United Minds (Strikes Back)

2013年に解散した電子音楽ユニット、SpiSunのWeblog“United Minds”跡地

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キノコといってもあの人じゃない 〔by ラウド〕

2010-08-31 23:59:31 | Music
なんかすっげぇわ。


「真夜中のエンジェル・ベイビー」 キノコホテル

今月号のレココレのリコメンドで知ったこのバンド、何だかとても気になったので先日Meleeのタワレコイベントに行った際に購入してみた。


買ったのは2ndアルバム(ミニアルバム?)。

『マリアンヌの憂鬱』 キノコホテル

なんというか、結局僕は洋楽よりも邦楽の知識に乏しいのだとここ二ヶ月のレココレの特集で改めて実感した。
だから、こういったレココレやミュージックマガジンなんかで再評価を受けて発掘が進んでいるマイナーなGSや、ネオGS、B級歌謡曲などのモンド・ミュージックは無知に等しいし、特に自分のアンテナに引っかかった事もない。

このアルバムに収められているのは全て当時の怪しげな空気が詰まった歌謡曲らしいが、どれも当然知らない。
それもそのはずで、どれも好事家がラインナップを見たら唸らずにはいられないカルトな曲の数々…らしい。

こういった音楽に全く興味がない僕が惹き付けられたのは、このバンドの謎の多さだ。
どうやってこんなマニアックすぎる曲を知ったのか?
ガレージ感満載の演奏のフィーリングはどう習得したのか?
汚いファズ、ペケペケなトレモロ…ギターやエフェクターは一体何を使っているのか?
オルガンの怪しさとモッド感はどこで会得したのか?
センス、音、歌…謎過ぎる。どう見ても、彼女達は僕より若いのに。
若いと言えば、首謀者のマリアンヌ東雲の堂に入った歌いっぷりはどうだ。「お姉様」と呼びたくなるクールさ。でも僕より年下なんだよね、絶対に…。
老成ではないが、コンセプトが徹底していて青さを感じない。ひたすら感心してしまうのである。

僕がわかることといえば、「マリアンヌ」が恐らくジャックスの曲名が元ネタになっているのであろう…という事ぐらいである。我ながらこの知識の無さが情けない。


何にせよ、このミニアルバムだけでは判断出来ない。ファーストアルバムも早く聴いてみたいものである。楽しみだ。
コメント

バカタレショー 〔by ラウド〕

2010-08-30 02:22:35 | Culture

『ヒーローショー』(2010年)
配給:角川映画・吉本興業
監督:井筒和幸
主演:ジャルジャル



何をやっても中途半端なユウキ(ジャルジャル・福徳秀介)は、先輩の剛志から、ヒーローショーの悪役のバイトを紹介される。ある日、バイト仲間のノボルが、剛志の彼女を寝取ったことから、剛志とノボルはショーの最中であることを忘れ大怪我を追うほどの喧嘩をする。しかし剛志の気は収まらず、ユウキを含めた悪友たちを呼び寄せ、ノボル達をこれでもかと痛めつける。しかし、ノボル達も黙っていない。彼らは自衛隊上がりの勇気(ジャルジャル・後藤淳平)を引き連れ、報復する。次第に彼らの暴走はエスカレートしていき、ついには決定的な犯罪―殺人が起きてしまう。
(Wikipediaより転載)


昔、テレビで99主演の『岸和田少年愚連隊』を観た事がある。そして最近、友人Fに見せてもらった紳助・竜介主演の『ガキ帝国』。どちらも傑作だが、その延長線上にある作品だということで、友人Fに是非にと薦められたのがこの『ヒーローショー』であった。
観に行ったのは確か日本中が沸いたパラグアイ戦の日だったか…久々に錦糸町の楽天地で鑑賞したが、客の入りはまばら。この時期に観ておいてよかったと思う。

個人的に映画は門外漢なので気の利いた事は書けないし、ストーリーもネタバレになってしまうので詳しく触れるつもりはない。そもそもいちいち書くのが面倒だというのもある。

感想は、一言で言えば「二度と観たくない映画」だった。
つまらないから、では当然ない。それだけ深く深く心の底にずっしりと圧し掛かってくるような、嫌な映画だった。
だけど、そういった映画でなければ伝わらない事がある。だからこそ「それでも間違いなく一度は観ておいて良かった映画」でもある。

井筒和幸という特異なパーソナリティに対して、良いイメージを持っていない人が沢山いるのは知っている。「底の浅い映画」と、観もせずに断じてしまう人がいるのも、仕方ないとは思う。
人気お笑いコンビであるジャルジャルが主演だという事が、更にそのイメージに拍車をかけている可能性もある。「吉本芸人のお遊戯会」なんて書いている方も散見したけど、先入観って抜けないからね。そういう見方があるのは否定しない。

だけど僕は井筒監督に偏見もなければ、ジャルジャルの存在自体を全く知らなかった(テレビを殆ど見ないので)。そういった偏見とは無縁の位置からこの映画を俯瞰できたのは、実に幸運な事だったのかもしれない。


映画の開始から嫌な予感がプンプンと臭い、付きまとい離れない。
それは山中での暴力シーンで一気に加速するわけだが、この映画のメインはむしろ暴力と復讐の嵐の、その後の話である。
互いにつまらないメンツにこだわりあい、それが一気に加速し、戻れないところまで行き着く。どうしようもなく、自分達ですら制御しがたい若者のパワー。
暴力の末に待っているのは罪の代償だ。因果応報、どんな形であれ逃れる事は出来ない。決して暴力に救いなどないのである。

