著作権法

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ミネラルウォーター税

2006-07-16 02:50:50 | Weblog
 ■山梨県「ミネラルウォーター税」構想

 先日NHKの「特報首都圏」で、山梨県の「ミネラルウォーター税」構想を取り上げていました。県の森林保護のための予算が国の三位一体改革もあり削られているのですが、森林が痛んでくると雨水等は地表を流れ地下に浸透しなくなり、ミネラルウォーターの源泉とも言える地下水が少なくなってしまうようで、ミネラルウォーターを製造する事業者に税をかけて、少なくなった予算を確保しようとするのだそうです。

 なぜ、「ミネラルウォーター」なのか・・・原材料がただ同然で利益率も高いということに目をつけられたようで、たしかに1ℓあたり、1円もあったかどうか位の税率を予定していたようで、小売価格が200円程度(?)なら十分吸収可能のように思われます。

 ■関係者の反発で頓挫

 これに対してミネラルウォーター製造業者が反発しました。県内の事業者は零細な事業者ばかりで、大手の飲料水メーカーの下請けとして製造しているようですが、製造段階では、品質管理などに非常に大きなコストがかかり利益率は非常に小さく、番組では、予定される税率だと利益のほとんどが飛んでしまうという事業者の証言も紹介されていました。
 で、議論は、ミネラルウォーター製造業者の20倍も地下水を使用する県内の半導体製造事業者にも課税すべきだという方向に行くのですが、そうした事業者は、使用した水をきれいにしてまた川に返しているのだとか・・・
 さらに、実は地下水の利用の多くは県内の住民であるということでそちらへの課税も検討されたようですが、逆に、地下水は河川の水の源流となり東京都や神奈川県、静岡県の住民の水道用水として利用されるから、下流の住民等から負担を求めるべきだとの声も上がったようです。
 そんなこんなで、結局課税はできないこととなったようでした。

 ■「一部の者のみ負担」は、不公平感を生む?

 いきなり課税をもちかけられる事業者にとっては、「なぜ?」と思う気持ちはよくわかります。
 しかし、一部の事業者のみ課税される税制は不公平でダメというのはよくわかりません。そもそも特定の産業を育成するための税制上の優遇措置は様々な分野でみられますが、特定の人に対して税をまけてやるのがよいのなら、負担を求めるのが悪いのはなぜなのでしょうか?登録免許税という税制がありますが、あれはどんな登録でもそれを行うことで登録した者は利益をえることとなり税を負担する能力をえるから課税するといいいます。いまはなくなりましたが、ぜいたく品に物品税が課せられていましたが、それはぜいたく品を購入する人に負担の能力があるからです。タバコや酒を製造する事業者のみが税金を納めるのだって、コーヒーなどがかかっていなことを考えると不思議ではあります。

 山梨県民からしたら、山梨県の豊富な水がただでミネラルウォーターとして全国で販売されているわけだし、利益率も高いだろうからわずかな税は納めてくれたっていいじゃないかという気持ちなのでしょうね。大手飲料水メーカーが水源維持のための社会的責任を負うということで、負担してやればいいのに・・と思います。
 また、電力の場合には、原発立地自治体には、電力消費地域の消費者の電力料金に上乗せされたお金が集められて、一定の交付金が支給されていますが、そうした制度は「水」についてはないのだろうか、と思ってしまいます。水道水に関する事務は国土交通省、森林保護は農林水産省や環境省と役所が別れているので、きっとできないのでしょうね。農林水産省や環境省が制度を立案しても国土交通省が了解しなくてそれはできないのでしょう・・・・

 いずれにしても、一部の関係者のみが負担するとなると、公平の観点からおおごとになるということを如実にしていたのが、このミネラルウォーター税の問題であり、この点改めて私も認識したしだいです。

 ■「私的録音録画補償金」をだれが負担するのか?

 なぜ、こんなことを「著作権法」ブログに書いたかというと、この議論は、私的録音録画補償金の議論と似通ったところがあると感じたからです。
 森林の保護のための支出といっても、結局のところは山林を保有する人に山林維持のための必要なお金を出すということに他なりません。

 私的録音録画の場合は、コピーされた作品にかかわる権利者の利益が失われているのでそれを誰が補填するかという問題です。補填されるお金が直接次の創作につながるわけではない点が、ミネラルウォーターと森林の場合と微妙に違っていますが、誰に負担を求めるのかという場面は、けっこう似ていると思わずにはいられませんでした。

 補償金制度は、いまは消費者が負担するということになっていますが、負担者としては「公平」なのでしょうか。著作権法30条があることで利益を得ているのは消費者だけではないはずです。機器や記録媒体のメーカーも30条があるからこそ一定の製品を売り出して利益を得ているのですから、直接負担してもいいと思いますし、販売する者も同様でしょう。レコードレンタル店も同様です。
 不公平感を解消するためにも、以上のような人達の負担はあってもよいのではないでしょうか。いまは、消費者やメーカーが大きな不公平感を持っているのは事実ですし、事実「量販店に協力義務を課すべきだ」という議論もおきているのですから・・・

 しかし、ここで問題となるのは「二重取り」の問題です。例えば「レンタル」には実質的に複製の対価が入っているので、補償金をかけるのは二重取りではないかという指摘がそれです。
 しかし、それは、私は「二重に取る」のではなく、「便益を享受している関係者が分担して負担している」と捉えるべきだとおもいます。逆に言うと、今のように消費者のみ負担し、メーカーのみが協力義務を負うという仕組みより、30条のおかげで利益を得たり便利さを享受する者全員がわけ隔てなく少しずつ負担するほうが、公平なのではないでしょうか。
 私は、ミネラルウォーターの議論をみながら、そんなことを思ったりしました。そういう考え方は、国の政策として取り上げてもらえないのでしょうか・・・

 なお、以上を理由に多くの関係者から金銭を徴収することとなったとした場合、その金銭はきちんとCD売り上げが減少していると思われる者に配分されなければなりません。新人アーティストはただでもいいから録音されて消費者に聴いてもらえればありがたいと思っているでしょうから、録音されても被害はなく、配分を受けるのは適切ではないと考えられる場合が多いでしょう。細かく正確に配分するのは困難だからといって、もし権利者団体自身が金銭をもらうようなことがあれば、それはけしからんということとなります。
 本当に新たなアーティスト育成だとか、楽曲の創造等に使われるのであれば、それは負担者すべてが便益を受けることとなるので、世間的にも理解を得られるでしょう。権利者は、補償金制度を維持したいと思うなら、まずは補償金の分配の全容を世の中にきちんと公開して、それが有益な使い方であるということをしっかり説明しなければいけないのではないでしょうか。


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