未明から降りだした雨音の激しさに目が覚めた。
時間を確認して窓へ視線を送り、その雨の強さを再確認した。
そして、もう一度眠り直そうと思った時に
つい先程まで私の全てだった夢の世界は跡形もなく消えていた。
記憶を搾っていくうちに概略は思い出せた。
だけどあれだけリアルだったのに、
信じるには足りないほど、細部はもう思い出せない。
雨音にも慣れてくると、それさへ意識の脇へと追いやられていた。
日々繰り返されている、夢と意識と無意識の連携作用。
物質社会にどっぷり浸かって暮らしているのだから、
個人の中だけで消えてなくなったものは、
最初からなかったものと直ぐに変わらなくなる。
大小を問わなければ、誰にでもある閃きの経験に、
この種の生命は生きづいているのかもしれないが。
ふと、ある記憶が頭をよぎった。
近頃聞かなくなった
「チョットイイデスカ?アナタハカミヲシンジマスカ?」
の二人組からの唐突な質問。
そして、
信じるという言葉すら必要ない時代があったんだ
という気になった。
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