書く仕事

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「麒麟の翼」東野圭吾

2012年02月07日 22時43分37秒 | 読書
「麒麟の翼」東野圭吾




「新参者」で一気にブレイクした「加賀恭一郎」シリーズの最新作.
劇場版の「新参者」として,二作をミックスしたストーリーで現在上映中です.
原作では,もちろん,「新参者」 と 「麒麟の翼」 は全く別の小説です.
犯人ももちろん違うし,物語の中心となる犯罪も全く別のもの.

両者をどうミックスして1本の物語にしたかという興味もあって,劇場版を是非見てみたい僕です.

それは,さておき,以前読んだ「新参者」 と 「麒麟の翼」 で共通していることがある.

もちろん主人公の刑事「加賀恭一郎」 は当然ですが,もう一つ共通しているのは,物語の舞台が 「日本橋」 であること.

物語の面白さは,あえて言うまでもなくすばらしいのですが,描かれている舞台の日本橋の雰囲気がいいです.

人形町,小伝馬町,馬喰町,小舟町,兜町.

昔ながらの小間物屋,工芸品店,甘酒横丁...江戸情緒を色濃く残している,ほとんど日本で唯一の街といっていい.

「新参者」はその江戸情緒と人情とが絶妙にマッチした稀有の名作だと思うが,この「麒麟の翼」は,少しベクトルの異なる風情だ.

過去に犯した深い罪,それに気づき償おうとする犯人の苦しい気持ち,その犯人を守ろうとする肉親の愛情...
これらの想いの綾が,この日本橋に舞う.

石田衣良のIWGPシリーズで池袋という街の魅力を知った僕ですが,加賀恭一郎シリーズで日本橋の面白さの一端を知ることが出来ました.

それにしても,東野圭吾さん,外さないですね.