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「カネと共に去りぬ」久坂部 羊

2018年03月19日 21時38分29秒 | 読書
「カネと共に去りぬ」久坂部 羊




こんなふざけたタイトルの本が面白いはずがない、と思ってスルーしようと思ったのが、出会いの最初。
しかし、タイトルの脇にちらっと見えた作者の名前が、久坂部 羊ではないか!
久坂部 羊といえば、このブログでも紹介した、「第五番」の作者。
むむむ。あの名作の著者がこんな怪しからんタイトルの本を書くのか???

で、思わず手に取ったのが、この本という次第。

やはり、人は見かけ、いや、本はタイトルではわからない。

スルーしなくてよかった。

面白かったですよ。

もともと、お医者さんなんだけど、海堂尊さんなんかとは本質的に違うタイプの作家です。
どう違うかは、読めばわかるので、省略しますが、とにかく、「第五番」とも共通するのが、表現が、『エグイ』
単なるグロではなくて、人の醜さを徹底的にあぶり出す手法がエグイ。

わずかに筒井康隆とも通じるものがあるかもしれないが、筒井ほどの狂気は感じない。久坂部氏の方が、冷静さがある。
冷静なだけに、深部を確実に抉り出すメスさばきがすごいです。

カミュ、カフカ、夏目漱石、文豪たちの古今東西の名作のパロディになっているんですが、いずれもパロディの姿を借りつつも、医療や介護の偽善を痛烈に批判しています。
お医者さんが読んだら怒るだろうな。

ま、フィクションですから。

あ、でも、久坂部さんは元医師なんだよな。むむむ。

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