書く仕事

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「下流の宴」林真理子

2012年01月02日 15時15分18秒 | 読書
「下流の宴」林真理子




林真理子さんの小説を初めて読みました.

面白いですねえ.

林真理子さんは,特に敬遠していたわけではないけど,正直言って,なんとなく近づくのが怖かった.

もしかしたら自分の生き方を否定されるような小説を書く人かもしれないと,勝手に思い込んでいたかもしれない.

では,なんでこの本を手にしたか?

それは,やはり「タイトル」の魔力ですね.

この「下流の宴」というネーミングに惹かれて手に取ってしまった.というのが答え.

書籍データベースによると 『格差社会の現実を真正面から描いた』 作品とあるけど,ちょっと違うなあ,

ものごとの価値を損得でしか判断できない人,人間の価値を,地位や富で決めつける人,いわゆる俗物の醜悪さを徹底的に描いた作品と言ってくれた方がわかりやすい.

そして,そういう俗物の親に育てられると,子供はあるところまでは,親の言いなりになって上昇志向で頑張るが,どこかで心が切れ,人生に目的を見出すことのできない無気力な人間になってしまう.

直接そういう表現があるわけではないけど,打算や損得で自分の行動を決めていくと,不慮の出来事があった時,自分の人生が根底から狂ってしまいがちである.
つまり次に自分が打つべき手を見失ってしまうのね.

倫理的,道徳的にどうかということではなくて,俗物的な生き方はリスクが大きいということになるわけです.

そうではなくて,自分の夢に向かって生きるという生き方は,どんな障害が現れても,たとえ回り道となっても,一時的には損なことでも,与えられた状況の中で,生き生きとしたリカバリーショットが打てる.

あれを損した,これはミスったという一喜一憂にエネルギーを無駄遣いさせられることがないし,場合によっては,リカバリーショット自体が楽しい経験であることもありうるわけです.

この小説を読んで本当によかった.
結果的に,自分の生き方をとても力強く肯定してくれた気がする.(勝手な思い込みかもしれないけど)

自分の将来に不安を持っている人は是非読んでみることをお勧めします.
そして,自分の「生き方」を見つめ直してみると,もしかして明日から人生が変わるかもよ.