角田光代さんの「八日目の蝉」が文庫になっていたので,早速読みました
角田さんの作品は,「対岸の彼女」と「ひそやかな花園」を読んでいますが,
「八日目の蝉」は,「ひそやかな花園」と似ているように思いました
「八日目の蝉」は,不倫相手の子を中絶した女性が,その不倫相手の妻が生んだ子を拉致して逃走する,という前半と,
その拉致された子が,かつて「母」と呼んだその女性の存在を受け止め,自分の家族の葛藤も受け容れ,自ら母となる決心をする後半の二部構成からなります。
母と子の関係を中心として,家族の関係を,拉致という非日常的な事件から浮き彫りにしようとする「八日目の蝉」に対し,
「ひそやかな花園」は,やはり母と子,そして家族の関係を,非配偶者間人工授精を題材に描こうとする作品。
ともに,自分とは直接関わりあいにならなそうな事件・技術をテーマにしつつ,
普遍的な家族の問題,家族に対する感情を描いているので,どこか主人公に共感しながら読むことができます。
私は,小川洋子さんの作品が好きで,一時期よく読んでいたのですが,
彼女の作品は,息をつめて丹精込めて作られた精巧な箱庭みたいな世界だと思うのです。
すごくよくできていて,静謐な世界観も確立されていて,読んでいると,その世界に引き込まれたような静かな空気に包まれます。
でも,主人公はどこか遠くにいる気がして,彼らの心情に寄り添う,というのは少し難しいのです。
一方,角田さんの作品は,
主人公の心情に寄り添って,自分だったらどうするだろう?と自然に考えてしまう小説です。
小説世界が,実はあり得そうにない話なのに,すごく自分に近いように思うのです。
どちらも好きな作家さんなのですが,すごく対照的だなぁと思って,
つい,小川さんのことを引き合いに出してしまいました。
「八日目の蝉」は,後半パートが綺麗にまとまり過ぎていて,ちょっと食い足りない気もしましたが,
でも,すごく面白くて,しかも,家族や「幸せ」について,考えさせられました。
映画も公開されるようで,こちらも気になります
ちなみに,「ひそやかな花園」は,連載中に読んだだけなので,こちらも文庫になったら,すぐチェックしたいなぁと思います
角田さんの作品は,「対岸の彼女」と「ひそやかな花園」を読んでいますが,
「八日目の蝉」は,「ひそやかな花園」と似ているように思いました
「八日目の蝉」は,不倫相手の子を中絶した女性が,その不倫相手の妻が生んだ子を拉致して逃走する,という前半と,
その拉致された子が,かつて「母」と呼んだその女性の存在を受け止め,自分の家族の葛藤も受け容れ,自ら母となる決心をする後半の二部構成からなります。
母と子の関係を中心として,家族の関係を,拉致という非日常的な事件から浮き彫りにしようとする「八日目の蝉」に対し,
「ひそやかな花園」は,やはり母と子,そして家族の関係を,非配偶者間人工授精を題材に描こうとする作品。
ともに,自分とは直接関わりあいにならなそうな事件・技術をテーマにしつつ,
普遍的な家族の問題,家族に対する感情を描いているので,どこか主人公に共感しながら読むことができます。
私は,小川洋子さんの作品が好きで,一時期よく読んでいたのですが,
彼女の作品は,息をつめて丹精込めて作られた精巧な箱庭みたいな世界だと思うのです。
すごくよくできていて,静謐な世界観も確立されていて,読んでいると,その世界に引き込まれたような静かな空気に包まれます。
でも,主人公はどこか遠くにいる気がして,彼らの心情に寄り添う,というのは少し難しいのです。
一方,角田さんの作品は,
主人公の心情に寄り添って,自分だったらどうするだろう?と自然に考えてしまう小説です。
小説世界が,実はあり得そうにない話なのに,すごく自分に近いように思うのです。
どちらも好きな作家さんなのですが,すごく対照的だなぁと思って,
つい,小川さんのことを引き合いに出してしまいました。
「八日目の蝉」は,後半パートが綺麗にまとまり過ぎていて,ちょっと食い足りない気もしましたが,
でも,すごく面白くて,しかも,家族や「幸せ」について,考えさせられました。
映画も公開されるようで,こちらも気になります
ちなみに,「ひそやかな花園」は,連載中に読んだだけなので,こちらも文庫になったら,すぐチェックしたいなぁと思います