書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「天空の蜂」東野圭吾

2015年12月20日 22時34分40秒 | 読書
「天空の蜂」東野圭吾



1995年に初版が出ているということは、2011年の東日本大震災の16年も前に書かれたことが信じられない程、原発の問題点を指摘した傑作ミステリー。

自衛隊が保有する最新式軍事ヘリが何者かによって盗まれた。
さらに、あろうことか、そのヘリを敦賀にある原発の上空にホバリングさせ、全国の全ての原発を停止させなければ、ヘリを敦賀の原発に墜落させるという脅迫文がFAXされる。
ヘリは自動操縦されており犯人は乗っていない上、ヘリには爆弾が積まれている可能性がある。

犯人の目的は何か?

物語は緊迫感溢れるもので、さすが東野圭吾だが、ハラハラドキドキだけではなく、原発の真の問題点がどこにあるかということに関する深い洞察に感嘆させられる。

津波等による電源喪失により、核反応暴走が起こることは周知の事実だが、それ以外にも、様々な問題点があり、それらは関係者によってひたすら隠され続けている。
放射性廃棄物の処分と廃棄については全く見通しが立っていないこと。
にも拘らず、毎年核廃棄物は増え続けていること。
現場で働く従業員のうち、下請け、孫請会社の作業員には国の基準を無視した放射線量の被爆があり、それに対する改善が行われないこと。
また、例えば、父親が原発に勤めているという理由で、その子供がいじめに会うといった、社会的影響も深刻である。

このような問題点に目をつぶってでも原発を維持しなければならないのか。

広い意味で、読者の生き方に対する公開質問状だ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