ISOな日々の合間に

土曜日は環境保護の最新の行政・業界動向、日曜は最新の技術動向を紹介。注目記事にURLを。審査の思い出、雑感なども掲載。

環境効率とファクター

2006年12月24日 | 温暖化/環境問題
危機的な環境問題を克服し、地球の持続的発展を確保するための長期的(25年後の)目標値としてファクター10の考え方が提唱されています。最小の資源投入に対して最大の生産を挙げようという「環境影響を最小化しつつ価値を最大化する」考え方です。

ドイツのブッパタール研究所、シュミット・ブレーク博士によれば、持続可能な経済を実現する手段としては、資源の流れを半分(1/2)に減らすことであると説いています。さらに、公平性を期すため、世界人口の1/5 を占める先進国の生活水準を後進国も達成することを考慮する必要があります。そのように考えると、以下の式でファクター10が導き出されます。
25年後のサービス・価値(=5倍)/25年後の環境負荷(=1/2)=10

そこで環境効率とファクターをどのように計算するか概要を整理してみようと思います。

環境効率とは、次の式で示されます。
    環境効率=製品の価値/環境負荷
製品開発の場では、この環境効率を用いて、ファクターを次のように表しています。
    ファクター=評価製品の環境効率/基準製品の環境効率

具体的例として10 年前の冷蔵庫と現在の冷蔵庫の環境効率を計算してみます。
わかりやすいように、分母の環境負荷にはライフサイクルで最も大きい負荷のかかる「消費時」の電力を使用します。分子には使用者にとっての製品価値として最も優先度が高いと考えられる容量を用います。

10年前の冷蔵庫は容量が150Lで消費電力が1,000kWh/年、現在の冷蔵庫は容量が300Lで消費電力が200kWh/年とします。この場合のファクターは以下のように10になります。
    現在製品の環境効率(1.5)/基準製品の環境効率(0.15)=10
すなわち10年前の冷蔵庫に比べて環境効率が10倍改善されていることを示しています。

今や環境効率の良い製品・サービスを提供しなければ企業も生き残れませんので、大手メーカーでは主な製品の環境効率やファクターを環境報告書等で公開するようになってきました。

環境効率やファクターをどのように計算するかの詳しいガイドブック(写真)が(社)産業環境管理協会の以下のHPで公開されています。詳細はそちらをご覧ください。
http://www.jemai.or.jp/JEMAI_DYNAMIC/data/current/detailobj-950-attachment.pdf