町長選挙・インザプールに続き,伊良部先生シリーズを読みました.
3作の中で一番面白かったです.
ジャンプがうまくいかないサーカス団員、先端恐怖症のヤクザ,突如ノーコン病に取りつかれたプロ野球選手など,本業で一流の実績を持つ人が今回の主人公.
皆,凄い人たちなんです.
しかし,肝心要の本業がなぜかうまくいかなくなっちゃう.
しかも,ケガや病気といったちゃんとした理由が見当たらず,どうも精神的なものが原因らしい.
で,皆さん困り果てて,伊良部先生のところにやってくると...
そこからは,いつものパターンなんですが,患者さんたちが皆,その道の一流の人たちなので,その必死さは今まで以上ですから,各々のエピソードがまた笑えちゃうんですね.
ほんと,真剣そのもの.
病気をごまかすための状況がまた,いちいち笑える.
場面設定やセリフが他の2作とは比べ物にならないくらい弾けています.
これは面白い.
私的には,先端恐怖症のやくざを描いた「ハリネズミ」が一番面白かったけど,他のお話もなかなかのものです.
人生に疲れを感じているあなた,一度この本で脱力してみてはいかがでしょうか?
「癒し」ではなくて,「脱力」です.
その違いは,この本を読めば実感できること間違いなし.