爆発物処理班

ピロシの額に浮かぶ　脂汗にも似た冷や汗
それは爆発の予兆を来たしてから　かれこれ1時間は経つ

いつ何時　炸裂するか判らぬ　その危険物を懐に抱いたピロシ
先を急ぎたいが　走ろうに走れず　
ほんの3分ほど前に　その爆弾は　最後のカウントダウンを刻みだした
わずかな振動でも炸裂するかも知れぬ

安全な場所までの道のりは　後40ｍ、30m、20m．．．

後もう少し．．．

その安全な場所は　とある東京郊外の　古びたマンションの3階
エレベーターを出て右奥
そのエレベーターはピロシが1Fロビーに着いた時　6の位置でオレンジのランプを光らしていた
“Oh　Shit．．．”　思わず舌を打つ
階段を使いたい所だが　その振動が　その懐の爆弾に　どのような影響を及ぼす事か？
想像しただけで恐ろしい
ピロシはケツの穴をクッと力を込め　そのエレベーターを待つ　

遅い．．．

そのようやく１Fに着いたエレベータに　ピロシは逸る心を抑えつつ
心は爆走　足はすり足

其処から安全な３Fまで．．．

遅い．．．

その脂汗にも似た冷や汗は　ピロシの足さえも震えさせる
普通に立つのも　だからと言って前に歩くのも苦痛だ

“グルグル”　
そのピロシが抱えた懐の爆発物は　まるで今にも獲物に飛び付き　食い掛かろうとする猛獣の様な音を立てているようだ

ほんの数十秒が　何時間にも感じられる

その安全な部屋の前に着き　鍵を差し込む　
その場所へはもう一つ扉を開けなければならない。

ドアを開け　思い切って小走り

もう一つの扉を開け．．．

白い瀬戸物で出来た椅子の様な物に　全てを投げ捨て座り込むピロシ


その時であった。　

ボンッ　ドボボボボッ！！

間一髪であった．．．

ピロシの脂汗にも似た冷や汗と苦痛に満ちた顔は

この世の物とは思えないほどの安堵に満ちた顔に変貌した

“は～ぁ．．．”