ目サンゴ科」に属し、その中でも「アカサンゴ」「モモイロサンゴ」「シロサンゴ」が「宝石サンゴ」として該当します。ただしDNA的な細かい分類をすると「アカサンゴ」は別種になるとも言われていますが、ともかくこの3種類が大まかに「宝石サンゴ」と呼ばれる物になるのです。そして堅い骨格は「方解石」と呼ばれる「石灰石」の中で特に堅く「モース硬度」では「3.5」と、これは「人間の歯」と同じ硬度をもっている事になります。ただし、宝石と考えれば「やわらかい」分類に入るでしょう。

 サンゴは「生物」である事を言いましたがこれは「刺胞動物」の一種で簡単にいえば「イソギンチャク」や「クラゲ」と同じですが、ひとつの塊で「ひとつの生物」ではなく、多くの「ポリプ」と呼ばれる、なんて言うんですかね「小さなイソギンチャク」みたいな生物の集まりで、「ポリプ」が形成する「石灰質」が私たちが良くいう「サンゴ」や「珊瑚」なのです。でもこの成長具合ですが、どのくらいの速さで、どのような環境で良く育つのかは全く謎、といいますか、まだまだ研究が始まったばかりなのです。日本では「高知県」が珊瑚の加工が盛んな土地で「高知大学」がここ20年くらいから本格的に研究に乗り出していますが、それ以前は20世紀初頭のただ一人の研究者の記録しかない状態だったそうです。つまり、「珊瑚」としては昔から知られていますが「サンゴ」として見ると殆ど研究がされていない未知の生物なのです。しかも今まで「見かけ」で決めていた種類も「DNA」的に調べると「全く別の種類」かもしれないとまで言われているのです。

 「珊瑚」の漁は昔からおこなわれており、紀元前では「イタリア」、「地中海」辺りで頻繁に行われており、日本では「江戸時代末期」近くまでは「輸入」するしかなく大変高価な物でした。実際「江戸時代初頭」では「イタリア」から輸入された珊瑚が使われているそうですし。明治に入り「高知県沿岸」、水深200mくらいのトコでも取れる事が解り、本格的に「珊瑚漁」が始まったとされています。基本的に「珊瑚」は「海底」に木の様に生えていますから、特殊な珊瑚漁用の網で海底を引きずり漁をしていたのです。ただ、サンゴは成長が遅く、一説によると50年で1cmくらいしか成長しないとも言われており、乱獲によりその数が減ってきている事は確かなのですが、生息分布も詳しく解らない状態ですので、現在それを調査し、「生息マップ」を制作しているようです。そして「宝石サンゴ」も「生物」ですから「サンゴの養殖」も可能です。ただ「生態」が謎ですからこれも大変難しく、成長が遅い事もありますから困難でしょう。現在日本国内では「沖縄 ちゅら海水族館」が唯一「宝石サンゴ」の「飼育」に成功しているようです。「宝石サンゴ」の多くは「水深200m」の深海にすんでおり、その管理は大変シビアで、温度、海流などをきちんと管理しないとダメと困難なようですが、なんとか成功したと言うトコでしょうか。

 このように意外と「生態」は知られていないサンゴ、その「宝石サンゴ展」の終盤では「ジュエリー」としての珊瑚が多数展示されていましたよ。

 ともあれ、今回は「春休み」とあって「小さなお子様」が多く、でも「東日本大震災」の影響でしょうかあまり混み合っていませんでした。あと「展」の特性から「序盤」はじっくり見る人は少なく、後半の「ジュエリー」の方ではケースに齧りついて見ている方も結構見受けられました。当然女性が多かったですね。まぁ、私は「宝石よりも科学」ですから、逆にジュエリーはスルーでしたけどね。「企画展」としては「通常入館料」だけとリーズナブルです、ただ「展示」が「作品」を含むので「展」「全体で撮影禁止」となっていますのでご注意を。でも展示什器も綺麗でしたから撮影禁止はもったいなかった気がします…。

 それでは、本日の登場人物は「博物館」と「古代美術」も関連しますから当然この方、「ベルジアンタービュレン」の「Chiefille」で「古代美術」を専攻している「ベルギー国立博物館」の「学芸員」である「リリアーヌ・コラフェイス」さんコト「リリア」さんです。古代から宝飾品として使われている珊瑚、その生態も一緒に学んじゃいましょう。

2011_04_05

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