日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

近況報告 (後半でプライマリーバランスの黒字化の課題についても書いています。是非、読んでください)。

2015年04月02日 | 日記

近況報告

 

1.英文メールを頂きました。“ I’ll be there for you.” と、ありました。気持ちに芯

が通る温かさと強さを頂きました。感謝申し上げます。

 

2.サーバーを1台作りました。去年の7月から作り始めたものですが、“農薬の話”に

書いたようなことがあって中断していました。素人が廉価に作ったものとしてはなかな

かの物ができたと思います。ソフトレスのメーカー製サーバーにソフトを入れ、メモリ

ーを追加しました。もう一台作ろうと思います。

 

3.農薬訴訟の審理は進んでおります。私の農薬被害の病状の診断書も出ました。

 

4.農薬や化学物質は、撒くと見えなくなります。この見えない手段を使って人を害

し、訴えられると、「知りません」、「農薬を使ったことはありません」と言い抜

けを行い、事実(事件)そのものも見えないが故に、無かったことにしてしまうことさ

え可能とするロジック ― これが罷り通る社会は、詭弁社会であり、歴史の中で培(つ

ちか)われてきた法の土台を持たない社会です。私達はこれを許してはなりません。

 

5.訴訟審理は次回(5月)が最終回です。日はまだ決まっていないのですが、その次

が判決日となります。そして控訴審です。この訴訟への応援をお願い致します。

 

6.最近、世界の様子がちょっと変です。第2次世界大戦後に形成された世界秩序に

は、黙契のような暗黙の了解事項があったように思うのですが、これが壊れて行ってい

るのではないかと思うのです。中東、アフリカ、ギリシャ、ロシア、中国と、従来の世

界の秩序を蹴飛ばしてでも、言った者の勝ちの自己世界が通ればそれで良いと思う指導

者が登場してきているように思います。特にギリシャとロシアには要注意です。ギリシ

ャは、既にEUの負担となっています。チプラス政権は、EUが彼らのために負担を負

ってくれることを期待しています。ギリシャの銀行からは預金が流出しており、4月1

日、ECB(ヨーロッパ中央銀行)による緊急流動性支援の週次審査が行われました。

(4月2日、進展があったという報道がありました)。国を預かる者は国をこのように

してはいけません。EUの秩序にギリシャが戻ってくれることを願いましょう。次にロ

シアです。プーチン大統領は、ウクライナとの領土を巡って、「核」の準備を命じたと

言います。この所作の意図は、当然、EUやアメリカに向けてのものでしょう。プーチ

ン大統領にも、世界史を前に進める指導者へと立ち還(かえ)って頂くようお願いしま

しょう。

 

7.さて、日本です。ギリシャの問題は他人ごとではありません。昔(2000年11

月)、自民党で「加藤の乱」と言うのがありました。当時、日本の借金は中央、地方を

合わせて800兆円と言っていました。今は2014年末で、国の借金(国債、借入

金、政府短期証券の合計)が、1029兆9205億円です(2015年2月10日、

財務省発表)。日本は2020年までにプライマリーバランス(PB)を黒字にすると

いう国際公約を掲げています。あと5年しかありません。これを何としても達成しなけ

ればなりません。どうやってやるのでしょうか?家計簿と一緒です。税収(収入)増と

歳出(支出)の削減しかありません。家計簿と異なる点は、「平成の大改革」と呼んで

も良いような、社会の在り方の変革と私たちの意識の変革がともなわなくては、この改

革は成功しない点です。これも家計簿と一緒だと言われれば、その通りです。そして、

「平成の大改革」だとかの文字にすると「何だ、何だ!」と思ってしまいますが、そん

なに難しいことではありません。税収増のために既存の産業に加えて、新しい産業、新

しい産出力を持つ企業、それらを生み出す能力と意志のある人々を育てる政策を行うだ

けのことです。新しい産業と新しい企業群の出現は、GDPと税収の増加に繋がりま

す。これをやらなければ、国民に負担のみを求める緊縮財政になってしまい、成功しま

ん。緊縮財政は縮小した経済の均衡を生み、社会を固定化させます。こういった社会

の負のパターンを社会が生んでしまうのには、どこかに原因がある筈です。予算の中に

は社会が発展して行くビジョンも示さなければならないのです。ここで言っていること

は、今まで続いて来た日本の財政を改めましょうという話です。そしてビジョンを示し

て進みましょうということです。このことに加えて更に、私達は、歳出の削減のため

に、私達の負担の在り方の大議論を起し(幸いなことにその議論は既に起きているよう

です)、その合意事項を実施して行かなければなりません。これをやらなければ日本は

立ち行かなくなります。ギリシャを見ていて日本のその時が来たと思うのです。そし

て、これもまた幸いなことに、アベノミクスによる日銀の「量的緩和」は、まだ地方や

中小零細企業にはそのメリットが及んでいないという声はあるものの、企業の好業績を

生んでおり、景気の先行きには、3月の日銀短観では産業・業種・企業規模によって見

通しはさまざまですが、改革の議論を巻き起こすには良い時だと思うのです。

 

