第48回アルゼンチン共和国杯(7日、東京11R、GII、3歳上オープン国際、ハンデ、芝2500メートル、1着本賞金5800万円=出走18頭)単勝1番人気のトーセンジョーダンが3連勝で重賞初制覇。テン乗りの三浦皇成騎手(20)=美・フリー=は、昨年夏の関屋記念以来1年3カ月ぶりとなる重賞3勝目を初のGII&中央開催で決めた。2分30秒0(良)。1馬身3/4差2着に2番人気ジャミール、9番人気コスモヘレノスが3着に食い込んだ。
最後の坂を上がって底力を問われる正念場。渾身の右ムチがうなる。鞍上の叱咤に応えたトーセンジョーダンが力強く伸びて待望の重賞初勝利。大きなガッツポーズで喜びを爆発させたのは、三浦皇成騎手だ。
「先生から、“自信を持って乗ってくれ”と言われて、馬を信じて乗ることができました。最初から勝てるという意識で乗っていたし、結果を出せて嬉しいです」
昨年8月9日の関屋記念(スマイルジャック)以来となる1年3カ月ぶりの重賞V。初のGII勝ちを決めたコーセイの笑顔が弾ける。レースは味な内容だった。向こう正面で巧みに外に誘導して仕掛けのタイミングをうかがう。直線は馬場の中央を堂々と突き抜けて、しっかりした脚どり。見事にテン乗りの1番人気馬をエスコートした。
「ここ1年、いろいろなことがあって、迷惑もかけてしまったので…。苦しい1年でした」
今年の年明け、9頭の大量落馬の原因を作って騎乗停止処分を受けた。08年にデビューすると新人年間最多勝(91勝)など次々と記録を塗り替えた若きヒーローが、3年目で初めて味わった苦しい時期。だが、騎乗数の減少を承知で夏の英国遠征に踏み切った。騎手として成長するための決断。それは確かな自信を植え付けた。「重賞で1番人気になる馬に乗せていただけたことが嬉しかった」。関係者への感謝の気持ちを勝利という結果で示した。
「だいぶ研究してくれていたみたいですから。馬の特徴だけ伝えて、あとは任せていました」
池江泰寿調教師も、ジョーダンとの苦しい時期を共有していた。右前脚の裂蹄でクラシックを棒に振り、2度の長期休養。牧場や厩舎スタッフの尽力で、ようやく素質が開花した。今後は「いい脚を長く使うので、向いていると思います」と池江寿師が言う有馬記念(12月26日、中山、GI、芝2500メートル)が大目標となりそうだ。(黒田栄一郎)
【AR共和国杯】ジョーダン重賞初V!レコードでG1へ弾み/SP