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司法試験合格体験記「正しい方法で努力をすることの重要性」

 きのう、昨年度の司法試験合格者柏口真一さんから体験記が届きました。

 さっそく紹介します(合格発表は、今年1月20日でした)

  タイトルは、本文からのものです。

  文字の拡大や赤文字などは、マツダの恣意的なものです。  



司法試験合格体験記

正しい方法で努力することの重要性 

令和二年司法試験合格             

                  柏口 真一

1.はじめに
 2019年9月10日、霞が関法務省前、2回目の受験であった私は50人ほどの受験生とともに掲示板に覆いかぶされたシートがはがされるのを待っていた。16時になり、法務省の職員がそのシートに手をかけた。それを合図に列に並んでいた受験生が一斉に掲示板の前に押し寄せる。「順番を守ってください。」職員の声が響く。その時だった、掲示板の前で自分の番号を確認していた20代とおぼしき眼鏡をかけた男性がガッツポーズをする。その瞬間、掲示板の前で待ち構えていたマスコミがテレビカメラを彼に向ける。「あぁ、彼は合格したのだ。」私は心の中でつぶやいた。それと同時に自分の受験番号を見る。02294。毎日合格しているよう念じていた番号だ。手に汗がにじみ出る。緊張と不安で胸が締め付けられる。そして私の番が来た。おそるおそる掲示板の前に進み、番号を目で追った。02200、02250、02270、02280……そこからのことはよく覚えていない。確かなのは自分の番号がなかったこと。周囲にいた40代とおぼしき男性が泣きながら合格の報告を家族に電話で伝えていたこと。帰り道、前を歩いていた二人組の片方がすすり泣きしてもう片方が慰めていたこと。そして、翌日法律事務所の内定が取消されるとともに3回目の受験を余儀なくされたことである。

 

2.クリエイトを始めたきっかけ  
 大学生だった頃、周りに優秀な人が多く、そのほとんどが東大や慶應のロースクールに順当に進学していたことから、自分もその辺のロースクールに進学できるものだと思っていました。もっとも、大学4年になっても一向に論文が書けるようにならず、ロースクール入試は受験校全て不合格に。浪人を決意しそこから本腰を入れて法律の勉強をするも、基礎が全くできていなかったことから勉強しても一向に結果に直結せず、またしても主要なロースクールは全て不合格に。そこで藁にも縋る思いで上智のロースクールを受験し拾ってもらいました。

 ロースクールに入ったのはいいものの、法律の勉強方法が全くわかっておらず誰よりも努力したにも関わらず、前期の成績は散々たるものでしたGPA1.44)前期の結果を受けて、このままだと自分の人生が終わってしまうと危機感を募らせた私は、ロースクールの先輩の合格体験記を片っ端から目を通し、この現状を打破するためのヒントがないか探しました。自分の能力に限界を感じていた(本当は能力の問題ではなく、努力の方向性がズレていただけですが)私は、その中でとある合格者が絶賛されていたクリエイト速読スクールに目が留まりました。すぐにクリエイトに電話し無料体験レッスンを受けました。受講後、ここで鍛えれば自分の能力の限界を突破できるのではないかと思い即入会を決めました。

 

3.受講してみて 
 まず、クリエイトを受講したことが司法試験合格に役立ったかと言いますと、答えはYesです。それでは各トレーニングがどのように役に立ったかについて以下述べたいと思います。

(1)序盤のトレーニング 
 序盤のトレーニングをする際、多くの方は、精度→スピードの順で取り組む方が多いのですが、基本的にスピード→精度で取り組んだ方が良いと思います。精度から入るとなかなかスピードがあがりません。逆に、スピードから入ると次第に慣れてくるので精度を維持できるようになってきます。最初は、大変ですがスピードありきでトレーニングした方が効果的です。

 私は、序盤のトレーニングに取り組む際、文字(数字)の特徴を意識しながらとにかく早く目を動かして、無理やりそのスピードについてこさせるようにしていました。こうすることで自分の限界値を無理やりにでも高めることができ、日々の勉強において処理速度が飛躍的に上がりました。

