中東の熱い夜を酔わせた豪脚。世界の芝のトップホースが集結したGIドバイ・シーマクラシックで2着に健闘した昨年の2冠牝馬ブエナビスタが、帰国初戦に向けて豪快な追い切りを行った。
中東のUAE・ドバイから帰国して6週間。これだけの期間に疲れを癒し、体調を整えるのは至難の業だが、ブエナの動きは好調をアピールするには十分だった。CWコースで先行するアドマイヤプリンス(牡3、500万下)を3馬身ほど追走し、直線は内へ。長めの距離からじっくり走らせ、最後にためた力を爆発させる松田博資厩舎独特の調教方法だが、直線でゴーサインが出ると、目一杯に追われる相手に襲いかかる。ハナづら合わせてのゴールも、手応えで優勢なのは歴然。6ハロン(1200メートル)82秒6、3ハロン38秒5-12秒1の瞬発力は、見る者をうならせた。
「先週までは少しイレ込んでいたけど、今週はだいぶ良くなった。今まで通りの調教で、変わったことはやる必要がない」
松田博資調教師の顔に満足の笑みが浮かぶ。ドバイではフランスのオリビエ・ペリエ騎手が手綱を取ったが、今回は再び横山典弘騎手に託される。今年はJRA63勝(12日現在)を挙げ、2位の岩田康誠騎手(38勝)を引き離して、リーディングを独走中だ。
「とにかくいい状態で出てこれるか。それだけだよ。状態さえ良ければいい勝負になるのは間違いないからね」
ブエナの能力に対するノリの信頼は厚い。力さえ出せば、牡馬も含めて現役トップの馬。今回は牝馬同士だから、自信が揺るがないのも当然だ。
「ドバイのレースは見たけど、やっぱり力がある。いいレースだったね。今回は帰国初戦。人間だって海外から帰ってきたら疲れているもの。ましてや馬は貨物便で帰ってくるんだから。でも調教師からは順調だと聞いているし、マイルだってこなしているから」
松田博厩舎とは大レースで何度もコンビを組んできただけに、スタッフに全幅の信頼を寄せる。マイル戦は未勝利戦~阪神JF~チューリップ賞~桜花賞とGI2つを含め4戦4勝。トレーナーは「今のブエナビスタにはもう少し長い距離の方が向いているかもしれない。ただ、直線の長い東京なら大丈夫でしょう」と、愛馬が期待に応えてくれると信じている。
やっぱりブエナビスタは強い-。国内復帰戦でそう思わせてみせる。(柴田章利)
【ヴィクトリアM】ブエナビスタ疲れ知らず12秒2 /SP