著作権法

著作権法についてしっかり考えてみませんか。

著作権と文化

2006-09-03 04:06:23 | Weblog
 ■「香り」も著作権法の保護対象?

 フランスの著作権法は、香りも保護していると聞いたことがあります。本当なのか、確認したことはないのですが、もしそうだとしたら、本当にフランスらしいと思います。
 フランスは、偽ブランド商品の個人的な輸入なども処罰の対象としているそうですが、それと似たところがあるように思えます。ファッションだとか文化を大切にしているお国柄が反映されているなぁと思わずにはいられません。

 ■日本では文化庁が・・・

 米国は特許・商標庁が著作権制度を所管しています。たしかその長官は、商務省の次官だかなんだかをかねているのではなかったか・・
 つまり、著作権制度は米国では、知的財産権制度の一環として扱われ、その知的財産権制度は産業にかかる制度とされているわけです。もっとも、米国は連邦霊不レベルでは文化を所管する役所はないですけどね。

 これに対して日本では文化庁が著作権制度を所管しています。

 今年初めのころ、総務大臣の私的懇談会が通信放送の融合について議論を始めたとき、総務省や経済産業省に通信放送関係の事務が散らばっているがそれを一括する組織にして、そこに著作権のこともやらせたらいいのではないかという議論がありました。
 しかし、さすがに総理の信任厚い大臣のもとの懇談会とはいえ、そうした省庁再編までは提言できなかったようです。

 また、昔から特許庁が他の知的財産権制度も一緒に所管したらいいじゃないかという議論もあるようです。
 しかし、産業財産権・・昔流に言えば工業所有権を経済産業省の外局である特許庁が所管し、種苗法を農林水産省が所管し、著作権法を文化庁が所管するというのは、一番行政で関連の深いところが所管しているという意味で、最も合理的なように思われます。

 ■著作権制度におけるパラダイム

 東大の中山教授は著作権制度は経済的な側面が大きくなってその性格を大きく変化させているという趣旨のことを言われたのは、まだ昭和の時代のころでした。コンピュータプログラムという、従来の著作物概念からすればちょっと違うものが著作権で保護されることを踏まえてのことと思われます。

 しかし、その議論は、コンピュータプログラムは著作権で保護するのではなく、産業政策的な観点を取り入れた独自立法で行くべきだという中山教授のかつてのお考えと切り離して考えることはできないのではないかという気がします。
 端的に言えば、「産業政策的に考えるべきコンピュータプログラムの保護が著作権法で保護されるようになったのだから、著作権制度自体が変質したのだ」と考えないと、従来の「コンピュータプログラムは独自立法で行くべし」という考えと整合性が取れないからです。印象論でしかないのですがそんな気がしてなりません。今度しっかり中山教授の論文を読んで、論考を建ててみようかなと考えたりしています。

 ■やはり、文化ではないか

 著作物は産業と密接に関連することは確かですが、それは昔から同様で「結びつき」が昔からすると強化されたというわけではありません。近年コンテンツ産業に社会的な注目が集まるようになっただけではないでしょうか。
 作品自体は作家との結びつきは大きく、そうした性格は他の知的財産権制度にはありません。結びつきが小さいのは、中山教授の指摘したコンピュータプログラムかもしれませんが、一般的には結びつきは大きいですね。

 著作権制度の一元論だとかいろんな議論はあるようですが、作家の精神的活動の所産が著作物だと考えて、文化の観点を大事にするのが、著作権制度のあるべき姿ではないかと思います。こんな考え方は古すぎるでしょうか。