ダービーが0秒5差の7着で見せ場があったトゥザグローリー(牡3=池江郎)はラジオNIKKEI賞で大いばりの存在だ。追い切りはポリトラックコース併せ馬で6F78秒7、ラスト11秒4(非公式)。併走馬を4馬身ぶっちぎった。「後ろからつついてもらったのもあるけど、集中して走った。しまいもしっかりしていた」と騎乗した村本助手。まだキャリア4戦。「今はまだ能力だけで走っている。完成は秋以降かもしれないが、器は大きいんじゃないかな」と話している。
[ 2010年06月30日 13:08 ]
グローリー重賞初Vで秋へ/ラジオN賞/NI
<ラジオNIKKEI賞>
飛躍の秋はここから始まる。トゥザグローリー(牡3、栗東・池江泰郎)が、ラジオNIKKEI賞(G3、芝1800メートル、7月4日=福島)で初重賞制覇を狙っている。ダービー直行組とは相性の悪いレースだが、1ケタ着順馬なら信頼できるデータがある。3月デビューで4戦目、強敵相手に7着と素質は断然。勝って秋へと一直線だ。
過去10年でダービーから直行した10頭のうち、馬券に絡んだのは01年のトラストファイヤー(1着)のみ。直行組には鬼門ともいえるレースだが、ダービー7着のトゥザグローリーなら話は別だ。というのも、1ケタ順位を獲得した15頭は【4 1 3 7】で半数以上が馬券に絡んでいるのだ(グレード制導入以降)。3月の遅いデビューでキャリア4戦目、強敵相手に7着の素質はまだ底知らず。夏の福島で初タイトル獲得の期待が膨らむ。
当初は秋から始動の予定だったが、思いのほか状態が良かったためスライド出走が決まった。池江泰郎師は「馬が疲れているなら休養する予定だったが、馬はむしろ使って気配が上昇しているくらいでね。キャリアも浅いし、それなら秋までに実戦経験を積みたいと思って」と説明。激戦で疲労をためるどころか、むしろ状態は上がっていた。市川厩務員は「この暑い時期でも、めちゃくちゃカイバを食べているからね。もっとくれって毎日言ってくるし(笑い)。疲労はないよ」とキッパリ。ガルボの57キロに次ぐ56キロとトップハンデもまぬがれて、好走の予感はさらに高まった。
1週前の23日にはポリトラックで併せ馬を行い、いっぱいに追われ6ハロン78秒7-12秒2を計時した。外のヤマニンウイスカー(古馬1000万)には1馬身遅れたが、市川厩務員は「ここ数日ナメたようなところが出ていたのでびっしり追った。まだ少しダラダラしているけど、直前にしごいてもらえば大丈夫でしょう」と遅れも気にとめていない様子。「息もできたし、うっすらアバラも見え始めてきた。まだ成長途上だけどレースが楽しみだよ」と胸を張った。休養中のライバルを横目に、秋への弾みをつける。【松本岳志】
[2010年6月29日14時31分 紙面から]
【ラジオNIKKEI賞】グローリーV任せろ/SAN
2010.6.29 05:08
来年2月いっぱいで定年を迎える池江泰郎調教師(69)=栗東=が、史上4人目となるJRA全10競馬場での重賞Vに挑む。残る福島競馬場に今週、送り込むのはトゥザグローリー。キャリア4戦目のダービーで7着に善戦した実力馬だ。孝行息子がここで重賞初Vを飾り、名伯楽にまたひとつ、新たな勲章をプレゼントする。
JRA重賞67勝、GI17勝を誇る名トレーナーが、ラストイヤーに新たな記録を打ち立てようとしている。それが、JRA全10場での重賞制覇。池江郎調教師が福島競馬場のラジオNIKKEI賞をトゥザグローリーで制すれば、渡辺栄、山内、森調教師に次ぐ史上4人目の快挙となる。
