書く仕事

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「向田理髪店」奥田英朗

2020年02月08日 10時53分05秒 | 読書
「向田理髪店」奥田英朗


北海道中央部,今はさびれてしまった炭鉱町,苫沢町が舞台.
そこで理髪店を営む,向田康彦53歳.

若い頃は札幌の広告会社で頑張った時期もあったが,理髪業を営む父親がヘルニアで店に立てなくなったことを機に実家を継いだ.
康彦の視点から,過疎が進み活気を失っていく地方の日常と時々訪れる事件が描かれる.

康彦は理髪店は自分の代でおしまいと思っていたら,札幌で働いていた23歳の長男,和昌が突然店を継ぐと言い出した.
どうせ,仕事が面白くないとか,出世の見込みがないとかの理由で,家でも継いでやれという魂胆ではないかと,康彦としては面白くない.
そんな,康彦と和昌の父子関係を軸に,様々な事件や困難を通して,過疎地の課題と希望をほのぼのと描いた作品.
和昌君の若さと勢いが,保守的な康彦としばしばぶつかるが,事件を通して逆に絆が深まっていく過程に心がほっこりする.

他の奥田作品とは一線を画するテイストだ.これも良い.


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