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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

赤毛のアン

2007-12-20 22:16:50 | 思索
さて、「赤毛のアン」ですが、ありがとうは僕のほうです。紹介していただいたおかげで、この本を読むことができました。一言で言って、おもしろい、またとても興味深いもので、ラストも感動的でした。レビューでも少し触れましたが、物語としての展開の技巧云々などについては、いろんな議論ができるでしょうが、これは大した問題ではありませんね。非常に魅力的な普遍的価値を持っていると思います。

このアンの世界が、「心の座標軸」の一つというのもとてもよく分かります。現代を広く大きく一つの病理と考えれば、対照的な世界をアボンリーの村は示していますね。それは人々の心だけではなく、虫や木や草や水や土に至るまで生き生きとした生命として見て取ることができます。

描かれる人は、極端に気が小さく終生自分に閉じこもりがちだったマシューや、強すぎる固定観念に拘束されていたマリラが、アンによって心の目をしだいに開き、はじめて愛情というものを知る、というように個々の心の病理としても読めないことはありませんが、「真の健康な心」という問に対し、現代との対照として「赤毛のアン」はかなり回答に接近しているものだと思います。

ポジティブ・シンキングは一つのワザに過ぎませんね。時折、便宜上それを使って苦境を回避することは悪くないとは思いますが、常にポジティブ・シンキングなどというのは、これも一つの病でしょう。

真に健康な心も、喜び、悲しみ、怒り、悩み、などの人の感情を正常に有しているはずですね。健康な心は、健康に悲しみ、健康に悩むのです。それを、アンは端的に示して見せてくれましたね。

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