夏の終わりに

2007年09月29日 | 風の旅人日乗
9月29日。午前3時過ぎ。
北海道の東海上から伸びる強くて長大な寒冷前線が、関東地方を北から南に通過しようとしている。
冷たい雨が降り始めた。
この前線が通過した後には、再び高気圧が関東地方を覆うことになる。
しかしこの高気圧は大陸からやってくるもので、これまでの2ヶ月余り関東地方を覆っていた太平洋高気圧は、南の太平洋上に退いていく。
おそらく今日を境に、2007年の関東の夏は終わり、秋が来る。
2007年の日本の夏が、正真正銘に終わろうとしている。



今年の夏は、自分の人生の中で、どんな夏として記憶されるのだろうか?
・・・・足掛け2ヶ月をかけて発達障害児を対象にしたセーリング体験セミナーを一生懸命準備し、その甲斐あってその事業は成功し、セーリングや海での体験がそういうこども達に効果があることがはっきりと分かり、今後につながる道筋を示すことができた。・・・・深川に行って、来年の本祭りを前にしたトレーニングと称して町内会の神輿を思いっきり担いだ。・・・・

しかし、ぼくがこの夏これらの行動を選んだのは、自分で分かっていることだけど、ホクレアの影響だ。
発達障害児を対象にしたセーリング体験セミナーという、重い仕事を引き受ける決心をしたのは、ホクレアを水先案内中の九州で掛かってきた電話でイエス/ノーの返事をしなければならなかったからだし、深川で今年も神輿を担ぎたいと切実に思ったのは、門前仲町でナイノア・トンプソンと日本の歴史と伝統の話をしている最中だ。

ホクレアやナイノアと濃い時間を持ったことで、日本人として、自分は次世代の日本人に何を伝えられるか、自分の専門分野を生かして自分はいま何をやれるのか、をいつも考えるようになっている。
つまり、ぼくにとっての2007年夏は、ホクレア後遺症にかかっていた夏、である。
でもこの後遺症の症状は、いたって快適だ。真剣にこの後遺症に対峙すれば、何かが見えてくる予感がある。ただ、今はまだそれが見えない。

映画監督や学者さんたちや外国人ジャーナリストが書いた、ホクレアやナイノアに関するいろんな本を読んで勉強しなおしている。きちんとした資料に基づいて書いているこれらの文章を探し出して読んでみると、今まで自分が知っていたつもりになっていたホクレアやナイノアとは違う実像が浮かび上がってくる。

「もしも〈ホクレア〉が来るならば、(中略)、誇りを持って大きなカヌーを出迎えるのだ。〈ホクレア〉よ、日本の海だって負けてないぜ」
ターザンのホクレア特別号の最後の編集後記に、この本を企画したマガジンハウスの西岡さんが記した文章だ。〈ホクレア〉はもう日本に来て、すでに去っていってしまったが、我々日本の海と船のプロたちは、西岡さん一人にこの言葉を背負わせてはいけない、と改めて決心している。

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