「そうらしいですね。周囲(の人)に言われて気がつきました。自分では意識していなかったけれど」。達成できれば、それはもちろん嬉しいこと。しかし、自身のことよりも「何とか重賞ウイナーの肩書きをつけたいからね」。素質馬のさらなる飛躍のために、タイトルがここで欲しい。
「いずれ厩舎を背負って立つ馬になる。僕が引退する頃にはね」。来年2月いっぱいで引退の池江郎師が、確かな将来を信じて育ててきた。母トゥザヴィクトリーは師が手がけて01年ドバイワールドC2着、エリザベス女王杯Vの名牝。体質がしっかりせず、デビューが今年3月14日と遅れたが、瞬く間に連勝を飾って、3戦目の青葉賞でペルーサの2着に食い込んだ。わずか1カ月半でダービー切符を手にしたのも、血がなせる業だ。
7着に敗れたダービーでも、直線に入って一度は抜け出そうかという勢い。「オッ、と思った」と振り返る池江郎師は「強い相手と戦って、いい経験になったんじゃないかな」。頂点を競う舞台での健闘が、今回につながるとみる。
デビュー戦が542キロだった太めの馬体も、ダービーでは518キロまで絞れた。この中間も順調に調整を積み、2週前追い切りはヒカルアマランサス(牝4OP)、1週前追い切りはヤマニンウイスカー(牡4、1000万下)とポリトラックで併せ馬を消化。ともに1馬身ほど遅れたが、強い古馬を相手にビッシリと追われて、さらなる地力強化を図っている。
「馬体はだいぶ安定してきたし、今ならば小回りにも対応できると思うよ」。体が絞れるにつれてレースでの行きっぷりがよくなっており、トレーナーは小回りの福島にも対応可能とみる。
27日の福島テレビオープンはバトルバニヤン、ニルヴァーナでワンツー。勢いに乗る池江郎師は、全10場重賞制覇を狙う今週の日曜も福島の主役を務める。(下村静史)
【ラジオNIKKEI賞】グローリー“高度成長”だ /SP
さあ、夏競馬だ。福島のハンデ重賞、第59回ラジオNIKKEI賞に今後の飛躍を誓う3歳馬がエントリーしてきた。超良血トゥザグローリー(牡=池江郎)は日本ダービー7着後も元気いっぱい。初タイトル奪取を狙っている。新装なった函館では函館スプリントSでサマースプリントシリーズが幕を開ける。
ちょっとしたことでは動じない、いい意味でのズブとさがトゥザグローリーにはある。調教パートナーの池江助手が普段の様子についてこう話す。
「ダービー後も全く変わらない。のんびりしていて、厩舎でも寝てばかり。あまりいないタイプだよ」
ハードな調教をこなしてもケロッとしている。芯の強さは戦歴からも感じ取れる。3月14日にデビューすると、新馬戦→平場500万とクリア。続く青葉賞で2着に入り、ダービー切符をつかんだ。この短期間でグングン成長。“競馬の祭典”に間に合わせた。レースでは大外発進で折り合いに苦労しながら0秒5差の7着。先々を考えれば、いい経験になったか。市川厩務員が振り返る。
「キャリア3戦でダービーに出て、よく頑張ったと思う。青葉賞で離されたペルーサにダービーではハナ差まで差を詰めたからね。一戦一戦が勉強。しっかり成長してくれているよ」
父キングカメハメハで母がエリザベス女王杯を制したトゥザヴィクトリー。G1ウイナーのDNAを受け継ぎ、秘める可能性は計り知れない。伸びしろは十分。この福島遠征もきっと秋につながっていく。
「体がまだまだ緩いし、これからもっと良くなってくると思う。トビが大きくてキレイだから小回りをどう克服するかだけど、これも経験。秋に向けて賞金を加算したいね」。市川厩務員が力を込めた。
来年2月末で定年となる池江郎師にとっては勝てば史上4人目のJRA全10場重賞制覇だ。勝負を懸ける今週末。記録にも記憶にも残る一戦となるかもしれない。
[ 2010年06月29日 ]