(2)中盤のトレーニング 
 A)スピードチェック
 このトレーニングは1分を切ってからがスタートラインだと考えています。1分を切るスピードで解ききるためには相当の集中力と瞬発力が必要です。まずは、このスピードに慣れることが重要です。そのうえで、徐々にスピードを維持しながら精度を上げていってください。イメージとしては、①1分を切る(正解率は5割を切っていても構いません)→②正解率を7~8割程度にする→③50秒を切る→④正解率を8~9割程度にする→⑤45秒を切る………という感じです。

 このようにトレーニングをすることで、日々の勉強時の集中力が上がるとともに、司法試験の論文を書いている際に、残り時間がギリギリになっても気を散らさずに書ききることができるようになりました。

 B)ロジカルテスト 
 このトレーニングでは、徹底的に頭が鍛えられました。個人的に、このトレーニングが司法試験との関係で最も効果的だったのではないかと思います。

 普段のトレーニングでは、どうすれば素早く解くことができるかを考えながら解いておりました。あまり詳しくは話せませんが、それぞれのレベルごとに解く際のポイントがあります。私は、レベルが上がるとそのポイントが何なのかを考えながら解いていました。もっとも、いくらポイントが分かったところで、素早く頭の中で処理できなければ時間内に解ききることはできません。そのため、毎回頭をフル回転させて挑んでいました。毎回必死で解いていたこともあり、徐々に頭の処理速度が上がっていくのを実感しました。

 そして、これは司法試験との関係でいうと、特に民法の短答式試験に役立ちました。民法の短答式試験では、頭の中で事案を整理しながら瞬時に肢を切っていくことが求められますが、頭の処理速度が上がったことでそのスピードが格段に上がりました。もともと、民法の短答式試験が苦手で時間内になかなか解ききれなかったのですが、ロジカルのレベルが上がるにつれてそのようなことはなくなりました。お陰様で2回目の短答式試験では、時間を15分近く余らせた上で9割をとることができました。

 C)イメージ記憶 
 このトレーニングは苦手でした。中途半端に記憶力に自信があったことから制限時間が迫るとどうしても丸暗記に頼るきらいがあり、なかなか伸びませんでした。それでも、単語を見てイメージをする力は養われました。

 司法試験との関係でいうと、論証を覚える際にイメージすることで記憶の定着に役立ちました。


(3)終盤のトレーニング(倍速読書訓練)
 このトレーニングにより、文章を読む速度が速くなったのはもちろんのこと、意識して読むスピードを変化させられるようになりました。
 
 これが司法試験にどう役立ったかというと、司法試験の論文式試験では、1回問題文を読んだだけでは事案を完璧に把握することが困難であるために2回目、3回目と読み直しをする必要があります。この時に、重要な部分以外をスピード重視で読むことで重要な事実をすぐに見つけることができ、結果として重要な事実の拾い落としが減り、論文の点数が安定するようになりました。

 また、調べ物のため基本書や判例を読む際にも、重要度に分けて読むスピードを変えることでメリハリをつけることができ、結果として時間も短縮することができるようになりました。

4.文演を受けてみて
 1回目の受験で不合格になったあと、松田さんから文演を受けてみませんかとお誘いを受けました。前々から講師の方から文演を勧められていたことや歴代の司法試験合格者の多くが受講していたことから、何か得られるものがあればと思い受講しました。

 文演では様々なことを学びましたが、私がもっとも印象に残っているのは、文章を書く際に書き手は自分の思いを込めているということです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、小説の1フレーズをとっても、書き手は思考を凝らして幾多にも及ぶ表現からそのフレーズを選んでいるわけです。それまで私は書き手が意図を持って用いた表現を安易に読み飛ばしてきましたが、文演の受講後、書き手の立場にたって同じ本を読み返してみると、新たな発見があったり、書き手の苦悩を共有することができたりと、読書をより一層楽しめるようになりました。

 司法試験との関係で言いますと、論文問題を解く際に、出題者の意図を汲み取れるようになりました。試験の問題作成も小説と同じです。出題者は、思いを込めて問題文を作っており、一つひとつ意図を持って問題文に事情を記載しております。問題文に記載されている事情が何を意図するのかを汲み取るにあたり文演で学んだことが活かされました。

