書く仕事

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「人生に七味あり」江上剛

2017年04月07日 21時48分10秒 | 読書
「人生に七味あり」江上剛



人生は七味唐辛子.
ヒリヒリと辛いことが7種類もある.
何味かというと,うらみ,つらみ,ねたみ,そねみ,いやみ,ひがみ,やっかみ,
の7つの「み」である.

樫村は,銀行マンとして充実した人生を送っていたが,ある日,突然,彼が務める銀行が,超大手のメガバンクに吸収合併されることになり,エリートの座から引きずり降ろされる.
明らかな左遷である子会社への出向を命じられたため,会社を辞め,外食産業の役員に再就職する.
役員と言えば聞こえはいいが,要は居酒屋のおやじのような仕事だった.
今までのエリート街道から一転して,地を這うような仕事に苦戦する樫村.
しかも,その居酒屋チェーンは赤字店が続出し,このままでは債務超過に陥り,倒産の危険もあることがわかる.どうする樫村...

銀行とのからみがたくさん出て来て,しかも嫌味な銀行マンが憎たらしいセリフを吐きまくるところは,半沢直樹の再来を思わせる.
しかし,こちらの方が,より大人の判断,大人のセリフが多く,落ち着いた感じがする.
その結果,現実味のあるお話に聞こえる.

泣かせる展開もあり,読後感は非常に良い.
半沢直樹の場合,溜飲は下がるが,そこまでやらなくても,と思った記憶がある.

この「人生に七味あり」は,大人の経済エンタテーメントという印象だ.