朝晩の冷え込みと日中の気温差が大きい季節。
人間様にとっては、心地よくない事ではあるけれど、
紅葉の季節は短いだけに、色づくのを待っている時間というのは、それはそれでいいものでもある。
どこかそわそわする春の花待ちの季節もいいけれど、落ち着いた秋の空気も捨てがたい。
一つ一つの物事や所作を、見つめ直して大切にしていこう、なんて気持ちにもさせてくれる。
たいていは、ここでも心と体は離反していて、着替えるつもりが脱いだズボンをまた履くような
心は上の空を向いていて目の前のことがおろそかになって終わるのだけれど。
心の空にはいつも妄想の雲が立ち込めていて、空を見上げることを忘れていることはあっても、快晴なんてことはないから、
秋の高い青空を眺めていると、実にすがすがしい気分にさせてくれるんだ、という仮説が好きになる。
そして幸せも、天気の移り変わりがなんとなくわかる時があるように、
実は既にそこにあって、見えたり隠れたりするものなのかもしれない、という妄想の雲が月を呼ぶ。
理屈はどうあれ、無意識レベルに近い感覚で黄色く色づき始めた葉を探し、赤くなり始めているのを見つけるとうれしくなる。
箒で集める埃にも秋が笑う。
馬鹿の思案眠るに似たり、憂いはきつつ夢見て笑う。