 

5.速読講師として 
 2回目の受験の結果報告をした後に、松田さんから「講師を引き受けてもらえませんか」と声をかけていただきました。最初は、自分に務まるのか不安でしたが、松田さんから「柏口さんだからお願いしているんです」と説得され、引き受けました。

 A)講師をしてみて感じたこと 
 クリエイトのトレーニングってよく考えられているなぁと感心させられました。序盤のトレーニングは、基本的にサッケイドシート→ランダムシート→パターンシート2つ→たて一行ユニットの順で進めます。サッケイドで目の準備体操をした後はひたすら視野を広げるトレーニングです。かな数字ランダムのトレーニングで、見たい文字(数字)を浮かびださせることを意識してくださいと講師に言われると思うのですが、他のトレーニングでもやっていることは全て同じです。たとえば、かなBPは、かなランダムが8つのブロックになっただけですし、漢数字一行だって特定の範囲から特定の数字を探すという意味で数字ランダムと基本は同じです。たて一行ユニットは、探すのが文になったという点で少し異なりますが、探す際は3つの文字(いorあ・山or川・たorん)に着目すればかなランダムと同じになります。要は、手を替え品を替えておりますが、序盤のトレーニングの目的は認知視野を広げることであり、それを鍛える点で一貫しています。

 この辺を意識しながら取り組むことで自分は数字を見つけるのが弱いのか、文字を見つけるのが弱いのかが明確になります。その上で、どうすれば見つけられるようになるかを自分の頭で考えながらトレーニングに取り組むことで飛躍的にスコアは伸びていきます。

 生徒の時にはただ目の前のシートと格闘していたことから気づきませんでしたが、講師になってどうすれば効果的に生徒さんの力を引き出すことができるのかを考える過程でこのように全てがつながっていることに気づかされました。

 B)生徒さんから見た講師と講師から見た生徒さん
 私が生徒であった時、講師は皆優秀な方ばかりなのだろうと思い少し身構えておりました。質問もあまり多くするとご迷惑かなと思い少し控えていました。ただ、講師をしてみて思うことは、少なくとも私は特別優秀な人間ではなく身構える必要はないし、生徒さんからの質問も楽しみにしていました。

 教室レッスンでは全体を意識する必要があることから、個別に対応しきれていないところがあります。そういうところは、質問してくれることで個別にケアできますし、こういうところがわからないのだという生徒さんの視点を共有することで、それをレッスンに活かせることから講師にとってもメリットがあります。何よりも、やる気がある人には全力で応えようとするのが講師の性です。そのため、身構えなどせず疑問点があれば積極的に講師に質問をすることをおすすめします。


6.正しい方法で努力をすることの重要性 
 上述した通り、私は法律の勉強に大変苦労しました。司法試験の受験回数こそ3回目の合格ですが、ロースクール入試で浪人している上、ロースクール在学中も自身の勉強を見直すため1年間休学しました。

 私がなぜここまで苦しんだかというと、正しい方法で努力が出来ていなかったからです。

 経験則上、司法試験は9割方勉強方法を確立できるかで合否が決まると思います。司法試験は、その性質上範囲が膨大であり勉強に終わりがないことから、どんなに努力をしたところで努力の方向性がズレていては何年勉強しても合格できません。一方で、相対評価の試験である以上、勉強方法が確立できていて正しい方向に向いていれば、あとはそれに従いひたすら勉強をすれば誰しも合格できます。

 私は、受験時代予備校の利用は答練のみでしたが、昨年初めて某予備校のゼミを受講しました。講師は司法試験に4位で合格した方なのですが、その方から法律問題の検討の方法、判例の答案への活かし方及び問題を解く際の頭の使い方を学びました。「法律ってこういう風に考えてこう書いていくんだ。上位合格者ってこのレベルで知識をおさえているんだ。判例ってこういう風に使うんだ」と毎回驚きがあって自分の勉強のしかたが大幅に変わっていきました。それと同時に、司法試験ってこの程度のことができれば合格できるのに、自分は今まで何をやってきたのだろうと2回も不合格になっている自分が情けなくなりました。

