書く仕事

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「友罪」薬丸岳

2013年11月25日 09時04分26秒 | 読書
「友罪」薬丸岳




あなたが大切にしている人(家族)が残忍な方法で殺された後,その犯人が心から悔い改めたとして,あなたはその犯人を許せるか?

半端ではなく,重い話です.

主に犯人サイドの視点から書かれているので,今一つ被害者の苦しみが読み取りづらい点に難がありますが,犯罪者がその後の人生でいかに苦難の道を歩かなければならないかがよくわかります.

しかし,だからと言って過去の罪が許されるはずもない.

一生,十字架を背負って生きて行かなければならない.

ただ,犯罪後の関係者の人生が話題になるたびにいつも思うのだけど,被害者側,加害者側ともに,彼らの苦しみを増大させているのは,マスコミが煽る世間の好奇心や偏見なんだよね.

常識的な人間が,きちんとした配慮のもとに加害者,被害者に接していれば,彼らの苦しみは半減,いや一桁くらいは軽減されるはずなのです.

もちろん,就職先が見つからないとか,結婚できないとか実質的な苦労はあると思う.

しかし,日常的に世間から好奇の目で見られることの方が,はるかに辛いのではないかと想像するのは私だけか?

角田という名前のジャーナリストが偏見に満ちた,嫌がらせのような記事を書くのだけど,それを責められても,「読者がそういう内容を読みたがっているのだから,その希望に合わせているだけだ」と居直るセリフは,薬丸さんのマスコミ批判を象徴しているのかもしれません.

薬丸さんの小説は「天使のナイフ」に続いて2冊目かな.
天使のナイフは逆に犯罪被害者の苦しみが中心に書かれていました.

犯罪は,被害者も加害者も不幸に陥れる.

人間って,いったい,何なんでしょうね.