conparu blog

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古代をかじる その3

2013-10-19 21:08:45 | 随想

饒速日が大物主の娘、御炊屋姫と結ばれて出雲族の婿となったまま居ついてしまったわけだが、ここに来るまでの経緯をもう一度古事記の初めごろに戻って辿ってみよう。

高天原の天照大神と高木の神が諸々の神を集めて下界の豊葦原瑞穂の国について話をしている。

『豊葦原瑞穂の国』は神の国の御子が治めるべきだとして、太子マサカアカツカチハヤヒアメノオシホミミ命(天忍穂耳命)を遣わしところ、瑞穂の国はとても乱れていたので引き返してしまった。

再び神々が相談するには、暴威をふるう土着(山つみ族)神を平定するため、ホヒの神を遣わそうということになった。遣わされたホヒの神は大国主のもとに行くが、大国主にへつらい、べったりと居ついて3年経っても返事をしなかった。

再々神々が相談して次に遣わしたのは「アマツクニダマの神の子、天若日子」(アメノワカヒコ)であった。天若日子は大国主の娘「下照姫」を妻としてその国を獲ようとしているうちに8年経ってしまった。


高天原では返事を待っても返事がないので、「キジの名鳴女」を使いに出して
事情を聴きだそうとした。ところが迎え入れるどころか「キジの名鳴女」を矢で射ってしまった。その矢は突き抜けて高天原の天照大神と高木の神の所に達したという。
高木の神はその矢を天若日子に向けて放った。翌朝寝ている天若日子の胸には矢が刺さって死んでいた。

古事記における『五、天照大神と大国主命』の「天若日子」の項に出てくる一文の概略であるけれど、高天原(九州?)の天孫族が出雲の大国主命との接触がどんなものであったかが窺われる。
天若日子が大国主の娘「下照姫」と結婚したということは、系譜からみると
天若日子=天津彦根命(天照大神の御子)ということになる。饒速日の祖父に当たる。饒速日が大物主の娘「御炊屋姫」と結婚して入婿になったのと重なる内容である。

続く「国譲り」の項では、天若日子の使いも失敗した天照大神は、次にアメノヲハバリ神の子、タケミカヅチを遣わした。
出雲の国のイザサの小浜に降り立ったタケミカヅチは、大国主(大物主と同義か)の前で大剣を海に突き刺し国譲りの強談判をした。
大国主は子の事代主の意見を聞くと「謹んで天の神の御子に献上なさるべき」と言われた。一方でもう一人の子のタケミナカタ(長髄彦か)は抵抗してタケミカヅチに戦いを挑んだが敗れて諏訪に逃れる。
追撃するタケミカヅチの前に降参して、父の大国主(大物主)の申すままに従うと約束した。

ここまでを見ると天孫族は最初から争いをするつもりはなく、話し合いで主権を引き渡すように仕向けたことになる。しかし銅剣文化の海神族(出雲族)のところへ、鉄剣文化ともいうべき進んだ文明を携えた天孫族の到来は、それなりの威圧を持った存在として立ち現れたと思える。

次に『ニニギの命』の「天降」の項では、豊葦原の瑞穂の国がタケミカヅチによって平定されたという知らせを聞いて、天照大神は太子「天忍穂耳命」に降臨するように言った。天忍穂耳命は自分に代えて子のアマツヒコヒコホニニギの命(天彦日矛瓊瓊杵命)の降臨を願い出て許しを得た。

ニニギの命が降臨する時に待ち構えていたのは「猿田彦」である。
豊葦原瑞穂の国の中心を治めていた猿田彦によって筑紫東方の高千穂峰に降臨する。
つまり筑紫平野から高千穂に進出したのである。

この時に随伴したのはアメノコヤネ命(中臣の連等の祖先)、フトダマ命(忌部の首等の祖先)、アメノウズメ命(猿女の君等の祖先)、イシコリドメ命(鏡作の連等の祖先)、タマノオヤ命(玉祖の連等の祖先)の五部族の神であった。


ニニギの命の東方進出は具体的に描かれている。
高千穂はとても気に入ったところで、『朝日の照り輝く国、夕日の輝く国』とてもよいところだと言って壮大な宮を立てた。
このニニギの命の東方への進行が『神武東征』とダブるのである。
神武(カムヤマトイワレヒコ)はニニギの命の孫に当たる。

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1 コメント

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古事記を読んでみたくなる (hide-san)
2013-10-24 11:14:01
この物語は面白そうで古事記を読んでみたくなりました。
今、芭蕉の「おくの細道」を読んでいますが、
もう二年目に入っています。
奥の細道菅菰抄(芭蕉より100年後の参考書)
曾良の日記、などと一緒に読んでいますが、
歩いた場面などを追いかけながらですので、
時間が掛かります。
古事記はその後ですね。
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