「札幌記念・G2」(23日、札幌)
一点の曇りもない。木曜朝、ブエナビスタは角馬場を経由し札幌芝へ移動。先週同様、ブルーライトニング(2歳新馬)を前に置く形で進み、馬場の外めをキャンターで流した。「先週と一緒で感触を確かめた方がいいと思って。出来は変わりない」と松田博師。戸惑うことなくゆったりと駆け抜けたあたり、2度に渡り洋芝を体感した効果は大きい。陣営の思惑通りに調整が進んでいる。
最終追い切りはラスト1Fでムチが2発入る熱の入れようだったが、テンションが高ぶることもなく落ち着いている。指揮官も「おとなしい馬。レースでもイレ込むことはないし、引っ掛かることもない」と精神面の強さを絶賛。木曜に発表された事前馬体重(19日計量)は、オークス出走時から14キロ増の460キロ。肉体面の成長力も示した2冠牝馬が、世界へアピールする日を待つ。
ブエナ11秒6ムチ入れ仕上がる/札幌記念(日刊)
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- ブエナビスタは、札幌ダートコースを軽快な脚取りで駆け抜ける
<札幌記念:追い切り>
ムチが入った、仕上がった。ブエナビスタ(牝3、栗東・松田博)が19日、札幌記念(G2、芝2000メートル、23日=札幌)に向けて札幌ダートで追い切られ、ラスト11秒6とはじけた。オークスから30キロ以上増えていた馬体も絞れ、出撃態勢を完了した。過去凱旋門賞に挑戦した日本馬の国内壮行戦は連対10割。まず崩れない。
残り200メートルのハロン棒を合図に、あん上がステッキを抜いた。ゴールへ猛然と進むブエナビスタにその右ステッキが2発飛んだ。札幌で初めてのムチ。強烈な刺激に応えるように脚の回転を速めた。6ハロン84秒4。ラスト1ハロンは、ダートで自身最高の11秒6でゴールを突き抜けた。松田博師は「直線だけはちょっとやってみようかと思った。反応もあんなもんじゃないか。順調だし、不安はない」と笑った。終始笑顔を見せる師の表情が、順調ぶりを物語っていた。
「いつも通り」を繰り返してきたトレーナーだが、この日の追い切りは1週前と明らかに違った。「先週はテンが速くなったが、今週はしまいが速くて良かったと思う」と内容に高い評価を与えた。前半で脚をため、生命線となる末脚を爆発させる。桜花賞でもオークスでも、直線だけで勝負を決めてきた。より実戦に近い追い切りができた。
太かった馬体もシェイプアップされた。牧場では480キロとオークス(446キロ)から30キロ以上馬体が増え、1週前には「幅が出たように感じる」と話していた。だが、この日は違った。「前の体に絞れた。以前はちょっとフックラしてたけど、厩舎に入ってから体が締まった。牧場とはカイバの量も違うし、うちは質素やから(笑い)」。カイバは食べているが、栗東と違って坂路やウッドのない環境の中、ダートを走る際のスピードを加減することで負荷を調整し、体をレース仕様に仕上げてきた。「オークスから多少は増えているだろうが、そんなに変わらんだろう」。放牧明けでも体つきに不満はない。
初の古馬相手で未知の部分もあるが、先に見据えるのは凱旋門賞という世界の壁。ここではね返されるわけにはいかない。
前哨戦で求めるのは結果と内容だ。「そんな不細工な競馬はしない」と松田博師は言い切った。きっと再び魅了してくれるに違いない。【山本幸史】
ブエナ蹄も進化、補強剤不要に/札幌記念(日刊)
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- キャンターで調整する札幌記念出走予定のブエナビスタ(撮影・岸川学)
<札幌記念>
パリ行きへの足場は固まった。札幌記念(G2、芝2000メートル、23日=札幌)に出走するブエナビスタ(牝3、栗東・松田博)の装蹄(てい)を担当する矢狭(やざま)大五郎装蹄師(34)が20日、つめ質の変化を証言。春に使用していた補強剤が必要ないほど良くなったという。さらに進化を遂げたスーパー牝馬の視界は良好だ。
ブエナビスタが世界へ向けて文字通り足場を固めた。桜花賞、オークスではともに33秒台の強烈な末脚を繰り出し、見る者をとりこにした。その原動力となる蹄について、デビュー当時から担当している矢狭装蹄師は「理想に近づいてきましたね。放牧から帰ってきてつめの質が良くなった。桜花賞、オークスの時よりいい。つめ質はバッチリ」とお墨付きを与えた。道悪についても「大丈夫。まず問題ないでしょう」と力強く言い切った。
今春までは小さな馬体が繰り出すスピードとその衝撃につめが耐えられなかった。質の弱さからくぎがもたず、固定するために補強剤を塗っていた。しかし、今は違う。レース前日までには新しい蹄鉄に打ち替えるが、もう補強剤を使わなくても済むほどだという。放牧の効果は充実した馬体とともにつめの強化までもたらした。
ブエナビスタの最大の特長は後肢の蹴り、いわゆる「けっぱり」が強いこと。そのため、蹄鉄も後肢の方がより多くすり減る。通常は3週間で打ち替える馬が多い中、2週間で打ち替えないと間に合わないほどだ。「走る馬は後ろの減りの方が早いと思う」。地面を力強くとらえるパワーが、直線ごぼう抜きの豪脚を生み出す。
初めて触った時から能力の違いを感じたという。「走る馬だと思った。持った時に柔らかい脚で力もある。つめの形が丸くてきれいで、左右対称。理想的な形だった」。過去には兄のアドマイヤジャパンやアドマイヤオーラも担当。きれいなつめは一族特有の武器だ。「レースでは100点の鉄を打ちたい」。名牝の脚回りを知り尽くす職人は、自信を持って送り出す。【山本幸史】
【札幌記念】ブエナビスタ 前日オッズ1・8倍(スポニチ)
第45回札幌記念(23日・札幌競馬場、芝2000メートル、G2)の前日発売のオッズ(午後5時30分現在)が22日発表され、単勝はブエナビスタが1・8倍で1番人気となった。マツリダゴッホが7・7倍、シェーンヴァルトが9・2倍、ミヤビランベリが9・9倍で続いている。
枠連は(6)―(7)が2・9倍、馬連は(11)―(14)が5・5倍、馬単は(11)―(14)が8・0倍、3連複は(11)―(13)―(14)が11・2倍、3連単は(11)―(14)―(13)が32・7倍で人気を集めている。
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