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「コンピュータの身代金」三好徹

2020年01月29日 08時58分06秒 | 読書
「コンピュータの身代金」三好徹


なかなか面白い犯罪小説でした.

コンピュータを人質(?)とした身代金要求の犯罪の顛末
1981年の作品なので,まだパソコンも普及しておらず,メインフレームの時代.
逆にだからこそ,こんな犯罪もありえたのかも知りません.

ある大手銀行の電算センターのコンピュータ室に賊が立てこもり,コンピュータとデータベースを破壊されたくなかったら10億円を現金でよこせと言ってきます.

犯人は事前に銀行内部の人事構成や会長,専務,常務などの相互関係なども調べつくしており,幹部各自の弱点を巧みについて,警察に届けられないような仕掛けをして犯行に至っていたのです.
この辺の話がなかなか面白い.
また,10億円の現金となると100kg以上になるが,これをどうやって受け取り,警察の監視をくぐって持ち去るか,また,そもそも立てこもった電算室からどうやって,逃走するのか,なんとも無謀な計画に見えるのですが,犯人は,あっという巧みな方法でこの難問を解決してしまいます.

よくできた話だし,1981年に書かれたとは思えないような作者の先見性が光る作品でした.