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世界制覇へ向け、前哨戦Vではずみをつける。昨年の最優秀3歳牡馬ヴィクトワールピサが、11年の始動戦へ栗東CWで3頭併せを行った。
先頭のロケットダイヴ(4歳1000万下)を3馬身追いかける形の2番手でスタート。力みのないフォームでハロン棒を通過して行く。徐々にその差が縮まり、3F標過ぎに3頭の真ん中へ。直線はいつでも抜け出そうな手応えをグッと押さえ、余力たっぷりに6F83秒8‐38秒4‐12秒1をマーク。内のクリストフォルス(6歳1000万下)と並入した。
先週に続き、手綱を握ったM・デムーロの表情は非常に明るい。「先週は少し太めでハードにやったが、(今週は)あまり求められなかった。仕掛ければ応えてくれそうな雰囲気だったし、動きはすごく良かった。リラックスしている」と、心身ともの充実ぶりをアピール。「先週の水、日曜と負荷のきつい追い切りを2本やっているので、今週はこれで十分。いい調整ができているし、能力を発揮できる状態にある」とは清山助手。放牧から帰厩しての調整過程に狂いはない。
昨年末の有馬記念は、最強牝馬ブエナビスタとの激戦を鼻差しのぎ、G1・2勝目を手にした。これで中山は3戦無敗(弥生賞、皐月賞)。得意コースでの前哨戦を制し、ドバイ遠征へ勢いをつける。「繊細だが、うまくコントロールができる。この馬自身がよくレースを知っているね。中山の千八はペースが難しいが、対応はできる」。距離短縮にもデムーロの信頼は揺るがない。
豊富な海外遠征実績のある“チーム・スミイ”。前哨戦にも「目の前の一戦に向けて、スタッフがしっかりとやってくれている」と清山助手は平常心を崩さない。最強4歳世代の代表格が、まずはその実力を世界へ発信する。