8.私は難しいことを言っていません。ルーチン(定型的)な課題の解しか出せない社

会ではなく、新たな世界を発見する課題を自分で作り出し、それを解いて行くことが出

来る社会にしようということです。アメリカを見ましょう。マイクロソフト、アップ

ル、グーグル、アマゾン、インテルといった企業はそれまでには無かった会社です。ア

メリカの知的財産権の保護政策やシリコンバレーの企業群のキャパシティ、それにアメ

リカ社会のキャパシティがこれらの企業を育てたと言えます。こういった社会に日本も

しようということです。また、オバマ大統領になってアメリカは、宇宙部門の民間委託

を政策として決定しました。そして今、アメリカでは、イーロン・マスク氏という新し

い企業家が作った新しい企業(スペースX社)が、ローコストのエンジンを使ったロケ

ットを作り、ISS(国際宇宙ステーション)に輸送ロケットを飛ばしています。政策

決定からスペースX社のロケットがISSに輸送物資を運ぶまでに何年かかったでしょ

う。何年もありません。そしてアメリカでは、宇宙産業という新分野が確実に育ってい

ます。私達もこのような彼らのキャパシティを取り入れる必要があります。良いものは

良いのです。

 

9.では、日本の新産業になるものとは、どんなものがありましょうか?考えてみまし

ょう。皆さんもお考えください。先ずその分野の潜在的な能力を有していなければいけ

ません。たくさんあります。私は、昨年の12月31日のブログで “Clean& Sm

art Society”(クリーンでスマートな社会)と書きました。この目標に向け

て、今、日本では様々な分野で取り組みが行われているのは御承知の通りです。これら

の取り組みを産業として一本のベクトルにまとめるには、“Clean& Smart 

Society” ではどうもインパクトを欠きます。もっと具体的にストレートにイメー

ジできるものでなければいけません。そこでこれを具体化する表現として、“都市”と“水

素社会”と言う表現は如何でしょうか?都市には全てのものを含みますからその産業構

成のすそ野は広く、経済効果も複次的に波及して行くものとなります。都市のプランニ

ングと建設を輸出するのです。そしてこれらは、既に商社においてやられています。水

素社会も既に、社名は挙(あ)げませんが、様々な企業において取り組まれており、い

くつかの都市ではそのモデル化が行われていることは御承知の通りです。次がロボット

と宇宙です。ロボットは産業用と軍事用を除いた民生用で考えます。“どらえもん”や“鉄

腕アトム”のような人間親和型ロボットが一家に一体普及すると、もう世の中は変って

いるでしょう。彼らの移送手段はどうするのかだとか、彼らの法律上の扱いはどのよう

にすればよいのだろうかとか、考えると楽しいですね。宇宙分野の技術に関しては、日

本は相当高度なものを持っています。これらの技術は、GPS機能を使った位置情報の

個人への提供や、気象情報、資源情報、地図情報、災害追尾情報の提供として、それら

の衛星技術の商業利用が進んでいます。宇宙の産業化には、企業が独自に調達したロケ

ットで商用衛星を打ち上げることが認められるまで、国際条約や国内法の整備が進む必

要があります。そして私達はこれをフロンティア精神でもって進めなければなりませ

ん。

 

10.さて、再びプライマリーバランスの黒字化に戻します。

 

a.最初に、プライマリーバランス(基礎的財政収支)について、財務省ホームページ

から引用します。「基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、税収・税外収入

と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支の

こと」です。

 

b.次に、平成26年度予算から歳入と歳出の内訳を見ます。

歳入

所得税      147.900億円

法人税      100.180 〃

消費税      153.390 〃

その他税           98.540 〃

その他        46.313 〃

建設公債       60.020 〃

特例公債        352.480 〃

 計          958.823 〃 (=95兆9000億円)

 

歳出

社会保障費      305.175億円

地方交付税    161.424 〃

(交付金等

公共事業費      59.685 〃

文教科学振興費    54.421 〃

防衛費        48.848 〃

その他        96.568 〃

国債債務償還費    131.383 〃

利払い      101.319 〃

 計       958.823 〃 (=95兆9000億円)

 

c.上記から、政府歳入(税収)は、その他収入を含め、546.323億円=54兆

6000億円となります(黒字部分)。歳出は、公共事業費を含め、726.121

億円=72兆7000億円となります(赤字部分)

 

d.見ての通り、歳入がまるっきり足りません。現在は東日本大震災後の復興時にあり

ます。十分な手当てが必要です。しかし、このバランスシートは修正しなければなりま

せん。これを修正する社会の在り方を考えねばならないのです。私が昨年の12月31

日のブログ『アベノミクスと第3の矢』の中に書いていますように、日本のGDPに占

める政府支出の割合は約46%です。アメリカも必要な政府支出の捻出には苦労されて

おり、たまに政府機能が止まったりもしていますが、アメリカのGDPに占める政府支

出の割合は約24%です。この差は何でしょう。これの意味するものは、日本の政府は

大きく(日本の国民の政府依存度は高く)、GDPに占める民間の産出力はアメリカよ

りも小さいということ意味します。日本の社会はどのようなものであるか、バランスシ

ートに表現されているのです。昨日か一昨日、日本の銀行に対して、国際決済銀行から

国債購入分の自己資本の積み増しの要請が来ていることを推測させる記事がWebブ

ルームバーグ上にありました。世界は心配しているのです。

 

e.本当に本当に、プライマリーバランスを黒字化する改革に着手しなければなりませ

ん。そして、この問題は単に消費税や所得税、贈与税の増税や、新税の導入をもって帳

尻を合わせれば済むという問題ではありません。それで済ませれば社会は死んでしまい

ます。新しい息吹が躍動する方法と道を探(さが)し、そこへ進んでいかなければなら

ないのです。

 

f.諸君、議論を興し、実践してください。

 

 

  

                満開の桜

 

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