ボチボチかめさん

良い日本を夢見てきましたが 現実は遠のくばかり
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日本のこと 日本人のこと

【山妣】やまはは

2007-07-15 19:08:35 | 図書館


ずっしりと重たいこの小説をやっと読み終えた。
やく2週間 ブログも参院選への関心もうっちゃって 貪るように読んだ。

拙ブログに 時々コメントをくださるPの視点さんの 非常に興味をそそられる書き出しで
この小説を知った。

新刊だと思い本屋に行ったのだが、11年も前に発表された作品だった。


坂東眞砂子(ばんどう まさこ)

このような作家がいたことも知らなかったし、小説というジャンルも久しぶりに読んだ。

高知県・1958年生まれだというから、現在49歳というところだろうか、、、。
ホラー小説と呼ばれる作品が多いようだが、「死」と「性」のみを主題とした作品が特徴のようである。

この人、
日経新聞に「子猫殺し」というタイトルで、エッセイを掲載。
交尾し 子を産むのが 雌という性を持つ猫にとっての幸せであり、
その幸せを奪わないことと引き替えに、坂東自身が育てられないとして
子猫をすぐに母猫から引き離し、崖下へ放り投げ殺すという内容で非難を浴びている。

このことが原因かは知らないが、現在はタヒチに在住し、家庭菜園で自足自給の生活を送っている。


さて、その【山妣】とは、、、

この物語、頃は明治末期、文明開化の波も遠い山妣(やまんば)の伝説が伝わる越後が舞台である。

小正月と山神への奉納芝居の準備で活気づく寒村に、芝居指南のため、東京から二人の旅芸人が招かれる。

普通とは違う性を持て余す美貌の役者・涼之助と、
その地の大名主の跡取り 鍵蔵の後妻に納まる謎だらけの妖艶な若い女・てる。

その2人が出会い、密通に至った時、それまで維持されていた均衡は崩れ、
20数年前に起きた殺人事件と絡ませながら、雪に閉ざされた村の中で渦巻く 血と金と愛憎の狂気。

涼之助の出現によって赤子の首を食うと恐れられた伝説の
山姥(やまんば)の正体が、次第に明らかになっていく。

実は、理由(わけ)があって、山妣(やまはは)となってしまう壮絶な話の展開は、
読み手を深い世界に引きずり込み 見事な手法と言わざるを得ない。


この物語には、同時に さまざまな家族の絆が描かれている。

「きっと男には軛(くびき)が必要なのだ。
妻にとっても病気持で借金まみれの夫は軛だろう
しかし、自分たちはお互いの軛を絆とすることで生きてきたのだ。
あの女には、軛を絆に変える芸当はできない。
軛があれば、むしりとってしまうだけなのだから。」

物語のこの文章、、、、
終生 自分の巣をつくらないわたしには、重くのしかかる言葉だった、、、



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