今年の第23回東京国際映画祭<アジアの風部門>の目玉は、ブルース・リーの生誕70年を記念した特集上映。古くからのファンにとって嬉しいのは、以下の作品。
『ブルース・リー 死亡遊戯』 Game of Death 死亡遊戲 (1978年)
*1978年日本公開時の貴重なお宝プリントでの上映!!
版権管理会社が変わったり、日本上映時に独自の音楽を付与するなどで権利関係が複雑になるという問題もあって、上映されたときのそのままの形では、後年になってからはなかなか観られないことの多い香港映画。
この『死亡遊戯』は東宝東和で配給したそのままの形で観られるというからファンにはたまらない。
どんな映画でも、公開されたときの感動をもう一度体験したい、というニーズは強いものと思う。
良きにつけ悪しきにつけ、香港映画の魅力が日本の配給会社の「加工」によって高められたのは事実。
1970年代の香港映画の出来は、目の肥えた日本市場の顧客には耐えられないと思われたのか、有名な例ではブルース・リー作品『ドラゴン危機一発』ではマイク・レメディオスという歌手の挿入歌が東宝東和の手によって加えられて、クライマックスを盛り上げていた。
また、ジャッキー・チェン作品では『ドランクモンキー酔拳』で四人囃子による「拳法混乱(カンフージョン)」が主題歌で加わるなど、一連の「拳シリーズ」などにおいて東映洋画部の選曲で日本人歌手の歌う主題歌が加えられていた。
以下は主なモノを抜粋。
『カンニングモンキー天中拳』・・・主題歌:タケカワユキヒデ
『ドラゴン特攻隊』・・・主題歌:もんたよしのり
『五福星』・・・主題歌:陣内孝則
どう? なかなかスゴイ顔ぶれでしょう。
他にも、『少林寺木人拳』の主題歌「ミラクルガイ」、『拳精』の主題歌「チャイナガール」、『龍拳』の主題歌「ドラゴンフィスト」、『蛇鶴八拳』の主題歌「デンジャラス・アイズ」など、歌手は無名だけれど総じてクオリティの高い楽曲が加えられていたのが東映洋画部の仕事の特長。
これらは全て少年(私ね)の心にクライマックスのシーンとともに焼き付いている。よって、当時の劇場公開を観ていたコアなファン(私も!)などは今DVD化されている、東映の版権の切れた主題歌の入ってないバージョンでは全く満足できない(笑)。
ブルース・リー作品に戻ると、全五作品(とんでも映画の『死亡の塔』はあえて除く)のうち、『ドラゴンへの道』が東映洋画部によって配給された他は、東宝東和の配給。東和は『ドラゴン危機一発』と『ドラゴン怒りの鉄拳』に英語の主題歌を挿入したが、ワーナーブラーザーズのマーク入りでラロ・シフリンというダーティ・ハリーなどのサントラで有名な作曲家が音楽を担当した『燃えよドラゴン』は全く音楽はいじらず、さきの『死亡遊戯』も007シリーズの作曲家ジョン・バリーが担当したため、音楽はいじっていない(しかし、香港版と北京版はジョン・バリーの音楽ではない)。
ジャッキー映画では音楽の入れ替えで作品の質を高めた東映洋画部だが、『ドラゴンへの道』は当時の映画チラシで「主演・監督・脚本・武術指導・音楽(!)ブルース・リー」と書かれていたくらいで、音楽はあまりいじらなかったと思うが、主題歌はマイク・レメディオスを挿入。配給会社が変わっているのに、どういう経緯でレメディオスが起用されたのかよくわからない。
ちなみに、このマイク・レメディオスは中華系ポルトガル人。最近、日本のファンの働きかけでCDを製作したのだから、日本のファンってスゴイ。ちなみにCDは当然私も持っている。
東京国際映画祭のブルース・リー特集のニュースを聞いて、すっかり興奮して長くなったが、そろそろまとめたい。配給当時の状態で香港映画が観られることは幸せなのである。私としては、ブルース・リー没後10年の時の、東映による『~怒りの鉄拳』『~危機一発』の二本立てリバイバル上映(「リターン・オブ・ザ・ドラゴン」と名付けられ音楽が全て入れ替えられていた。同名の主題歌はメチャクチャかっこよい)の状態で観られるなら、いまから東映に転職したいとすら思うほどだが、まぁ無理だろうなぁ。
とにかく、まずは死亡遊戯を東宝東和版で観ておきたい。
東京国際映画祭、待っててね。
(内田)
『ブルース・リー 死亡遊戯』 Game of Death 死亡遊戲 (1978年)
*1978年日本公開時の貴重なお宝プリントでの上映!!