 今年合格したから言っているのではなく、本当に受験前からこのように思っておりました。今年の受験は合格する自信がありましたし正しい方法で努力ができていたことから勉強をすればするほど力がついてきている実感があり、仮に3回目に落ちても4回目は上位合格できると確信していました。努力をしていない人間は論外ですが、合格者と不合格者の差はちょっとしたボタンの掛け違いから生まれます。資格試験であれ、大学受験であれ、合格を勝ち取るには、正しい方法で努力をすること、これに尽きると思います。勉強しているのに結果が出ないという時には、徒に勉強時間を増やすよりも自分が正しい方向に進んでいるのか今一度自分自身を見つめ直し、不安であれば周囲の信頼できる人に相談されることをおすすめします。

7.当たり前を見直すことの重要性 
 私は、大学時代及び大学卒業時に視野を広げるためインドやアフリカを含む世界12カ国を旅しました。どこの国も独自の文化があり、日本の常識は全くもって世界の常識ではありませんでした。その中でもアフリカのケニアでの体験は、私の物事に対する考え方に少なからず影響を与えました。 

 ケニアでは、ちょっとしたコネを使いスラム街を訪れたのですが、その時にとある女性に出会いました。その女性は、テントで生活をしていたのですが、少し滞在するだけでウジ虫が湧いてくるような日本では考えられないような環境でした。その女性に、「ここでの生活はどうですか?」と聞いてみたら、「すごく満足しています。私は幸せです」と返答されました。私は、そのような答えが返ってくるとは思いもしなかったことから、「どうしてですか?」と聞き返しました。すると、その女性は、「私は、ここに来る前、ある村に住んでいたのですが、そこでは女性の地位が著しく低く、男性の言うことに従わなければ生きていけませんでした。ただ、ここでは違います。私は、自分で働いてそのお金を自由に使うことができている」と答えました。そして、こちらをじっと見ながら「だから私は幸せなのです」と柔和な笑みを浮かべました。私はその時の彼女の顔を未だに忘れられません。

 日本では、勉強をして自分の意思で職業を選ぶことができ、仕事で稼いだお金は自由に使うことができます。このような権利は日本国憲法で保障されております。ただ、国が違えばこのような権利も当然には認められません。自分がいかに恵まれている環境にいるのかを思い知らされました。自分にとっての当たり前が他にとっての当たり前ではないことを知り、当たり前であることに感謝をすることで、日々の過ごし方が変わりました。これを読まれている方の中には、資格試験や高校大学受験等を控えている方も多いと思います。中には、なかなか順調にはいかず行き詰っている方もいるかもしれません。そんな方は、一度目の前の教科書から離れ、目一杯勉強ができる環境があることの有難さに目を向けてみてはどうでしょうか。目前に広がる景色が変わってくると思います。

8.おわりに 
 今年は、新型コロナウイルス感染症の関係で合否の結果はウェブ上での確認となりました。緊張しながらページをスクロールしつつ自分の番号を見つけた時は、正直ほっとしました。感動して泣くのかと想像しておりましたが、実際はそんなことなく、就活大変だなぁと思いながら親に電話で合格を伝えました。

 この体験記を書いている現在ではありがたいことに内定もいただき、少しずつ合格の実感が湧いてきました。合格の報告をするたびに、自分は一人で勉強をしていたつもりでしたが、想像以上にたくさんの人に支えられていたのだと気づかされました。特に、クリエイトの皆様には多大なご支援をいただきました。一人で勉強していたため、人と話すことがほとんどなかった私にとっては、クリエイトは憩いの場所でもありました。Kさんとは、クリエイトからの帰る道すがらいつもサッカー談議をし、楽しませていただきましたし、クワタさんやCさんには愚痴をよく聞いてもらい、心の支えとなってもらっておりました。そして、松田さんには程よくプレッシャーをかけていただきました。嘘です。松田さんには、講師をやらせていただいたことはもちろんのこと、お弁当等の差し入れをしていただくなど、私のことを気にかけていただき、大変お世話になりました。クリエイトの皆様には本当に感謝をしております。

 まだまだ未熟ですが、法曹として日々成長していくことで少しでも恩返しをしていければと思います。本当にありがとうございました。

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