葬儀の際に,死者に敬意を込めて死化粧を施し,棺桶に納める『納棺』を執り行う人,納棺師(のうかんし)をテーマとした人間ドラマ
死者に触れる仕事と言うことで,妻には内緒ではじめた仕事だけど,次第にこの仕事の奥深さ,死者に対する敬意を家族に代わって表現し,より良い旅立ちを手伝うという仕事にどんどん引かれていく主人公もっくん.
死は,貧富に関わりなく必ず誰にでも訪れるもの
家族の軋轢,親戚間の意見の食い違い等,生前のいろいろなわだかまりや憎しみが,死者を見送る納棺という儀式を通して,雲散していく様が爽快感すらともなう.
もっくん(本木雅弘)は,顔は濃いけど,結構日本人的機微をよく表現していたと思う.
無表情なのが逆にいいのかもしれない.
山崎努も演技派って感じじゃないのが良いんですよ.
いつも苦虫を噛み潰したような表情.
あと,お風呂屋さんのシーンで出てくる,吉行和子と笹野高史の微妙な関係が良いんだなあ.
私はこういう微妙な雰囲気が大好き.といっても本編を見てない人には何のことだかわからないでしょうけど.
ただ一つだけケチを付けるなら,もっくんの妻役の広末涼子.
台詞回しが,清涼飲料水のコマーシャルの口調と同じです.もちょっと勉強せい!
それは目をつむるとして,やはり良い映画でした.
せりふじゃなくて,行間で語るニュアンス.雰囲気.
本当のことって,言葉では語れないという「真実」.
さすが,アカデミー賞って感じ.
おくりびとにも出演してらっしゃるんですよね…
それに絡めた書き込みかと思いきや!
こんな偶然もあるんですね!
葬式の喪主の男の人だったんですね.
すばらしい演技でした.
もしかしたら,自分の命が長くないことを覚った上での演技かもしれませんね.
合掌です.