横浜の建築設計事務所 コア建築設計工房のブログ

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プラスチックの現状

2021年08月02日 | 環境問題

おはようございます。
神奈川県横浜市にある設計事務所・株式会社コア建築設計工房の井下です。

 こどものころ(1980年代)、石油はあと30年で枯渇すると学校で教わりましたが、今現在でもまだあと50年は採掘可能であるとか、シェールガスがアメリカで量産されたり、メタンハイドレートが日本近海に埋蔵している(海洋エネルギー資源開発促進日本海連合HPより)とかで、技術開発は必須ですがしばらく化石燃料は枯渇することはないように思います。
そんな中、地球温暖化対策、CO2抑制、脱炭素の風が吹き、カーボンニュートラルではない石油関連からの脱却の流れは今や社会常識になっています。
建築でも大量に利用している石油由来の素材「プラスチック」の現状についてまとめました。

 プラスチックは原油の中から作られるものの極一部(原油全体の3%)です。
原油からは、LPガス、ナフサ、ガソリン、灯油、ジェット燃料、軽油、重油、アスファルトなどが取り出されます。
この内のナフサから、プラスチック製品、ゴム製品、繊維、塗料などが作られています。

▲原油からプラスチック製品ができるまで(日本プラスチック工業連盟HPより


 19世紀後半、アメリカで原油が採掘可能になった当初は照明用の灯油として使い、それまでの鯨油を駆逐していきました。
自動車の普及に伴いガソリンの需要が生まれ、発電や大型船舶の燃料として重油が使われてきました。
ナフサも化学製品、プラスチック原料として使われるようになり、原油を余すことなく使われました。
なので、プラスチックだけを減らしても無駄で、ガソリンも灯油も軽油も重油も全てを減らさなければ意味がないものだと思っていました。
しかし、調べてみると、国内のナフサだけでは化学製品の需要を賄えず、ナフサ単体でも必要量の6割を輸入をしています。
さらにプラスチック原料の樹脂も輸入をしています。
輸入量を減らすためにもプラスチックの減量に一定の意義があることが分かりました。


▲プラスチックの生産、リサイクル、廃棄の流れ(産業環境管理協会資源リサイクル促進センターHPより


 プラゴミは、マテリアルリサイクル(約23%)、ケミカルリサイクル(約4%)、サーマルリサイクル(約58%)の方法でリサイクルされ、一部は焼却・埋立処分(14%)されています。
マテリアルリサイクルは、ペットボトルから作業着を作ったり、発泡スチロールから文房具や日用品を作ったりしています。
きれいに洗って分別しないと再利用ができません。
ケミカルリサイクルは、化学的に分解して、コークス化、製鉄所で使う還元剤、ガス化、油化して、再利用しています。
多少の異物が混入していても再利用が可能です。
サーマルリサイクルは、焼却する時に発生する熱を利用したり、その熱で発電したりしています。
高い発熱量をもつプラスチックをエネルギー源としています。
CO2排出という観点からすると、サーマルリサイクルがそもそもOKなのか疑問もありますが、
無理にマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなどせずに焼却して熱回収する方が合理的に思います。
不法に海洋投棄などされてしまうよりかは確実に回収して焼却してしまった方が良いようにも思います。


 プラスチック削減を目指すのであれば、プラスチック製容器包装(使い捨てプラ)を全廃するなどの大ナタを振るわなければ何も変わらないと思われます。

▲一般廃棄物の中でのプラスチックゴミの割合(容積比)(環境省HPより

プラスチックの利便性に漬かっている現状では現実的には全廃は難しいですが、「バイオプラスチック」へ置き換えることで実現できそうです。
植物由来の原料で作られているプラスチック(バイオマスプラスチック、緑色エリア)と、土壌中などで分解されるプラスチック(生分解性プラスチック、青色エリア)があります。
できれば右上のエリア(植物由来かつ生分解性のプラスチック)へ移行し、更には海洋生分解性プラスチックに期待したいです。

▲バイオプラスチックのマトリックス(国際環境経済研究所HPより

 先日、小2の息子がふざけて「ちくわ」をストローにして牛乳を飲んでいました。
食べられるストローも有りかも!!と思いました。

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