カラス

カラスと共に生き物の世界を覗き見る

おしどり夫婦

2006-04-29 04:53:27 | その他

 「おしどり夫婦」という言葉を聞いた事があると思う。いつも一緒で仲むつまじい夫婦の事を指すらしい。言葉の由来はカモ科のオシドリから来ているのだろう。オシドリに限らずカモ科の鳥は♀が抱卵を始めるまでは本当に仲むつまじく、羨ましい限りである。

 最近はカモ類が営巣場所を探してうろうろとしている姿を見掛ける機会が増えている。番で茂み等へ向かい、♂が最初に様子を見て、その後「クックックッ」という小さな声で♀に合図する。♀もそれに応えるように合図している。♀は茂みへ入り営巣場所候補を物色している。その間♂は周辺を見張りながら「クックックッ」と鳴いている。この姿を見ていると限り「おしどり夫婦」という言葉がお似合いだろう。

 しかし実際には♀が抱卵を始める頃になるとあんなに深かった番関係は消滅してしまい、♂はまた新たな♀探しへの旅を始める。時々もてないのか求愛がヘタクソなのか、手当たり次第に求愛している♂を見掛ける。悲惨な場合は子連れの♀でさえ襲い掛かって行く。しかし子を持つ母は強い者で♂を引きずり回す勢いで追い払う事がある。この時の♂の情けない表情をみていると気の毒な気にさえなってしまう。どの世界にも不器用な者は存在する。

 カモ類は営巣の他にも♂の♀に対する気遣いがある。皆さんは気が付いているだろうか?番になっているカモ類が一緒に飛んでいる所を・・・・・・。♀が前で♂が後ろにいるのである。これは♀を守る為と言われている。前方からの危険は自分で確認出来るので大丈夫だが、後方からの危険は自分では確認出来ない。そこで♂は♀の後ろを飛び♀を守っているのである。もちろん♂自身は自分の後ろの危険は分からないだろう。♂は自分の身を犠牲にする覚悟で♀を守っている事になるだろう。

 そこまでしておしどり夫婦を築き上げていたにも関わらず番関係は意図もかんたんに解消してしまう。全く不思議な世界である。人だったら社会的にいろいろと問題視される事だろう。

 ちなみにカラスは本当の意味でおしどり夫婦といえるだろう。年中一緒に行動し、繁殖期になるとそのいちゃつき振りは右に出る者がいない程濃厚である。現在は抱卵中の番が多いので♂から♀への求愛給餌も頻繁に見られる。また♀も普段以上に♂に甘えている姿も見掛ける。

画像:マガモ番

コメント (2)
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