だから、ここで暴力シーンにリアリティがないという評価は的外れだと思う。
鬼丸兄があれほど凄惨な暴行を受けながら復讐に来るのは確かに滑稽かもしれないが、いずれにせよ自衛隊出身の勇気は遅かれ早かれ暴力の連鎖に巻き込まれていたはずだ。
(これに関しては、兄が暴行を受けているときに不在だった鬼丸弟が鍵を握っていると思う)


あえて観客が自分を投影するのは主人公のユウキだろうが、口だけで何も実行しようとしない、萌えゲームの架空の“妹”に現実逃避するしかないしょうもなさである。
本人はM-1優勝を目指しているようだが、残念ながら責任を一切放棄しているから言っている事にリアリティがない。困った男だ。
終始緊張の連続で、目を背けたくなるこの映画。その中であまりにも平和な彼と両親のラストシーン。この映画の一服の清涼剤であるが、これだってストレートには受け取れないだろう。
勇気が(恐らくは)再起不能になった分、彼にはこの映画の人物の中で唯一希望が残されている存在だと思う。
ハッピーエンドで終わらせたいのならば、彼は実家の山梨に帰って両親の仕事を手伝った…という事になるのだろうが、僕はそうは思わなかった。これはあくまで常軌を逸した体験から逃れたいがための行動であり、確かに原点回帰したいという思いはあっただろうが、間違いなく一ヶ月もすれば東京の自分の部屋に戻っているはずである。
そして夢を追う振りをして、また同じ毎日を繰り返すのだ。きっとそうでしょ。というかこの映画の内容からしてそうとしか思えない。
だが同時に、東京に戻って今度こそ真剣に、死んだ先輩の分までもう一度人生をやり直そうと走り出している可能性だってある。どう判断するかは、観た人が考えればいいと思う。それは人それぞれだ。僕だって本当はこうあってほしいと思っているのだから。


とにかく救いのない映画である。井筒監督はアメリカン・ニューシネマの影響を受けてこの映画を撮ったらしいが、それ以上にえぐいと感じる。
それはやはり現代の日本を見事に捉えているからだろうし、それ故に圧倒的なリアリティが生まれているのだ。
結局、この映画を「嫌だなぁ」と思うのって、そのリアリティがあまりにも説得力がありすぎるからだと思う。


まず、人がリアル。
ギガチェンジャーの現場に向かうバスの中のやり取り。アルゼンチンのキットを着て学食でPSPに興じる大学生。鬼丸兄みたいな口調のチンピラ。どれもあまりにリアルすぎて、自分の耳元で囁かれているようで、思わず吐き気がした。特に最初のバスのくだり。

自衛隊出身の勇気も、はっきり言って個人的に全く好きになれない。
夢があるのは結構だし、それに向けて現実的に歩んでいるのは立派だ。バツイチ子持ちの恋人をちゃんと許せるのも大したものである。
しかし彼は暴力に加担してしまった。恋人の元旦那の実家でのトラブルなどで鬱屈していた気持ちを、人を殴るための拳に込めてしまった。あまつさえそれで死人が出ているのである。
そんな彼が、いくら情けない人生を歩んでいるからといって、どうしてユウキに偉そうに叱る事が出来るのだろう。
何となく、“体育祭の時だけ急に張り切って周りに説教を始めるヤンキー”(「応援の声が小せぇんだよお前ら」、みたいな感じのね)を思い出して、思わず鑑賞しながら顔を歪めてしまった。

そういったとても褒められない人々に、細かく複線が張り巡らされ、その殆どが回収されないまま、オチのページだけをバッサリ引きちぎられた文庫本のように、映画は終わる。
だが、ここで暴力に加担した者達に待ち受ける運命は、容易に想像できてしまうのだ。恐らくは破滅であろう。

こういった人々を演じるのが、あまり有名でない人々なのだからたまらない。更にリアリティが増すというものである。
冒頭で語ったように僕はジャルジャルすら知らなかったし、完全に新人俳優として観ていた。そういう意味でも他の人よりのめりこめたかもしれない。
ただし後から知った事だが、この事件の引き金になった女性を演じていたのが石井あみだったのには驚いた。昔彼女の顔が好みで少しだけチェックしていた時期があったのだが、こんな役を演じていたとは…少なくとも映画館で見た限りでは全然わからなかった。


そしてこれは個人的なポイントだが、ロケーションのリアルさである。
メインのロケ地は千葉県。しかも東金、大多喜、茂原、勝浦、市川、行川アイランド跡地、鴨川シーワールド…あまりに僕の個人史に近すぎる場所である。どれも、幼少時からあまりに馴染みのある土地ばかりだ。特に東金、大多喜、茂原はホームタウンと言ってもいいくらい。


そういったどこかで見た事のある土地で、どこかで見た事のあるような人々が繰り広げるドラマ。リアルでないわけがない。
更に、この映画の中で起こった事件に何やら覚えがあるな…と思っていたら、やはりこれによく似た事件が実際に起きていた。
東大阪集団暴行殺人事件(Wikipedia)
この事件の詳細を、実は今年に入ってからよく行くサイトで知ったばかりで、そういった個人的なリンクにも奇妙な縁を感じたりもしたものである。



はっきり言って「二度と観たくない映画」だが、それだけに「井筒だから」「ジャルジャルだから」だけで議論を終えられては困る。
少なくとも、僕にとっては「それでも間違いなく一度は観ておいて良かった映画」だったからだ。

眠気と疲れで適当な文になってしまったが、これくらい乱暴な記事の方がこの映画には良く似合うはずだ(言い訳)。
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