一昨年の高松宮記念馬ファイングレインが、不良の栗東CWコース単走で終い1ハロンをびっしりと追われて12秒3。気迫のこもった走りで2年ぶりのGI制覇に挑む。
前日から冷たい雨が降り続く中、角馬場で入念にウオームアップを行ったファイングレイン。向こう正面からCWに入ると同時に、しっかりハミを取って加速。水分を含んで走りづらい馬場状態にもかかわらず、残り1ハロンで鞍上の右ムチが一発唸ると残りの力を振り絞ってスパート。5ハロン68秒7、3ハロン39秒5-12秒3(一杯に追う)でゴールイン。大一番に向けて最高のパフォーマンスを見せ付けた。
「きょうは終いだけしっかり追ってくれと指示した。雨でCWが重く時計のかかる状態だったけど、いい調教ができた。内容的にも十分満足している」。長浜調教師から自然と笑みが浮かぶ。
一昨年に高松宮記念を制した後はマイルCS3着が最高。昨年はGI2戦を含む4走で全て2ケタ着順と精彩を欠いていた。ただ、休み明けの前走オーシャンSでは直線大外から一気に末脚を伸ばして勝ち馬から0・1秒差5着と復活の足掛かりを掴んだ。
「前走は勝浦騎手が上手に乗って、思った以上に走ってくれた。中間も順調だし、一昨年勝った頃の感じに近づきつつある。うまくスタートが切れれば2年前の再現も期待できる」と、トレーナーの口調にも熱がこもってきた。
叩き2戦目で状態面の上積みに加え、定量戦で前走から1キロ減の57キロと条件面も好転。メンバー中唯一のGI馬ファイングレインが電撃6ハロン戦を制して春のスプリント王を奪回だ。(片岡良典)