版権管理会社が変わったり、日本上映時に独自の音楽を付与するなどで権利関係が複雑になるという問題もあって、上映されたときのそのままの形では、後年になってからはなかなか観られないことの多い香港映画。
この『死亡遊戯』は東宝東和で配給したそのままの形で観られるというからファンにはたまらない。
どんな映画でも、公開されたときの感動をもう一度体験したい、というニーズは強いものと思う。
良きにつけ悪しきにつけ、香港映画の魅力が日本の配給会社の「加工」によって高められたのは事実。
1970年代の香港映画の出来は、目の肥えた日本市場の顧客には耐えられないと思われたのか、有名な例ではブルース・リー作品『ドラゴン危機一発』ではマイク・レメディオスという歌手の挿入歌が東宝東和の手によって加えられて、クライマックスを盛り上げていた。
また、ジャッキー・チェン作品では『ドランクモンキー酔拳』で四人囃子による「拳法混乱(カンフージョン)」が主題歌で加わるなど、一連の「拳シリーズ」などにおいて東映洋画部の選曲で日本人歌手の歌う主題歌が加えられていた。
以下は主なモノを抜粋。
『カンニングモンキー天中拳』・・・主題歌:タケカワユキヒデ
『ドラゴン特攻隊』・・・主題歌:もんたよしのり
『五福星』・・・主題歌:陣内孝則
どう? なかなかスゴイ顔ぶれでしょう。
他にも、『少林寺木人拳』の主題歌「ミラクルガイ」、『拳精』の主題歌「チャイナガール」、『龍拳』の主題歌「ドラゴンフィスト」、『蛇鶴八拳』の主題歌「デンジャラス・アイズ」など、歌手は無名だけれど総じてクオリティの高い楽曲が加えられていたのが東映洋画部の仕事の特長。
これらは全て少年(私ね)の心にクライマックスのシーンとともに焼き付いている。よって、当時の劇場公開を観ていたコアなファン(私も!)などは今DVD化されている、東映の版権の切れた主題歌の入ってないバージョンでは全く満足できない(笑)。
ブルース・リー作品に戻ると、全五作品(とんでも映画の『死亡の塔』はあえて除く)のうち、『ドラゴンへの道』が東映洋画部によって配給された他は、東宝東和の配給。東和は『ドラゴン危機一発』と『ドラゴン怒りの鉄拳』に英語の主題歌を挿入したが、ワーナーブラーザーズのマーク入りでラロ・シフリンというダーティ・ハリーなどのサントラで有名な作曲家が音楽を担当した『燃えよドラゴン』は全く音楽はいじらず、さきの『死亡遊戯』も007シリーズの作曲家ジョン・バリーが担当したため、音楽はいじっていない(しかし、香港版と北京版はジョン・バリーの音楽ではない)。
ジャッキー映画では音楽の入れ替えで作品の質を高めた東映洋画部だが、『ドラゴンへの道』は当時の映画チラシで「主演・監督・脚本・武術指導・音楽(!)ブルース・リー」と書かれていたくらいで、音楽はあまりいじらなかったと思うが、主題歌はマイク・レメディオスを挿入。配給会社が変わっているのに、どういう経緯でレメディオスが起用されたのかよくわからない。
ちなみに、このマイク・レメディオスは中華系ポルトガル人。最近、日本のファンの働きかけでCDを製作したのだから、日本のファンってスゴイ。ちなみにCDは当然私も持っている。
東京国際映画祭のブルース・リー特集のニュースを聞いて、すっかり興奮して長くなったが、そろそろまとめたい。配給当時の状態で香港映画が観られることは幸せなのである。私としては、ブルース・リー没後10年の時の、東映による『~怒りの鉄拳』『~危機一発』の二本立てリバイバル上映(「リターン・オブ・ザ・ドラゴン」と名付けられ音楽が全て入れ替えられていた。同名の主題歌はメチャクチャかっこよい)の状態で観られるなら、いまから東映に転職したいとすら思うほどだが、まぁ無理だろうなぁ。
とにかく、まずは死亡遊戯を東宝東和版で観ておきたい。
東京国際映画祭、待っててね。
(内田)