GIシーズンも佳境に入り、今週は東京競馬場で牝馬クラシック2戦目のオークスが行われる。桜花賞馬アパパネの史上12頭目の桜&樫の2冠達成がかかる一戦で、最近の傾向からは、その可能性は高い。
桜の女王アパパネが、オークスで昨年のブエナビスタに次ぐ史上12頭目の牝馬2冠に挑戦する。
【オークス】アパパネ最高評価…データ解析
1600メートルの桜花賞に対してオークスは2400メートル。牡馬春2冠の2倍になる800メートルの距離延長が桜花賞馬にとって最大の課題だ。特にアパパネは母ソルティビッドがスプリンターだったことから不安視する声があるが、実に頼もしいデータがある。
阪神競馬場が06年暮れにリニューアルオープンし、2歳女王決定戦の阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600メートル)がタフなコースで実施されるようになってから、それまでとは傾向が一変した。その優勝馬はウオッカがダービー、トールポピーがオークス、ブエナビスタがオークスといずれも東京芝2400メートルのクラシックを制覇。東京芝2400メートルで通用しない馬では阪神JFを勝てないともいえる。
桜花賞後、アパパネは約2カ月滞在した栗東から4月13日に美浦に帰厩。国枝栄調教師は「特別はいらない。普通のデキでいい。このレベルでは、普通でいることが難しい。一気の上昇はなくても、落ちるのは簡単」と気を引き締めているが、順調なのは間違いない。
万全を期して、2400メートルを意識した調教も行っている。800メートルしか追えない坂路から、より長い距離で追えるコース中心の調教に変更。さらに、これまで以上に折り合い面を重視し、あえて他馬と併走して我慢させることで、精神面を強化。レースでの無駄な力みをなくす努力をした。
12日の1週前追い切りでは、その成果がはっきりと表れた。ポリトラックで1000メートル66秒8、600メートル38秒5をマークし、外マツリダガッツ(牡4、1000万下)と併入。遅いペースの時に少し行きたがる仕草を見せたが、以前ほどの激しさはなかった。手綱を取った主戦の蛯名正義騎手も「うまく折り合った。精神的な成長を感じる。体もプリプリしてきたし、このままいってほしいね」と好感触を得た。
ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、レッドディザイア-。牝馬の時代といえる今、アパパネがまずは世代統一女王を目指す。(松永昌也)