本番で待ち受けるライバルとの再戦を前に、負けるわけにはいかない。ここまで4戦3勝、出世レースのラジオNIKKEI杯2歳Sを制したヴィクトワールピサが、弥生賞で今季初戦に臨む。
「前走後すぐリフレッシュ放牧に出して、馬体はボリュームアップして帰厩しました。これだけ注目されるのは、ありがたいことですね」
あくまでも前哨戦とはいえ、清山調教助手も注目度の高さは十分に承知している。それも当然だ。唯一の敗戦は1番人気に支持された新馬戦。のちに無敗で2歳王者に輝くローズキングダムに3/4馬身屈したが、相手がインから楽に抜け出したのに対し、ピサは他馬に弾かれて大外を回らされての惜敗だ。ローズの橋口調教師が“再対決はファンのためにも本番までとっておく”としてフジテレビ賞スプリングS(21日、中山、GII、芝1800メートル)に向かったのも、ヴィクトワールを強敵と認めていればこそだろう。
前走のラジオNIKKEI杯2歳Sも、強烈な顔ぶれだった。これらを楽にねじ伏せ、武豊騎手に「見た目も乗り味も良くて、すばらしい馬」と言わせた力は、間違いなく世代最強レベルにある。1週前追い切りでは古馬2頭に遅れたが、清山助手に不安の表情はない。
「相手は2頭ともけいこ駆けする馬ですから。シェイプアップする目的で強い負荷をかけて、馬もピリッと集中してきました。非常にいい形で1週前を迎えています」
歴戦の古馬に胸を借りて若駒を鍛えるのが角居厩舎流。ヴィクトワールピサも、好成績に甘んじることなくビシビシと鍛えられている。皐月賞での再戦に向けて、あとは結果を出すだけだ。
「まだ精神的に幼く、課題も多いのですが、成長する段階でいい成績を出していますからね。ひと筋縄ではいかない相手でも、うまくクリアしてほしいと願っています」
成長途上であることを認めつつも、清山助手は4連勝でのクラシック参戦を期待する。待ってろローズキングダム!! ヴィクトワールピサはその言葉を胸に、必勝態勢で弥生賞に挑む。(黒田栄一郎)