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データは告げる。『公共事業が日本を救う』と。 ~「コンクリートから人へ」に異議アリ!

2011-01-31 13:24:19 | コラム

なぜ日本人は民主党を選んだのか? 長く続いた自民党政権に嫌気がさしたせい? オバマの大統領就任の“チェンジ”の熱に感化されたせい?

確かに、“消極的”“消去法”によって民主党が与党に推されたという面もある。だが、それだけではない。「コンクリートから人へ」というキャッチ フレーズを掲げた民主党の公共事業の削減という政策を、国民が主体的に選び取ったのではないか。そしていまなお「公共事業が悪である」という世論は根強 い。

財政赤字の原因は公共事業にあらず

公共事業が日本を救う』藤井聡著、文春新書、872円

本書は、公共事業が悪玉にされる現状に異を唱え、そして「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズとともに脱公共事業を打ち出す民主党政権の政策に疑問を投げかけるものである。

われわれは「日本の公共事業は過剰だ」という認識を持っている。これまで、GDP(国内総生産)に占める公共事業費の割合の国際比較をもって、そ のことが幾度も示されてきた。だが、土木工学の専門家である著者は、そのデータの不備や操作された箇所を見出し、同じ指標で国際比較をやり直す。その結 果、日本の公共事業の割合は、アメリカやカナダを下回っていることを指摘する。国際比較という点では、決して日本の公共事業費の割合は高くはないのだ。

さらに筆者は、ムダな公共事業こそが、昨今の財政悪化の原因という常識も覆す。社会保障関係費と公共事業関係費のここ10数年の推移を示した図表 を見ると、1998年度には約15兆円とほぼ同額だった両者の額は、この12年間で大きく差がついたことがわかる。公共事業関係費は、年々下がり続け、 2010年度では半分の7兆円を下回る。一方、社会保障関係費は、2倍近い25兆円を超える規模に増えている。

ここから明確になるのは、現在の財政赤字の急増は、社会保障関係費によってもたらされたという事実である。公共事業を減らしたところで焼け石に水であり、逆に急務なのは、ふくれあがる社会保障関係費の抑制であることがよくわかる。

本書の核であるこれらの指摘は、第1章のたった31ページで鮮やかに示される。以後のページでは、公共事業を止めることのデメリット、ダムの有用 性、日本道路の効率性などが語られるほか、最近の新書でネタとされることの多いコンパクトシティを巡る議論につながる内容も盛り込まれている。これらを読 み飛ばして構わないとまでは言わないが、そう言い切ってしまいたいほどに、第1章は必読だ。

本書によって、公共事業への誤解はよくわかった。ここからは、なぜ公共事業だけが悪者になるのかという理由について評者なりに考察してみたい。

公共事業の削減が始まったのは小泉政権時代のこと。小さな政府を明確に打ち出した小泉政権にとっては、当然の選択だ。同時に自民党政権は「後期高齢者医療制度」をはじめとした、福祉関連費を抑える政策もすすめてきた。

だが、これは後の政権に受け渡されてから問題視されるようになり、高齢者を中心とした国民からの反発を受ける。自民党政権が命取りになった理由の 1つに、こうした福祉関連の予算切り下げへの反発があった。高齢化が進むこの国では、人口も多く投票率も高いこの層を敵に回しては、選挙で勝てないのだ。

つまり、社会保障関係費の削減に触れることは、政権にとってタブーなのである。民主党の示す来年度の予算においても、社会保障関係費の改革を打ち 出すには至っていない。民主党のこれまでの施策の中で国民に明確に支持されたものが、事業仕分けの透明化であることも示唆的だ。国民は、脱公共事業や財政 縮小ばかりを政権の判定材料にしているように思われる。

実は、アメリカにおいても似た状況が見られる。現在、草の根保守運動ティーパーティの台頭により、オバマ再選を疑問視する見方が生まれ始めてい る。ティーパーティが生まれた背景にあるのは、リーマンショック後の対処のために投じた多額の財政出動に対する疑問の声である。伝統的に小さい政府を支持 するアメリカ国民から、財政出動による金融機関や大企業の救済や、グリーンニューディールと名付けられた大規模公共投資に対する疑問の声が上がり始めたの だ。

こう並べると、公共事業縮小を肯定的にとらえる点で、日米両国民はよく似ているように見えるが、内訳は逆向きだ。すなわち、アメリカ国民は「大き い政府」志向への反発から財政縮小を歓迎するのに対して、日本は社会保障事業の削減、すなわち「小さな政府」志向への反発から同じ態度を示すのだ。

加速するポピュリズム

しかし、どちらの国民の態度にも誤解が多く含まれている。アメリカの財政出動は、経済危機に対する応急処置であり、大きい政府を志向しているわけ ではない。経済学者のクルーグマンなどは、まだ財政出動の額が足りないと指摘しているぐらいだ。日本の場合は、本書の著者が指摘するように、公共事業が悪 だという認識自体が、大きな誤解に基づいている。

このように、政権とそれを判定する国民双方が誤解を放置したまま、政局だけが上滑りしていく政治状況は、日本もアメリカも同様である。マスメディアは、その空回りに拍車をかけている。ポピュリズムは、この3者がうまくドライブすることで加速するのだ。

本書は、社会に生じている誤解、とりわけ財政をめぐる誤解を丹念に糾していく。こうした働きかけの積み重ねでしか、ポピュリズムのドライブは止ま らないだろう。マスメディアが真になすべき仕事とは、著者のように社会の上滑りを止めるための材料を積み重ねていくことではないだろうか。

データは告げる。『公共事業が日本を救う』と。 ~「コンクリートから人へ」に異議アリ! より



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