風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ペライア、ハイティンク、シフ

2020-03-05 01:11:49 | クラシック音楽

Bach: French Suite No 4 - Murray Perahia



MURRAY PERAHIA IS OUT FOR LONGER

The pianist has cancelled the Barbican in late April, ‘due to ill health’.
Perhaia, who is 72, has not been heard in public for around two years.
(Slipped Disc, By Norman Lebrecht, On February 28, 2020)

上記は、数日前のニュースです・・・。
ペライアでしか聴けない音楽、ペライアの演奏でしか見えないものがあるのです。
ペライアの演奏を生で聴いていると、ピアノの周りの空気?光?の色がその音色とともに繊細に自然に変化していくのがはっきりと目に見える。どのピアニストも多かれ少なかれそうだけれど、私の目と耳にはそれが突出して感じられるのがペライアなのです。人生で避けられない闇と、それを内包する光を感じさせてくれるペライアのピアノ。彼の音楽のように生きられたらと思う。ハイティンクがペライアのピアノを聴いていると「人生は悪くないと感じる」と仰っていたのがよくわかる。

今日(イギリスではまだ3月4日!)はハイティンクの91歳の誕生日。おめでとうございます
ご引退後はお住まいのロンドンで大好きなベートーヴェンの室内楽を聴きに出かけたりされているとのこと(ツイ情報感謝!)、お元気そうでよかった 
ペライアは昨年のハイティンクの最後の演奏会のソリストも降板となり、どれほど無念だったろうと推察します。私が大好きだったお二人の共演はもう叶わないけれど、ペライアにはどうかゆっくり静養されて、お元気になって再びその音楽を聴くことができる日をいつまでもいつまでもお待ちしております!

そして今月上旬は日本国内の殆ど全ての公演がキャンセルになっているなか(2月に既に来日していたパリオペラ座バレエ団は引き続き公演中ですが)、リサイタルをしようとしてくれているシフ。
ハードスケジュールの極みなシフだから振替も延期も難しいと思うし、昨秋の来日を別にすれば日本でのリサイタルは3年ぶりなので正直とてもとても嬉しい。でもシフは日本ツアーに続いてそのままカナダ北米ツアーが入っているんですよね。日本出国後2週間以内にバンクーバー、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークの4都市での演奏会が予定されている。日本に入国したら米国に入国できなくなって米国ツアーが全キャンセルになってしまう可能性は決して低くはないのに、それでも日本に来ようとしてくれているのだなあ…。日本側からは既に札幌と埼玉のリサイタルがキャンセルになっているにもかかわらず(現段階で生き残っているのは大阪いずみホール公演と東京オペラシティ公演のみ)…。
私は梶本の肩を持つ気は皆無だけれど、twitterで一部の方達が言っているような「梶本が強行しようとしている。彼らはシフを殺す気か」というのは違うと思うな。梶本を責める呟きばかりでシフを責める呟きは皆無なのが不思議。だって”あのシフ”ですよ?自分の意に添わない演奏会で強制されて演奏するようなピアニストでは絶対にないでしょう。若い頃ならともかく。現に梶本の殆どのアーティストの公演は中止になっているのだから、シフだって中止を選ぶことはできたはず。頭のいい人だし、客のリスクも本人のリスクもその他のリスクも全て承知した上で、それでもなおこの演奏会を行う選択をご自身がされているのだと思います。ただ我らが何よりも望むのは、シフのご健康。他のピアニストと同様に、シフも他に代わりのいない世界の宝。そのためにも、そしてシフの決断が責められるようなことにならないためにも、もし本当に決行になったなら(まだまだ当日まではわからないと思ってる)、梶本の指示に従いマスク&アルコール消毒&休憩中の歓談厳禁の万全な状態で伺わせていただきます!
しかし仮に日本公演が無事に済んで、そして無事にシフがアメリカに入国できたとしても、そこももはや安全ではないのだよね・・・。どちらにしてもしばらく心配は続くのであった・・・。

そうそう、シフといえば。先日NHKで放送されたハイティンクのドキュメンタリーの中で、ハイティンクがシフのことを「友人のシフ」と仰っていましたね 批評に落ち込むシフ、可愛いなあ。シフって一見批評なんか気にしない人に見えるのに、実は気にしてしまう人だよね。以前もインタビューで「私は何を書かれても平気でいられるようなマゾヒストではない」と言っていたし。ハイティンクも彼のような人でもそうなのかと慰められると仰っていたけど、わかるなあ(ハイティンクから見ても意外だったんですね)。『ピアニストが語る!』のインタビューではシフがペライアについて「彼の演奏に感動し、もう一度このコンクール(リーズ国際コンクール)に挑戦してみようと思ったのです」と仰っていたし、私の好きな人達が仲が良いのは嬉しい

※3月6日追記
ニューヨーク市が日本からの入国者に14日間の自宅隔離措置を行うとのこと。14日間というと4月2日のカーネギーホール公演にかかってしまう。シフ、大丈夫かなあ…。それともNYの前にバンクーバー、サンフランシスコ、シカゴに滞在しているから例え日本を出てから14日以内でも外出OKとかあるのだろうか(んなアホな。いやあり得るな)。

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