風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

読売日本交響楽団 第254回日曜マチネシリーズ @東京芸術劇場(1月8日)

2023-01-11 10:12:52 | クラシック音楽




今年の演奏会初めは、山田和樹さん×読響×ポゴレリッチ。
正月早々に演奏会に行くのは、私にしては珍しいかも。歌舞伎は行くけど。

30分前に会場に入ったら、ポゴさんはいつものようにポロンポロン中。でも後ろでオケの奏者達が思いきり練習しているので、リサイタルのときのようにピアノの響きは楽しめず

【チャイコフスキー:「眠りの森の美女」第一幕 から“ワルツ”】
ヤマカズさんから客席へ「新年明けましておめでとうございます!」のご挨拶があってから、演奏開始
ヨーロッパのオケに比べるとあまりワルツの華やかさや軽やかさは感じられない演奏だったけど、新年の挨拶代わりといったところだと思うので、気軽に聴けばいいのかも。

【ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18】
あいかわらず一筋縄ではいかないポゴさん。
今日は予習で聴いていた最近の彼の演奏よりもずっとサラサラと弾いていて(もちろんガッツリのところはガッツリでしたが)、最初こそ戸惑ったけれどすぐに慣れ、これはこれで大変よい。
甘く歌うことがない、ロシアの大地を思わせるスケールの大きな演奏。
決して大仰に鳴らさず(ポゴさん比)、自然に遊ぶように弾き流すといってもいい感じで、大音量のオケの音に埋もれることも多かったのに(それくらいオケを鳴らしてほしいというポゴレリッチからの要望のようです)、にもかかわらず不思議とオケ以上の存在感を常に放っているピアノ。なんであの弾き方であれほどのスケールの大きさと存在感を保ち続けられるのだろう。こういうところ、アルゲリッチのピアノに少し似ているなと感じました。例のショパコン事件のエピソードにもかかわらず今までポゴレリッチとアルゲリッチのピアノが似ていると感じたことは一度もなかったのだけど、今回初めてそう感じた。、、、ってそうか、私、アルゲリッチを生で聴いてからポゴさんのピアノを聴くのは今回が初めてなのだった。

今回の演奏会は当初はプロコフィエフ3番が予定されていて、曲目変更でラフマニノフ2番になったけど、個人的にはポゴレリッチにはラフマニノフの方が合っているような気がする(ポゴさんのプロコフィエフ聴いたことないけど)。思えばラフマニノフの音楽の魅力を初めて教えてもらったのは、ポゴさんからだったなあ。
ポゴレリッチは前日の演奏の終盤で指のアカギレが切れて鍵盤を血まみれにして弾いていたそうで、今日の演奏にその影響があったかは不明。両日聴いた人の感想では、一日目と特に変わった演奏をしていたわけではなさそうですが。

一方、オケは彼の自在なピアノに合わせにくかったようで(実際演奏後にそうツイしている奏者さん達もおられた)、ピアノと絡む部分になるとポゴさんに合わせようとしてかオケの音がどこか慎重で硬くなってしまって、そもそもヤマカズさんとポゴさんではこの曲で目指す方向性が異なっているようにも感じられ、全体的にはいまひとつ統一感のない演奏となった印象を受けました。あくまで素人耳の印象ですが。なお、ポゴさんは常にマイペース。
ただ終楽章の最後は(ようやく)オケも吹っ切れたような演奏を聴かせてくれて、なんだか突然ギアが入った感じで不思議だったけど、あれもポゴさんの指示だったのかどうなのか

※隠し撮り動画なので紹介しにくいけど、個人的にはポゴレリッチでこの曲だったら、これくらい突き抜けたオケの音で聴きたいです。

(15分間の休憩)

【チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 ロ短調 作品58(スヴエトラーノフ版)】
ヤマカズさん&読響、この曲では一転、突き抜けた演奏を聴かせてくれました。
”ポゴレリッチ縛り”から解放されたようなオケの音
昨年の新日フィルのラヴァルスと同じく、今日のプログラムの中ではリハーサル時間のほとんどをこれに使ったのでは?と感じる質&熱量の演奏でした。
N響に比べると繊細さが足りなく感じる読響ですが、ヤマカズさんはキッチリ構築しながらも開放的に鳴らしていて、この纏まりのない交響曲を説得力ある作品に仕上げていました。読響もちゃんとついていっていて上手かった!
インバル&都響がフランチェスカ・ダ・リミニで聴かせてくれた”地獄の音”を今日のヤマカズさん&読響も聞かせてくれて、大満足。また二楽章や三楽章のような曲想の演奏も、大らかで美しかったです(三楽章のオーボエとてもよかった)。
ヤマカズさん、一度だけ指揮台からおりてヴァイオリンパートの間に自ら入っていって指示してた。こんなの初めて見た。面白い。
帰宅後に知りましたが、ヤマカズさんの師匠ってコバケンさんなんですね。音楽作りはあまり似ていない気がするけど(ヤマカズさんのがスタイリッシュな印象)、全力系の指揮姿とちゃんと大見得きってくれるところは似てるかも。
演奏後は、ヤマカズさんの「本年もよろしくお願いします!」の挨拶で気持ちよく終演
ヤマカズさん、今年、バーミンガム市響と来日されるんですよね。聴きに行きたくなっちゃったけど、今年はベルリンフィル、ウィーンフィル、コンセルトヘボウ、マーラーチェンバーオーケストラ、あとオスロフィルも来日?。うーん、悩ましい・・・(お財布が)。
ヤマカズさんはベルリン在住なんですね。真央君はベルリンに移住したそうだけど、ヤマカズさんがいたら寂しくないね!でもヤマカズさんは今後はイギリスに引っ越すのかな。

そういえば龍村監督、先月18日にコバケンさん&仲間たちオーケストラの第九を聴きにいかれたそうで。最後にベートーヴェンを聴くことができて、それもコバケンさんの第九で、よかったなあ…。あの演奏会からちょうど3年か。第九番が無事完成したのも、よかったなあ…。



恒例のポロンポロン中のポゴさん。
いつもと同じ感じの服装と帽子で、いつもと同じように10分前にスタッフに声をかけられて退場されていました。



「マンフレッド」ってだれ? チャイコフスキーの交響曲とシューマンの序曲に登場するあの人(ontomo)

藤田真央さん特別インタビュー「飛躍の2022年、そして2023年への思い」(婦人画報)

※以下は、ラフマニノフ自身が弾く、ピアノ協奏曲2番の演奏。ラフマニノフのピアノって初めてちゃんと聴いたのですが、ものすごく上手いんですね…技術的に上手いだけじゃなく、音楽的な豊かさもしっかりあって、驚きました。
ポゴレリッチはインタビューで好きなピアニストを聞かれてラフマニノフと答えていましたよね。アファナシエフもやはりラフマニノフと答えていた。ロシア系ピアニストのアイドルなんでしょうかね。

Piano Concerto No. 2 in C Minor, Op. 18: I. Moderato (Remastered)

Piano Concerto No. 2 in C Minor, Op. 18: II. Adagio Sostenuto (Remastered)

Piano Concerto No. 2 in C Minor, Op. 18: III. Alegro Scherzando (Remastered)

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