書く仕事

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「リミット」野沢尚

2012年01月31日 13時16分19秒 | 読書



「リミット」野沢尚

連続幼児誘拐事件を追う警視庁の有働公子(うどうきみこ)がヒロイン.

いわば女性版ダイハード.とはどこにも書いてないけど.

犯人捜査をするうちに,公子に最悪の事態が訪れる.
なんと,最後に誘拐されえたのは公子の一人息子・貴之だったのだ.

巧妙に仕掛けられた犯人の罠.

別の誘拐事件の身代金を受け渡す役として,犯人は公子を指名してきた.

公子は貴之が誘拐されたことを他の刑事たちには知られてはならない理由があった.

身代金受け渡しが失敗したり,貴之を人質に取られたことをばらしたら,本来の人質ではなく,貴之を殺すというのだ.

絶体絶命とはまさにこのこと.

公子の決死の犯人追跡が始まる.

しかも,その後,公子は,犯人と結託して警察を裏切った犯罪者として指名手配されてしまう.

こう書くと手に汗握る誘拐犯罪ミステリー...って感じ.

しかし,僕の感想は,物語,プロットはすごいんだけど,描写がエグイ.

僕のノーマルな感覚でいうと,気持ちが悪い場面が次々に出てくる.

幼児の死体を解体したり...いや,もう止めときます.
これ以上書けない.

犯人一味の男女の性交渉場面もほとんどポルノ小説です.

ミステリー小説でここまで「懇切丁寧」に性描写をした小説を僕は知らない.

この小説は何でも極端なんです.

人間は皆,自分さえ幸せなら他人はどうでもいいと思っているエゴイストっていうスタンスをもっともらしく主張する犯人.

作者もそう思っているんじゃない?って疑ってしまう.

性善説を取り,人の善意を信じたい僕としては,読んでいて心が痛い.

ただ,このような感想は僕が年を取ったせいかもしれない.
年齢とともに気が弱くなったというか,自分がこの世に生まれてきた意味を問いたくなる年頃なのね,アラカンって.
だから,刹那の快楽だけで生きることの美を称えられると,息苦しくなるのです.

僕が30台だったら,最高に面白いハードボイルドだ,なんて絶賛したかもね.

今日はそんなところで.